乳児院とは、なんらかの理由で保護者との生活が困難な乳児を預かる施設です。一時保護やショートステイで滞在する場合もあり、保育士の求人もあります。そんな乳児院とはどんな施設なのか、厚生労働省の資料をもとに、施設としての役割や入所年齢、抱える課題、さらに保育士さんの仕事内容ややりがいを解説します。

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目次
乳児院とはどんな施設?
乳児院とは、さまざまな事情によって保護者との生活が困難な乳児を保護し、養育する施設のことをいいます。運営は地方自治体、社会福祉法人などが行なっているようです。
乳児院の概要をくわしく見ていきましょう。
年齢
主に0歳児から2歳児ほどの年齢の子どもたちが入所しています。しかし、実際には2歳児あるいは3歳児まで入所していることも多く、特色として低年齢児を養育する施設であると言えるでしょう。
乳児院への入所期間
入所している子どもたちは、24時間すべてを乳児院で過ごすことになり、子どもの半数は、在所期間が6カ月未満と短期保護が中心となっています。
しかし、長期在籍となる3歳以上の子どもの多くは、重い障がいを抱えていたり兄弟姉妹が同じ施設にいたりと、保育や看護が必要な子どもが多いようです。
乳児院の職員配置
児童福祉法により、乳児院には以下の職員を配置しなければならないと定められています。

乳児院では、このように職員がチームとなって、子どもを手厚くサポートしていく必要があるようですね。
複雑な事情を持つことが多い入所する子どもたちを支援するためには、さまざまな専門家たちの連携が必要不可欠となるでしょう。
乳児院への入所理由

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乳児院とはどんな施設か分かったところで、乳児院を利用する子どもの入所理由についてみていきましょう。
厚生労働省「乳児院運営指針」の資料では、乳児院に入所している子どもの理由について、以下のように説明しています。
このように、さまざまな理由で入所していることが分かります。
近年は、母親の精神疾患や虐待による入所が増加傾向にあるようです。
また、乳児院に入所する子どもの多くが心身に何かしらの問題を抱えていることが多く、入所児の約半数が病児、虚弱児、障がい児、被虐待児だといわれています。
これには、保護者が子どもの障がいを受け入れられず、ネグレクトや虐待につながったという背景が関係しているのかもしれません。
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乳児院の現状
乳児院について勉強したことや施設で実習をした経験のある保育士さんはいるかもしれませんが、日常的にはあまり馴染みのない人もいるでしょう。
乳児院の現状を知っていきましょう。
乳児院の入所児童数と施設数の推移
こども家庭庁「社会的養育の推進にむけて」の資料によると、2021年3月末時点で、乳児院の施設数は全国に145カ所、定員3827人に対して現在入所している児童は2351人となっています。
2001年から2021年までの20年間の入所児童数の推移をみると、2013年あたりから緩やかな減少を続け、2019年からは大きく減少していることが見てとれます。
一方、乳児院の施設設置数は過去20年間で上昇傾向にあり、2011年から2021年の10年間で施設数は約1.1倍と増加している状況にあります。
このように入所児童数は減少しつつあるものの、依然として乳児院が社会にとって必要な施設であることが分かるでしょう。
進む乳児院の小規模化
乳児院は、子どもに対してより個別的な対応が求められる施設です。
そのため、保育士や看護師など職員の配置基準は厳しいものの、一方で、入所児童の定員が40人以上の大規模な施設もあります。
近年では、こうした大規模施設を縮小していき、グループ単位での養育を推進する動きが進んでいます。
そうすることで愛着形成に重要な乳児期を、より家庭に近い環境で過ごせると言われています。
施設の小規模化が進むことで、職員にとっても子ども一人ひとりにじっくり関われたり、子どものニーズに合わせた養育ができたりというメリットがあると言えるでしょう。
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乳児院の役割

