0~2歳児の赤ちゃんのみを対象とした乳児のみの保育園、なかでも小規模保育が、ここ数年で驚くほど増加しているのはご存じでしょうか?2017年3月の時点で設置数は2,553件。ここ2年間で約1.5倍ほど増加しています。今回のコラムでは、乳児保育の詳しい仕事内容や、保育士として働く上での魅力について解説していきます。
乳児保育が増えている理由とは?
乳児保育とは、0~2歳児だけを保育する保育施設のことです。中には定員30名規模の大きな園も有りますが、乳児保育の場合、定員20名以下の「小規模保育」と言われる小さな施設であることが多いです。そこで今回は、その小規模保育が近年急激に増加した背景について紐解いていきます。
理由その1 認可園として認められるようになったから
2015年に施行された「子ども・子育て支援制度」により、今まで20名以下は対象にならなかった小規模の保育施設が認可園として正式に認められることになりました。認可園と認められれば、国や自治体から補助を受けられるようになります。この制度によって、全国各地で一気に小規模園が開設されるようになりました。
理由その2 狭い場所でも開園できるから
小規模保育施設は、園庭のないビル内や、狭小な土地でも開設することが可能です。よちよち歩きの乳児にとって、近くにお散歩できる公園さえあれば、広い園庭はどうしても必要というものではありません。大規模な認可園と違い、4~5カ月程度で開園準備が整うため、待機児童が集中するエリアに次々設置されるようになりました。
理由その3 共働きの世帯が増えたから
共働きの家庭が増え、保育園のニーズは年々拡大しています。育休が最大2歳まで取得できるようになったとはいっても、2歳になって突然保育園に入所できる保証はありません。0~2歳のうちに乳児保育園に入所させておくと、その後の保育園審査の加点になったり、集団生活に慣れやすくなるというメリットがあります。
乳児保育の求人を探すなら首都圏がねらい目
小規模保育施設の設置数が多い都道府県をランキングにしてみました。市区町村で運営している小規模保育施設も、都道府県の中に入れて計算しています。
第1位…東京都 306施設
第2位…大阪府 231施設
第3位…神奈川県 217施設
第4位…埼玉県 169施設
第5位…愛知県 143施設
第5位…兵庫県 143施設
第6位…千葉県 130施設
こうして見ると、乳児を対象とした小規模保育園の数は特に都市部に多いことが分かります。求人の数も、この結果にならって都市部に集まっているようです。
都市部の保育園は、福利厚生の中に住宅手当を導入している自治体も多いので、小規模保育で働きたいと希望する方はお引越しを検討してみるのもひとつの方法だと思います。
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お給料?やりがい?乳児保育で働く魅力とは
近年、保育士の間で人気が高まっている乳児保育。働く上での魅力をまとめていきます。
平均月収は18~22万円ほど
小規模保育施設のお給料は、地域や園によって異なりますが、平均して18万円~22万円ほどです。これに2カ月分の賞与が加わると、年収は252万円~308万円ほどになります。
厚労省の調査によると、保育士全体の平均年収は約342万円(2017年)なので、比較すると少し少なめに感じるかもしれません。ですが、園によって乳児保育でも月収25万円以上の高収入が望めるところもあるので、求人をよく比較して納得できるところを探しましょう。
家庭的で風通しの良い職場環境
小規模保育の預かり人数は多くても19名。顔も名前もすぐに覚えられる人数なので、子どもたちへの親しみも自然と沸いてくることでしょう。家族のような一体感や、アットホームな雰囲気が生まれやすいのも乳児保育の特長です。
職員の人数はどこも大体10名程度なので、「昨日はこんな事件があった」「〇〇ちゃんがおしゃべりするようになった」など細かな情報も共有がしやすくなります。乳児保育は、風通しのよい環境で働きたいと願う方にピッタリの職場です。
丁寧でゆとりのある保育が可能
小規模認可保育所(A型B型)の職員配置人数は、通常の認可園で指定されている人数に1名がプラスされています。例えば0歳児の場合、通常の認可園は子ども3人に対し保育士1人で見るところを、2人で見られるようになるということです。
人員的にゆとりが出るので、子どもたち一人ひとりをもっと手厚くケアできるでしょう。余裕をもってきめ細やかな保育をしたいと願う方にとっても、乳児保育は働きやすい環境と言えそうです。
幼児(3歳児以上)とは違った保育ができる
3歳以上の幼児クラスは、認可園でも20名程度の人数を一人で担当しなくてはいけません。元気な幼児たちの安全を守りながら集団生活の指導をするのは大変、という方にも乳児保育はオススメです。0~2歳児のみの園は、全体として落ち着いた雰囲気があります。
幼児を含めた大規模園と乳児のみの小規模園、どちらにも良さはあるので、ご自身の適性を見ながら保育士としてのスキルを磨いていけると良いですね。
乳児保育で働く保育士に求められることは?
