保育士にとって日々関わる子どもや保護者に関わる悩みは尽きないもの。ですがそんな悩みもできれば解決して楽しく働きたいですよね。このコラムでは保育士がどんなことで悩んでいるのか、主に日々の保育に関する悩みについて、解決方法を含めて解説していきます。
子どもに関する悩み
日々を共に過ごす子どもに関する悩みは、多くの保育士が抱えていることでしょう。ここでは、日々の保育に関する悩みを中心に保育士がどのような点で悩んでいるのかをまとめました。
子どもへの対応の仕方がわからない
子どもへの対応の仕方がわからないというのは、特に若手の保育士さんに多い悩みではないでしょうか。保育園にはさまざまな子どもが通っています。ですが、みんながみんな保育士の思う通りに動いてくれるわけではありません。子どもにも互いに異なる成育歴や個性があるわけですから、そこに保育士と合わなかったり今まで出会ったことのないような子どもがいるのも不思議ではないのです。
イヤイヤ期や反抗期で他の園児よりも激しく感情を表に出す子や、発達に遅れがあり他の園児と同じような行動ができない子、他の園児とのいさかいが多い子など、実にさまざまな子どもと出会うのが保育士のお仕事です。
若手の保育士さんの中には、こうした今まで出会ったことがない子どもとの対応がわからず、一人悩んでしまう方も少なくないようです。
自分の保育は「正しい」?
上記と重なる点もありますが、「自身の保育が果たして正しいのだろうか」、「ちゃんとやれているのだろうか」、というのも保育士が抱える悩みの一つです。保育中に大きな失敗をしてしまったり、思い通りに子どもと関わることができなかったりと日々の保育に失敗や試行錯誤はつきものです。
ですがそれも長く続いたり、失敗が多いと自信がなくなり自分のしている保育は正しいのか悩んでしまうことがあるでしょう。特に、まじめな人にこの傾向は強く「ちゃんとやらなきゃ」と完璧を求めるあまりに頑張りすぎてしまうこともあるようです。
園の保育に納得できない
園の保育に納得できない、というのも悩みの一つです。同じ保育所や保育園という枠でくくられていても、運営している法人の理念や園ごとのルール、保育観は大きく異なるもの。時には英語や体育などの早期教育に力を入れすぎている園や、子どもをしかりつけることで集団行動を学ばせる、しつけのような保育をしている園もあるかもしれません。
ここまで極端ではないにしろ、子どもにこんな体験をさせてあげたい、とか、こんな環境で遊ばせてあげたい、という保育観を保育士は大なり小なり持っていると思います。その個人の保育観と園でしなければいけない保育との間にギャップを感じて悩んでしまう保育士もいることでしょう。
保護者に関する悩み
家庭での子育てを助ける保育者として、保護者とは円滑な関係を築いていきたいもの。子どもの情報を共有する上でも保護者とのコミュニケーションは大切です。一方で、保護者とのかかわり方によって保育士は大きな悩みを抱えることもあります。
保護者からのクレーム対応
保護者対応、と呼ばれる保育士の業務の中には保護者からのクレーム対応も含まれます。「子どもに安心して過ごしてほしい」という気持ちは保護者も保育士も同じです。
子どもが安心して過ごせる環境を提供するために、保育士としては真摯に対応しなければなりません。一方で、特定の保護者から何度もクレームが寄せられたり、予想外の観点からのクレームもあるでしょう。一般的な常識の範囲内でのクレームなら我慢できますが、それを超えてしまうとさすがに内心ではあまりよく思えないもの。こうしたクレームにも対応しなければならないことは保育士の悩みとなるでしょう。
気を遣う保護者とのコミュニケーション
保護者とのコミュニケーションはどうしても気を遣うものです。保育士は日中、保護者の代わりに子どもの保育をしています。子どもを預かる保育士にとって、保護者との関係は子どもの健やかな成長をともに支える、いわばパートナー的存在。子どもの健やかな成長を願う立場として円満な関係を築きたいものですよね。
また、保護者は子どもの育児に対して敏感に反応してしまいます。保育士にとっては、多くの園児の中の一人であっても、保護者にとってはたった一人の自分の子ども。よかれと思って言った言葉が保護者を傷つけてしまったり、不安にさせてしまうこともあります。自身の言動をしっかりしなければと思うあまりコミュニケーションにストレスを感じ、それが悩みとなってしまうこともあるでしょう。
話を聞いてくれない保護者
子どもが健やかに育つには保護者の協力が欠かせません。家庭での協力によって子どもの成長が促される場合もあります。例えばトイレや自分ひとりでのお着換えなど。家庭での状況を聞き、園での子どもの行動の理由がわかることもある一方で、園であったことやアドバイスを保護者と共有することで、より子育ての喜びを共有することができます。
保護者とのコミュニケーションは双方向が理想ですが、保護者が保育士からのアドバイスを受け取ってくれなかったり、話をしてくれなかったら、このような連携もできなくなってしまいます。保護者との連携がうまくいかずに保育自体も思うように進まない場合には、悩みの一つとなるでしょう。
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悩みへの対処法
子どもや保護者に関する悩みだけでも実にさまざまなものがあることがわかります。ではこうした悩みを解消するためにはどのような対処をすればいいのでしょうか?
考え方や言い方を変えてみる
考え方や言い方を変えてみるのが一つの対処法です。悩んでいる時はどうしてもネガティブな感情にとらわれたり、自分を責めるような考え方をしてしまうもの。ですが、考え方一つ、言い方一つで肩の力が抜けてうまくいくこともあります。
例えば、ぐずりが激しい子どもにはしっかりその子の感情を素直に受け止める保育を心がけたり、アドバイスを聞いてくれない保護者に対しては保護者と協力して子どもの成長をしっかり考えたい、という保育士としての気持ちを共有するような話し方を心がけることで状況が改善するかもしれません。
また「保育がうまくいかないという悩みを抱えたとき」は、「目の前の子どもの姿」のすべてが、保育士の責任ではないことを心がけましょう。子どもは保育園だけでなく、家庭や周囲からの影響を受けて育つものです。自身の保育に必要以上にこだわって自身を責めることのないようにしましょう。
先輩や同僚に相談する
悩みを抱えた時は先輩や同僚に相談するのも悩みを解消する手段の一つです。同僚や先輩は同じ業界、職場にいて似たような経験や知識を共有できます。今抱えている悩みも、かつて先輩が悩んだものかもしれません。同僚も同じ悩みを抱えている場合は、お互いに励ましあうことができるでしょう。思い切って自身の悩みを近くにいる人に相談してみるのも悩みを解決する手段の一つかもしれません。
転職という選択肢も
特に、園の保育と自身の保育観に悩んだ際には転職も視野に入れてみてはいかがでしょうか。園の保育や、職場環境・働きやすい雰囲気は現場の保育士だけが作り出すものではなく、理事長や運営法人の意向が関わってくるもの。どうしても園の保育が自身の我慢できるものでないと悩んでいる場合には転職も視野にいれて悩みを解決するのもいいでしょう。
悩みはいろいろあるけれど納得のいく選択を
保育士に限らず、どの業界に行っても悩みはあります。保育業界は子育て中の保護者の就労を支援し、その保護者と連携しながら子どもの健やかな成長を図るもの。子どもや保護者との関係は切っても切り離せなません。だからこそ、考え方や行動を変え、悩みを解決し、子どもと楽しく過ごせる保育を作っていきたいですね。