乳児院では、さまざまな専門家が常駐し、子どもたちを支援しています。
では、乳児院に求められることにはどのようなものがあるのでしょうか。くわしく見ていきましょう。
入所期間に応じた支援
乳児院の役割は、入所期間によって大きく以下の2つに分かれます。
短期間の入所(一時保護、ショートステイ):子育て支援
長期間の入所:子どもの養育、保護者支援、退所後のアフターケア
家庭に代わって子どもを養育する大切な機能を担っていることがわかるでしょう。
乳幼児の保護と養育
乳児院の一番大きな役割は、乳幼児を保護し、安全な環境で養育することです。
さまざまな事情によって養育が困難な家庭の代わりに、一時的に乳幼児を保護し社会的な養育を行います。
さらに緊急時にも一時保護し、子どもの安全を守る機能を担っています。
乳児院は24時間365日乳幼児のケアを行い、健やかな成長を助ける役割をもつ施設と言えますね。
保護と養育の内容を紹介します。
被虐待児・病児・障がい児への専門的な養育
被虐待児や病虚弱児、障がい児など特別なケアを要する子どもも乳児院に入所してきます。
そのため、医療と連携した専門的な養育を行う役割を担っています。
そのほかにも、低出生体重児や慢性疾患児、発達の遅れがある子どもたちに対して、医師や看護師のフォローのもと、リハビリなどのケアを行います。
保護者や里親の支援
早期の家庭復帰を視野に入れ、保護者に対しても支援します。
また、家庭復帰後の親子のアフターケアを行う役割も担っています。
乳幼児が新しい里親のもとで生活することになった場合には、里親家庭のケアや支援も行うことがあるようです。
地域の子育て支援
短期的な入所の場合には子どもの一時保護が目的とされ、地域の子育て支援の機能を果たしています。
各地域と契約を結び、「ショートステイ」や「トワイライトステイ」、また育児相談などの事業にも取り組んでいるようです。
このように乳児院は地域の重要な社会資源として、子育て支援に力を注いでいると言えるでしょう。
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【乳児院で働く】保育士の仕事内容
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乳児院で保育士に求められる役割は、基本的には保育園での乳児保育に近いようですが、異なる点もあるようです。
乳児院で働く保育士の仕事内容を具体的に見ていきましょう。
子どものサポート
子どもの養育に関しては、基本的におむつ替えや食事、入浴など乳児の生活全般のサポートを行います。
また年齢が上がると、生活指導を行ったり、絵本を読んだりといった学びの面でのサポートもあるようです。
保護者のサポート
子どもたちが親許へ戻れるよう、保護者のケアをすることも乳児院で働く保育士の仕事になります。
保護者と話し合いながら子どもとの面会の機会を作り、保健師などの協力を得て育児を再開できる環境を整えられるように指導していきます。
そのなかで、子どもを引き取った後の日常生活に不安を抱える保護者の気持ちに寄り添いながら相談を受けることもあるようです。
親子関係のサポート
子どもの養育、保護者のケアに加えて行うのが親子関係構築のサポートです。
乳児期の子どもの多くは、親子の信頼関係がきちんと築けていないと、親許に戻っても不安を拭えないまま生活することになるでしょう。
たとえ家庭に戻れたとしても、保護者は困惑してしまうかもしれません。
そうした場合に、保育士が間に立ってお互いの歩み寄りを助けます。
子どもが退所したあとも、アフターケアを行う ことが保育士の担う重要な仕事の一つです。
乳児院での一日の仕事の流れ
乳児院で働く保育士の一日の仕事の流れは、おおむね以下のようになります。
8:00~ | 夜勤スタッフからの引き継ぎ。離乳が進んでいる1~2歳児は起床・朝食 |
自由保育、集団保育。適宜おむつ替えやミルクをあげる。 | |
12:00~ | 昼食 |
14:00~ | 1・2歳児は午睡 |
15:00~ | おやつ |
自由保育、集団保育。適宜おむつ替えやミルクをあげる。 | |
18:00~ | 夕食の準備。夜勤スタッフへの引き継ぎ、退勤。 |
日中の保育スケジュールは、一般的な保育園の0歳児~2歳児クラスと大きく変わりはないようです。
保育の間に、保護者と子どもの面会の時間や、保護者の相談などの業務が加わります。
なお、24時間体制で運営される乳児院では、夜勤を含むシフトで勤務することがあるでしょう。
夜勤では、睡眠中の子どもに異常がないか確認したり、夜泣きをする乳児にミルクをあげたりおむつ替えをしたりするようです。
【乳児院で働く】やりがいと大変さ
乳児院で働くことは、保育者としての専門性が必要であり、より細やかなかかわりが必要になる環境のため、責任も大きいですが、その分やりがいを感じる場面も多くあるでしょう。
大変だと感じる部分とあわせて紹介します。
乳児院で働くやりがい
一般的な保育園とは異なり、場合によって保育士1人に対して乳児1人などの手厚い保育をしているのが乳児院の特徴です。
虐待や親との離別、障がいなど、個別に配慮が必要な場合もあります。
そのため、責任は大きいですがその分大きなやりがいを感じることができるでしょう。
また、困っている子どもや保護者をサポートするので、社会に大きく貢献できる仕事とも言えるでしょう。
乳児院で働く大変さ
抱える責任が重く、仕事内容が多岐にわたるのが乳児院で働くうえでの大変さかもしれません。
業務量の多さに加えて、24時間体制で運営しているため夜勤シフトもあります。
そのため、保育園で働くよりも生活リズムが不規則になりがちなようです。
また、虐待やネグレクトを受けて体や心に傷を負った子どもなど、事情がある子どもや家庭の対応をする際は、精神的負担を感じることも多いかもしれません。
仕事内容にはハードな部分もありますが、責任感を持って働きたい方には向いているかもしれませんね。
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【乳児院で働く】知っておくべきこと

