「子育て先進国」と言われるフランス。
1993年には出生率が約1.6まで下降していましたが、少子化対策が功を奏し、2015年には約2.0にまで回復しています。
今回は、子どもを持つ家庭への経済的負担軽減や、育児休業を始めとした女性の働き方支援、3歳以上の子どもが無償で教育を受けられる「保育学校」の整備など、世界からも注目を集めるフランスの保育事情をご紹介します。
フランスの「保育学校」とは
フランスの「保育学校」は、3歳以上6歳未満の子どもを受け入れる教育施設です。
教育省が管轄しており、教員は小学校教諭と同じ資格が必要になります。
教育機関としての側面が強く、日本でいうところの「公立幼稚園」に近いとされますが、大きく異なる点があります。
それは、フランスの保育学校は、学費が無料であるということ。
その為、この保育学校は義務教育ではありませんが、ほぼ100%の子ども達が通学します。
最近では、対象年齢を2歳児に早める動きもあるようです。
教育に当てられる時間についても、日本の幼稚園が1日4時間を標準としているのに対し、フランスの保育学校では6時間に設定されています。
後に続く小学校の教育課程に連動したカリキュラムとなっており、小1プロブレムの予防にも効果を上げているようです。
子どもの預け先事情
保育学校以外にも、子どもの預け先としてさまざまな選択肢があります。
〇保育園
仕事を持つお母さんを優先に、主に2カ月~3歳の子どもを受け入れる施設です。
市区町村が運営する公立の園が多く、競争率は激しめ。
日本の認可保育園に近いイメージです。
〇アシスタントマテルネル
フランス公的機関より認定を受けた「アシスタントマテルネル」が、0歳から6歳までの子どもを預かります。
日本の「保育ママ」に近い制度です。
1人のアシスタントマテルネルが1度に預かることのできる人数は4人まで。
少ないように感じますが、現状、フランス全体で約25万人がアシスタントマテルネルとして認定を受けているそうで、競争率の高い保育園と比較すると、受け入れ先としての絶対数は多いようです。
アシスタントマテルネルとして認定されるためには、フランスの公的機関による60~120時間の研修を受け、その他にも厳しい基準をクリアする必要があります。
子どもの預け先として安心して利用でき、保育学校前の子どもの預け先として人気があります。
〇クレッシュ・ファミリアル
「家庭型保育園」と呼ばれ、保育園とアシスタントマテルネルを組み合わせたもので、家庭型保育園に所属するアシスタントマテルネルに子どもを預けるという仕組みです。
子ども達は、基本的にアシスタントマテルネルの自宅で保育を受けることになりますが、週に2~3回、所定の公的保育施設へ集まります。
その為、他のアシスタントマテルネルに預けられている子ども達と交流する機会が増え、コミュニケーション能力の向上などに良いとされています。
教育無償化など、日本と大きく異なる仕組みを持つフランス。
「子育ては社会全体の責務」という思想が浸透しており、今回ご紹介した以外にもさまざまな子育て支援施策を展開しています。
保育の現場を見ても、連絡帳の仕組みが無い、おむつ・タオルは共用のものを使う、給食が「前菜・メイン・デザート」で構成されている…など、日本とは違った文化が数多くあり、興味深いですね。