心身の発達が目覚ましい乳幼児期は、子どもにとって非常に大切な時期です。保育士として、どのような関わりをしていく必要があるのでしょうか?
乳児たちに安心感を与えよう
乳児保育で一番大切なのは、子どもたちに「安心感」を与えてあげることです。安心・安全な環境の中で「基本的信頼」を育むことで、子どもの身体と心は健やかに発達していきます。赤ちゃんに安心感を与えるには、
・お腹が空いたらミルクをあげる
・おしっこをしたらオムツを変える
・子どもの笑顔に笑顔で返す
単純にも思えるこうした作業を、何度も何度も繰り返します。そうすることで、赤ちゃんはようやく、保育士さんのことを「私を守ってくれる人だ」と信頼できるのです。抱っこの要求にもなるべく応え、たくさんスキンシップをしてあげましょう。
子ども一人ひとりの要求を読み取る
乳児はまだ、自分の気持ちや願いを言葉で伝えることができません。痛いところはないか? のどが渇いてないか? ママがいなくて不安なのか?同じ要求でも、子どもによって一人ひとりサインの出し方は違います。赤ちゃんの様子をよく観察して、大切な主張を見逃さないようにしましょう。
病気やケガに注意しよう
0~2歳は感染症にかかりやすく、病気をしやすい年齢です。風邪はもちろん、乳幼児突然死症候群やインフルエンザ、ノロ・ロタウイルスなど、乳幼児がかかりやすい代表的な疾病と対処法については、事前によく調べておきましょう。
離乳食が始まったあとは、アレルギーにも注意して下さい。誤飲や転倒などのケガにも気をつけましょう。危険なものは子どもから遠ざけておき、目を離さないことが大事です。
保護者を支えるパートナーになろう
0~2歳児のお母さんにとって、保育士は子どものことを相談できる大切なパートナーです。子どもが第一子という場合、未経験の子育てに戸惑っていたり、息の抜き方が分からなくなっている可能性があります。そんなとき、保育士から「もっとこうするように!」と強めのアドバイスをもらうと必要以上に自分を責めてしまうことがあります。
保育園は、あくまで家庭のサポート役。保護者には寄り添う形でコミュニケーションを取りましょう。また、保護者のなかには、保育園に預けて働くこと自体に罪悪感を抱いている方もいます。園での様子や子どもの成長を細かく伝え、安心してもらうのも保育士の役目のひとつです。
乳児保育で赤ちゃんの成長を見守りませんか?
首都圏を中心として、全国に広がっている乳児保育。保育士にとっても、きめ細やかな保育ができて、カワイイ乳幼児の成長を感じられる、やりがいのある職場です。0~2歳児の赤ちゃんとふれ合うのが大好きという方、ぜひ乳児保育で働いてみませんか?
参考:厚生労働省「小規模保育事業の設置主体別数(2016年)」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/syoukibo.goukei.20160401_1.pdf