こんにちは、保育ライターの佐藤愛美です。
保育園や子育て支援施設の職員として働いた経験を活かし、現在はライターとして保育や子育てに関する情報発信を行っています。
保育士は子どもの命を預かる責任の重い仕事です。
一瞬の油断が事故や怪我に繋がる可能性があるため、いつも緊張感が伴います。
また、保護者の心に寄り添い、育児相談に乗ることもあります。
こういった業務の中で、つい自分自身の心のケアを忘れてしまいがちではありませんか?
今回は、保育士の心の負担の原因と、その解決策について私の経験からお話したいと思います。
保育士が「つらい」と感じる原因は?
1.責任の重さ
冒頭でも書いた通り、保育士は人の命を預かる仕事です。
保育を行っている時間は基本的に子どもたちから目を離すことはできません。
保育室全体の様子を把握し、危険がないように配慮する必要があります。
乳児クラスの担任であれば、乳幼児突然死症候群(SIDS)や、転倒、誤飲のリスクをなくすように配慮しなくてはいけません。
幼児クラスであっても、子ども同士のトラブルや思わぬ怪我が起こる可能性があります。
ちょっと保護者と立ち話をしていた隙に喧嘩が起こり、
子どもが怪我をしてしまったということなど、新人時代には何度も経験しました。
「もっとしっかり子どもたちを見なくては……!」と反省を重ね、
気を抜くことができない日々でした。
2.保護者対応
保護者の心情に寄り添い、育児支援を行うことも保育士の仕事のひとつです。
保護者の悩みは育児のことだけではありません。
職場でのストレス、夫婦仲のことを打ち明けられることもあれば、
保育園への要望や不満を受け取ることもあります。
私自身は育児経験がないため、
保護者の気持ちに寄り添い声を掛けることはとても難しいことでした。
「卒乳ができない」と相談されれば、育児書を何冊も読み、母乳について改めて勉強をしたことも。
不安な保護者と向き合う場合、さらに不安を助長させないように、言葉掛けの仕方やタイミングにも慎重になります。
保育士が気を引き締める場面は、子どもの前だけではありません。
3.職場の人間関係
女性が多い保育士の職場では、気兼ねなく話ができたり悩みを打ち明けやすいという良いところがある反面、感情的になってぶつかりやすい……という難しさもあります。
保育観が違う人同士が集まるため、意見の不一致が起こり、
気まずくなることも珍しくありません。
また、仕事とプライベートの境目が曖昧になりやすく、気持ちの切り替えができなくなってしまうおそれもあります。
4.残業や持ち帰り仕事
書類作成や行事の準備、明日の保育に向けた環境構成などの作業は、
勤務時間内で終わらせることが難しいため、
多くの保育士が残業や持ち帰り仕事をしています。
そのため、休みの日であってもゆっくりと過ごすことができず、
翌週の工作の準備をしていたら1日が終わってしまった……という悲しいことも。
「子どもたちを喜ばせるためにもっと頑張ろう」という気持ちから、
休息時間を削ってまで仕事をしてしまいがちなのです。
保育士が心の健康を保つためにできること
1.子どもの小さな成長への気づきをモチベーションにする
気を抜くことが許されず疲れてしまう時もありますが、
ふと子どもたちの姿を見ると、改めて保育の仕事のやりがいを感じます。
目に見えるような分かりやすい成長だけではなく、子どもたちの心が少しずつ育っていく様子に気づくと、
とても嬉しくなりますよね。
子どもたちが何かをやり遂げた時、昨日できなかったことが今日できた時、
同じ目線で「やったね!」と一緒に喜ぶと、引き締めすぎてしまった気持ちがホッと解れました。
そういった小さな喜びを、多忙な中でも忘れずに味わいたいものです。
2.同僚と悩みを共有し、上手に連携する
一人ひとり、得意分野と苦手分野があります。
ピアノが苦手な保育士も声が小さい保育士もいます。
そして、保護者対応においても新人が対応するよりも、
先輩保育士が対応したほうがスムーズに問題が解決したり、
保護者に安心してもらえる場合があります。
クラスを受け持っていると「すべて自分がやらなくてはいけない」と思ってしまいがちですが、
時には苦手な部分は同僚に相談し、代わりにやってもらったり、
アドバイスを受けることで負担が軽くなるかもしれません。
3.「職場外」の付き合いで息抜きを
学生時代の友人など、異業種の人たちとの交流も息抜きになります。
専門職である保育士のコミュニティの中だけにいると、
一般企業で働く人たちの考え方に触れる機会がありません。
職場外の人の話を聞くことによって、
自分自身の働き方や保護者への接し方のヒントが貰えることもありました。
逆に、保育の仕事の素晴らしさを改めて実感する機会にもなりました。
4.休日の予定をしっかりと立てる
退勤後や休日は、仕事から離れ、リフレッシュする時間にしたいですね。
自分の心と体に向き合うことを忘れてしまうと、体調を崩してしまう原因にもなります。
「休日はゆっくり寝る」「友達とショッピングに行く」
「連休を利用して旅行へ行く」「ジムに通う」など、
あらかじめ予定を立ててみることもオススメです。
なんとなく休日を迎えてしまうと、保育の準備のことばかり考えてしまうので、
休日にやりたいことをカレンダーに書き出して、目で見えるようにしておくと良いと思います。
子どもたちを笑顔にするためには、保育士が元気になること
私が現役時代によく感じていたことですが、
仕事でヘトヘトになったまま保育現場に立つと、子どもたちを笑顔にすることができません。
感受性が豊かな子どもたちは、保育士の「辛さ」や「疲労」も吸い取ってしまうようです。
プライベートでも仕事でも自分の心と体のコンディションを整え、
健やかな状態を保てるようにしたいですね。
子どもや保護者のケアで手一杯になってしまうと、
自分をケアすることを忘れてしまいます。
自分自身に優しくなることも、保育の仕事をする上で大切なことだなと気づきました。
プロフィール
佐藤愛美。元保育士のフリーライター。
現場で働く保育士や、保育園に関わる保護者や地域の人々に向けて、リアルな情報発信を行っています。
好きな場所は沖縄の離島。「地域活性化×子育て支援」というテーマにも興味があります!