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乳児院で働く前に押さえときたいいくつかの事柄について簡単に紹介します。
必要な資格
乳児で働く代表的な職種は、医師、看護師、保育士、栄養士が挙げられ、職務に応じてそれぞれの資格が必要となります。
そのほかにも、以下の資格を持っている人が職員として採用されるケースが多いようです。
- 社会福祉士
- 児童指導員任用資格
- 保健児童ソーシャルワーカー
- 幼児安全法支援員
乳児院で働きたい場合は、希望の職務に合った資格を取得しておきましょう。
求められる人材
乳児院で働くには、保育士などの資格は必要 になりますが、乳児保育や養護などの経験を求められることはないそうです。
ただ、低年齢の乳児クラスを受け持った経験や育児経験、ほかにも医療や福祉、療育などの知識があると役立ちそうです。
また、介護施設、児童発達支援施設でのボランティアや、病児保育、ベビーシッターなどの経験もあれば評価されるかもしれないので、書類選考や面接ではアピールするとよいでしょう。
求人状況
乳児院の保育士の働き方は正職員(正社員)、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員などが挙げられます。
しかし、施設数が少ない状況に伴い、求人数も少ないという現状にあります。
ただ、社会のセーフティネットを担う乳児院の特性上、今後も一定以上の求人数が確保されるでしょう。
給料・待遇
乳児院で働く保育士の給料は、施設によって基本給が若干高く設定されていることもあり、一般的な保育士の給料と比べるとやや高いようです。
乳児院では24時間勤務となるため、夜勤手当や住宅手当、退職金制度など福利厚生も充実しており、一般的に給料や待遇面はよいと言われています。
施設によっては、賞与4カ月分以上や、家賃補助ありなど、手厚い待遇のところもあるようなので、希望に合った求人を探してみましょう。
乳児院のボランティア
乳児院では、資格の有無を問わずボランティアを募集していることがあるようです。
ボランティアの仕事内容は施設によってさまざまですが、子どもたちの遊び相手や食事の世話、施設の掃除など、保育以外にも施設の運営に関わる業務があります。
ボランティアに参加すれば、施設の雰囲気や仕事内容を知ることができるため、乳児院とはどんな施設かを深く理解する機会となりそうですね。
求人に応募する前に、施設のサイトなどを確認してボランティアを検討するのもよいかもしれません。
乳児院が抱える今後の課題
厚生労働省が公表している「乳児院運営ハンドブック」では、乳児院を取り巻く現在の状況について述べられています。
そのなかでは、乳児院の課題と将来ビジョンについても示されています。
乳児院の抱える課題
課題として、以下のようなことが検討されているようです。
具体的には、リハビリ等の医療や療育と連携した専門的養育機能の充実や、被虐待児の増加にともなう個別対応職員、子どもだけでなく家族療法や親に対しても心理相談などを行なう心理療法担当職員の配置などが求められています。
また、小規模グループケアを進めるための基本的な人員配置なども課題として挙げられています。
乳児院機能の将来ビジョン
厚生労働省は先述した課題への対策として、2011年にすべての乳児院が基本的に備えるべき機能を「法的(必須)義務機能」とし、制度を早急に確立すべき専門的機能と位置づけました。
この「法的(必須)義務機能」には、以下の6つが挙げられています。
- 一時保護所機能
- 専門的養育機能
- 親子関係育成機能
- 再出発支援機能
- アフターケア機能
- 地域子育て支援機能
これらを機能させるために、各専門分野だけでなく、医療、福祉、心理など多角的な視点で、包括的な支援方針を設定する必要があるとしています。
このため、乳児院の将来ビジョンとして、さまざまな問題を抱えた子どもたちに対応できる専門職員の配置、そして包括的な職員研修、横断的なカンファレンスのシステム構築と実施をすすめていく必要があると考えられています。
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乳児院について理解を深め、働き方を考えてみよう
今回は、乳児院とはどんな施設なのか、役割や入所児の年齢、現状や課題について、厚生労働省、こども家庭庁の資料をもとに紹介しました。
乳児院で働く保育士は、医師や看護師などと連携して子どもの養育にあたり、ときには保護者や里親のサポートもするようです。責任が重く大変なことも多いですが、その分やりがいも大きい のではないでしょうか。
乳児院の求人は少ない現状はご紹介しましたが、保育士バンク!には非公開求人もあります。現在の求人状況も含め気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。
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保育士資格を活かしたより専門的な働き方を、いっしょに検討していきましょう!
出典:最低基準等及び措置費における職員配置基準について/厚生労働省
出典:児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進のために(概要)/こども家庭庁
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