日本全体で働き方の多様化が進む中、「時短勤務」という働き方が保育業界でも注目されています。保育業界でも、産後の職場復帰を支援するこの制度を導入する園は増えています。
でも実際に「時短勤務」という働き方をよく知らない保育士さんは多いのではないでしょうか?このコラムでは「時短勤務」の仕組みやメリット、デメリットを詳しく解説していきます。
保育士の「時短勤務」とは?
「時短勤務」の正式名称は「短時間勤務制度」。8時間勤務などの定時で勤務している正社員・契約社員の保育士さんが主な対象です。この制度を使うと、産前・産後などフルタイムで働くことが難しい時に、勤務時間を短縮して働くことができます。
「時短勤務」の制度をくわしく解説!
「時短勤務」を利用するには、まずその園(法人)に時短勤務の制度があることが前提です。また、制度があっても、必要な条件があったり、フルタイムで働いていた時とは勤務条件が変わることもあります。その中身を詳しく見てみましょう。
「時短勤務」を利用する条件って?
時短勤務は、誰でも利用できるというものではありません。時短勤務の制度は2017年に改正された「育児・介護休業法」によって導入された制度の一つで、子育て家庭を社会全体で支援していけるよう、働き方を見直していこう、というもの。
満3歳児未満の子どもを養育している方で、産後で育児のため早く帰宅しなければいけない親が主な利用者となっています。正社員や契約社員としてのキャリアと、育児の両立ができるのが特徴です。
給与は減るの?減らないの?
時短勤務で、勤務時間が短くなるのはありがたいけど、気になるのはそのお給料ですよね。
時短勤務中の給与や待遇に関しては、働く園によって事前に就業規則や労働契約に定められています。園によって対応は異なりますが、1か月の基本給から短縮した時間分の給与を差し引くことが多いようです。そのため、フルタイムで働いているときよりも給与は低くなる傾向にあります。
時短勤務で働く場合のモデルケース
時短勤務が適用された場合、勤務時間は原則6時間。休憩を1時間と考えると、以下のような勤務時間になるでしょう。
9:00~12:00 出勤・午前中の勤務3時間
12:00~13:00 お昼休憩1時間
13:00~16:00 午後の勤務3時間
16:00 退勤
このように、9時出勤の場合では16時に退勤することができます。早番のシフトに入るのであれば、より早く退勤することも可能です。
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時短勤務のメリット
時短勤務の制度はわかったと思います。では、このような時短勤務を利用すると、どのような利点があるのでしょうか?そのメリットを詳しく見てみましょう。
仕事と育児の両立できる働き方
一番のメリットは仕事と育児の両立でしょう。正社員や契約社員としての雇用形態を維持したまま、終業時刻を早めに切り上げられるのが時短勤務の大きな特徴。この制度を利用すると朝9時から働き始めても16時には帰宅できるため、保育園への子どものお迎えにも十分間に合うでしょう。
帰宅してからの時間は、子どもと共に過ごすことができることもあり、まさに育児と仕事を両立できる制度といえるでしょう。
ブランクが短くキャリアを維持できる
保育士としてのブランクを短くできるのもこの制度のメリットです。産休などで長い期間、園から離れていると、保育の技術や現場感覚は鈍ってしまうもの。ブランクが長くなってしまうと、技術や現場感覚などの不安から、職場復帰をあきらめてしまう保育士さんも多いのではないでしょうか。
時短勤務制度を利用すれば、産休明けでも一定時間働くことできる一方で、その勤務時間も無理のない長さです。産休明けでいきなりフルタイムで働くよりも、無理のないペースで現場感覚を取り戻すことができるでしょう。
また、この期間は正社員や契約社員としての立場を維持しながら働くことができるため、時短勤務の間も保育士として一貫したキャリアの継続になります。継続したキャリアは、昇進や昇給の際に考慮されることが多く、保育士としての将来を考えた際に大きなプラスとなるでしょう。
福利厚生を利用しやすい
福利厚生を産休に入る前と同じ水準で利用できるのも時短勤務制度の魅力です。まず、有給休暇は勤務年数に応じてもらえる日数が多くなります。
また、パートでは利用できない厚生年金や社員向けの共済制度がある園では、時短勤務の正社員や契約社員であれば、こうした保育士にとってうれしい待遇制度を産休に入る前と同様に利用できますよ。
時短勤務のデメリット
メリットの多い一方で、時短勤務制度を利用する場合にはデメリットもあります。
給与が減る
制度の紹介で述べたように、時短勤務を利用している場合は、短縮された時間分の給与は差し引かれることが多いです。毎日の食費や家賃、光熱費に加えて、育児にもお金はかかるもの。
給与の減る額によっては、預かり保育を利用してフルタイムで働いたほうがお得な場合もあるでしょう。経済的な側面からも、自身の得られるメリットとデメリットは比較しなければなりませんね。
まだ制度が整備されていない職場も
時短勤務は2017年から始まった比較的新しい制度。職場によっては、まだ時短勤務についての詳細を就業規則や労働契約に盛り込んでいない園もあるでしょう。
そうした園では時短勤務の制度を利用したくても、事業主への周知が進んでおらず利用ができないことも。就職や転職の際には、時短勤務の制度があるのかどうかチェックが必要です。
職場の理解が得られない場合も
職場の理解は時短勤務を利用するうえで重要になってきます。多くの保育士さんが時短勤務を利用したことがある職場なら、自身が利用することになっても周囲の理解もあることでしょう。ですが、あまり利用されたことがない職場だと、先輩や同僚からの理解が進まず、人間関係が難しくなってしまうこともあるかもしれません。
時短勤務があまり利用されたことがない職場では、周囲とのコミュニケーションを図り、理解してもらえるよう努める必要がありそうです。
持ち帰り残業が発生して仕事量が減らない
時短勤務制度は、勤務時間が短くなる一方で、仕事量は一般の正社員や契約社員と大きく変わりません。保育日誌や保育計画の作成など保育士の仕事は事務作業も多いですから、早く帰ることができても、その業務を「持ち帰り残業」として家で終わらせなくてはならないこともあるようです。
そのため、時短勤務を利用する際は、仕事量が勤務時間内に終わるかどうかもチェックしましょう。
時短勤務の普及に期待!
働き方改革として多様な働き方が広まる一方で、家事と育児を両立できる働き方として注目されるのが時短勤務です。ご紹介したようなメリットがある一方で、職場ごとの対応に差があったり仕事量の問題など、新しい制度としてまだ課題があることがわかります。
とはいえ、待機児童問題が解消されておらず、未だに保育士の需要は高いままです。保育士さんが離職せずに働き続けられる環境づくりは喫緊の課題。時短勤務のような働き方が広まることによって、保育士さんが働きやすい職場環境の整備が期待されます。