さまざまな業務の中でも、特に苦手、という声の多い「後輩の指導・育成」。
職場の後輩を、一人前の保育士になれるよう導くには、どうすればよいのでしょうか
今回は、後輩を育てるスキルとしての「コーチング」についてご紹介します。
ティーチングよりも「コーチング」
コーチングは「個人の自己実現をサポートするシステム」と言われており、自分で考えて動ける人材を育成するためのスキルです。
保育の現場は、子どもたちの安全を第一に考えなければなりません。
そのために、後輩への指示が、細かいところまで手取り足取りになりがちではありませんか?
丁寧な指示はもちろん大切。
でも、それがずっと続くと、後輩が「自分で考えて行動する」経験ができません。
それによって、保育士としての成長を遅らせてしまう可能性があります。
後輩を育てるためには、ある程度現場に慣れてきたら、先輩から見ると少々遠回りをするようなやり方であっても、あたたかく見守ってあげることです。
そして、上手に後輩の能力を引き出してあげるような指導をするとよいでしょう。
そこで役立つのが「コーチング」スキルです。
コーチングには100以上のポイントがありますが、代表的な2つをご紹介します。
相手の力を引き出す「傾聴」
学生時代に、「話を聞くだけ」の授業で、眠くなったことはありませんか?
人は、自分が「話す」ことに対して意識を集中するのは得意ですが、「聞く」立場になると、無意識のうちに集中力が落ちてしまう傾向があります。
その為、相手の話を聞いているつもりでも、意外と内容が頭に入っていないことが往々にしてあるのだとか。
そこで、ぜひ意識してみて欲しいのが、コーチングの基本ともいえる「傾聴」。
傾聴とは、文字通り「相手の話をしっかりと聞く」ということです。
後輩を指導する立場ともなると、「教えなければ」という意見が先に立ち、どうしても自分主導で会話が進むことが多いかもしれません。
でも、時には一方的に話をするのではなく、後輩の意見もしっかりと「聞く」ことを意識してみてください。
人は、話を聞いてもらえないと不安が募っていき、「自分は認められていない」という意識を持つようになります。
逆に、話をしっかりと聞いてもらうことができると、自己肯定感が高まります。
これは子どもも一緒ですよね。
ですので、時間を見つけて、後輩の仕事に関する意見や不安などをしっかり聞いてあげましょう。
内容を聞き流さずに、要所要所であいづちやうなずきを挟むと、相手により安心感を与えることができます。
その「傾聴」が、仕事に対する肯定感につながり、後輩のモチベーションを引き出すことができるかもしれませんよ。
また、傾聴を繰り返すことで、相手への理解が深まりますので、良好な人間関係の構築にも役立つでしょう。
信頼関係を築く「ペーシング」
ペーシングとは、「相手のペースに合わせること」。
話し方、態度、感情、呼吸のリズムなどを、相手に合わせてあげることで、安心感を与え、信頼関係を築きやすくなります。
特に、先輩保育士に対して委縮している後輩の心を開くのに有効です。
忙しい業務に追われていると、ついつい相手の話を遮ってしまったり、自分の意見を被せてしまうことがあるかもしれませんが、一呼吸おいて、相手の状態に合わせた対応をしてみましょう。
信頼関係が生まれることにより、余計な緊張が原因のミスをしたり、また、そのミスを隠したり、といった行動が減ると言われています。
後輩の力を引き出せる先輩になろう
頭ごなしに注意するのではなく、信頼関係を築きながら、相手の力を引き出していくコーチング。
人材育成のみならず、職場のコミュニケーションを円滑にする効果もあります。
コーチングについては、書籍も多くありますので、もっと深く知りたいという方は、一度読んでみるのもオススメです。