保育園では、保育士のピアノに合わせて、園児みんなで歌う場面がありますよね。そういった場面をイメージすると、「ピアノが弾けないから、保育士になれないのでは」と思っている保育士志望の方もいるのではないでしょうか。では、保育士になるためにピアノを弾けることは必須なのでしょうか?今回は保育現場での必要な技術や上達方法について紹介します。
(1)ピアノが弾けなくても保育士になれる?
「子どもが好きだから、保育士になりたい」「子どもの成長を手助けする保育士になりたい」と思っているけれど、「ピアノが苦手」「ピアノを習ったことがなく、全く弾けないけれど、保育士になれるの?」と不安を感じている人は少なくないでしょう。実際、保育士になるためにはピアノのスキルはどれぐらい必要なのでしょうか?
ピアノが弾けなくても、保育士資格の取得は可能!
保育系の専門学校や短大、大学に通っていて、カリキュラムにピアノが含まれている場合は、単位、保育士資格を取得するためにピアノを弾けることが必須条件になります。学校にはピアノや音楽室などの設備がそろっているため、ピアノが苦手な場合でもしっかり練習できる環境が整っています。音楽の先生やピアノが得意な友だちに協力してもらって練習することもできますね。
一方で、試験で保育士資格を取得する場合は、ピアノは必須事項ではありません。保育士資格の実技試験では、「音楽表現に関する技術」「造形表現に関する技術」「言語表現に関する技術」の3つのから2つの科目を選択して受験します。そのため音楽ではなく、残りの造形と言語を選択すれば、保育士資格の試験でピアノを弾く必要はありません。
また、音楽を選択したとしても、演奏する楽器はピアノのほか、アコースティックギター、アコーディオンの3つの楽器から選択できるため、ピアノを弾かなくても保育士資格の取得は目指すことができます。
ピアノができた方が、保育の幅は広がる
ただ、保育現場で音遊びをすることを考えると、保育士がピアノを演奏することで、子どもが歌ったりリズム遊びを楽しめる場を作ることができますよね。そうすることで、子どもが音楽を身近に楽しめるようになりますし、子ども同士のコミュニケーションを促すことにもつながります。ピアノを弾くことができれば、保育の幅が広がることは確かとも言えますね。
(2)ピアノができない理由
「子どものためにピアノが弾ける方が良いと分かってはいるけれど、どうしても苦手で弾けない……」そう思っている保育士さんは多いでしょう。では、どうしてピアノができないのでしょうか。
楽譜が読めない
「メロディしか弾けずに、両手で引くと止まってしまう」「保育園で歌う決まった曲のレベルが高すぎる」などピアノができなかったり、苦手な理由は人それぞれあると思います。ただ一番多い理由は、「楽譜を読めない」ことかもしれません。
初心者で楽譜を読むには?
楽譜が読めるようになるには、音楽記号の意味や音符の読み方を知ることが大切です。ピアノ初心者の人は、「楽譜の音符は同じ位置なのに、ドレミファソラシドが違うときがある」といったルールの理解が難しいと感じる場合が多いかもしれません。まずは、基礎的な音楽記号のルールを覚えると、徐々に理解できるようになってきます。
いろいろな曲の楽譜を見て分からない記号が出てきたら、その都度調べることもポイントです。例えば、楽譜と実際の演奏を照らし合わせてみて、四分音符、八分音符…などのリズムをつかんでいきましょう。慣れてきたら、実際に弾いてリズムを感じるのも良いですね。
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(3)ピアノのレッスン方法
ピアノを少しでも弾けるようになるためには、練習を積み重ねていくことが大切です。社会人で働きながら練習をするには、どんな方法があるのでしょうか。
ピアノ教室に通う
ピアノ教室に通って先生にレッスンしてもらう方法があります。教室によっては「保育士コース」など、保育士向けに季節の歌や楽譜、レベルを考えたコースを設けている教室もあります。
楽譜の読み方や速度などの音楽用語も教えてもらえます。個人で運営しているピアノ教室では、実際に現場で必要な歌の楽譜を持参すると、楽譜の読み方や指使いを丁寧に教えてくれる教室もあるようなので、上手に利用して練習したいですね。
電子ピアノで自宅で練習をする
家にピアノがない場合やピアノを置くスペースがない場合、電子ピアノがおすすめです。電子ピアノであればイヤフォンをつけて弾くことができるので、時間を気にすることなく練習ができます。自分で練習するときは、初心者向けの楽譜を買って、簡単な曲から練習してみたり、片手でメロディから弾いてみたりすると良いでしょう。メロディが弾けるようになったら、次は伴奏をつけます。いきなり最後まで弾こうと思わなくても、毎日短時間でも繰り返し弾いていくことが大切です。
(4)現場の保育士に必要なピアノのレベル
保育士の求人では、ピアノで求めるレベルとして「バイエル修了程度」という文言がよく出てきますが、保育園によって求められるレベルはさまざまです。面接で実技試験を課す園もあり、楽譜を見てすぐに弾く場合や、事前に課題曲を与えられたり、自分で好きな曲を選んで弾く自由曲で試験を行うところなど、試験のやり方も園によって異なります。
また、ピアノがなく、ギターなどピアノ以外の楽器で音楽活動の時間をとっている園もあります。ピアノが得意な保育士さんがピアノを担当し、苦手な保育士さんは歌を担当するなど、分担して音楽の時間をとっている保育園もあり、活動の仕方も園によって異なります。
このように、求められるピアノのレベルは保育園によって変わります。最低限のものとして、誕生日の歌や季節の歌など、保育園でよく歌っている曲が弾ければ、保育士として働く上でプラスになることは間違いありません。保育園に就職や転職を考える際に、「ピアノが苦手だな」と思われる方は、その園がどの程度のレベルを求めているのか、事前に問い合わせておくとよいでしょう。
自分に合った方法でコツコツ練習しよう
保育士になるために、ピアノを弾けることは必須条件ではありません。ただし、ピアノによって保育の幅が広がるのは確かです。保育士のピアノに合わせて子どもが歌ったり、音に合わせて表現するのを楽しんだりすることで、リズム感を養うこともできるでしょう。ピアノを習った経験がなくても、自分に合った練習方法でコツコツと練習を積んでいけば、少しずつ弾けるようになるかもしれませんね。