社会人として働くうえで、ボーナスは大事なポイントですよね。これから転職を考えている保育士さんも、賞与の支給がある園なのかない園なのか、支給されるとすれば何カ月分なのか、何回なのか、そして支給額はいくらなのか…など、気になるポイントがいっぱいです。そこで今回のコラムでは、賞与に関して気になるポイントや、転職に際して知っておきたいことなど、保育士さんのボーナス事情について探ってみました。
「ボーナスあり」とは?
賞与の支給自体がないということもある他のお仕事と比べると、賞与面では恵まれているのが保育業界の特徴。特に、認可保育園の正規職員では、年に数回のボーナス支給があることが一般的です。
こちらでは、そんな保育園のボーナス事情についてまとめてみました。
まずはおさらい ボーナス(賞与)とは?
ボーナスまたは賞与とは、毎月のお給料に加えて年に数回の支給がある「特別報酬」のことを指します。賞与は〇カ月分支給という表記で求人票には掲載されることが多いものの、詳しい支給額は予め決められておらず、運営法人の業績や、支給される本人の経験や成績次第で変動します。
保育園のボーナス支給状況
入職して1年目からすぐに支給される場合や、2年目から支給される場合など、園や法人の方針によってボーナス支給の対応はさまざまです。
また、支給頻度も年に1回まとめて支給するところもあれば、年3~4回など細かく分けるところもあります。年に2回支給の場合は、一般の企業と同じように、夏と冬にそれぞれ2回支給されることが多いようです。
また、園や法人によっては契約社員やパート・アルバイトさんにも支給される場合などもありますが、基本的には正社員にのみ支給されるもの、というイメージが強いでしょう。
ボーナスに関わる税金
賞与が支給された際の手取り金額は、総支給額の2割程少ない金額になります。というのも、賞与も毎月の給料と同じように給料所得として分類されるためです。それにより、毎月給料から天引きされているのと同じように、賞与から社会保険料と所得税が引かれた額が実際に手元に残る金額となります。賞与から引かれる社会保険料とは、健康保険料、厚生年金保険料(公立の保育園に勤務している場合は共済年金保険料)、雇用保険料の3つです。労災保険料は賞与には関わりません。
保育士さんのボーナス情報データ
保育士さんのボーナスに関する実情について、データも交えてまとめてみました。
雇用形態別ボーナス支給額
保育士全体のボーナス平均支給額は、約2~3カ月分で約60万円のようです。雇用形態別に見ると、正社員は約46万円、契約社員は約16万円、パート・アルバイトは約5万円程度になるようです。契約社員やパート・アルバイトは支給された場合での話になりますが、寸志程度ではあるものの、支給する法人は増加傾向にあります。
園の種類別、ボーナス支給事情
最もボーナスの支給額が高いのは公立保育園で、次に認定こども園、病院内保育、私立認可保育園と続くようです。また大企業の企業内保育所などでは、保育士の相場の給料に合わせず社員の一員としてそこの会社員並みのボーナスを支給するところも中にはあるようです。
では、最も高いとされる公立保育園で働く保育士のボーナスはどれくらいなのでしょうか。
2017年度の練馬区が公表している資料によると、練馬区内の公立保育園で働く保育士のボーナスの一人当たりの支給額は1年間で179 万 8943円。厚生労働省が発表している調査で保育士全体のボーナスは年間平均約66万3000円ですから、都市部の自治体であることを考えても、これはかなり高い額だといえるでしょう。
ただし、公立保育園の勤続年数が私立保育園と比べて長く、年功序列の公務員の給与体系を考えると平均として高くなっているということ、また園長や主任もこの中には含まれるため役職手当が加算されていることがあり、平均額が高くなっているといえます。必ずしも、若手保育士も含めた全員がこのように高いボーナスがもらえるとは限らない、ということは注意しなければなりませんね。
また、公立保育園だけでなく全体的に見て、認可保育園は自治体から補助金が出ているため給与が高い傾向にあるのはもちろん、ボーナスの支給額も高くなりやすいです。募集を見逃さないよう、求人情報をまめにチェックしてみましょう。
参照
練馬区 平成29年度 練馬区人事行政の運営等の状況の公表
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/jinji/kyuyo/index.files/kouhyou29-2.pdf
年代別のボーナス支給額
厚労省の2017年度の調査によると、年代別の女性保育士のボーナスは次の表のようになっています。保育士全体の9割以上を女性が占めるということで、女性のデータを用いています。
表からもわかるように、20歳~24歳の賞与額が約46.2万円なのに対し、60~64歳の賞与額は約89.5万円、支給額がおおむね2倍となっているように年齢を重ねるごとに賞与額も上がっています。また、65歳以上で下がっているのは、定年退職後の再雇用などで役職手当なしで働いている保育士がいるからだと予想されます。
参照
厚労省 平成29年度賃金構造基本統計調査
勤続年数別のボーナス支給額
年齢と同様に、今度は勤続年数ごとのボーナスを見てみましょう。以下は男女を含む保育士の経験年齢別のボーナス支給額で2016年度のものです。
データの数値からもわかるように、経験年数が少なければ少ないほど給与が低いことがわかります。15年目以上の経験者は、主任や園長などの役職に就く保育士が多いことから、その賞与額も年間100万円を超えています。
参照
厚労省 平成28年度賃金構造基本統計調査
他業種と比べた保育士のボーナス
最後に、他業種とのボーナスを比較してみましょう。次の表は2017年度の保育士同様、女性比率が多い8業種と保育士のボーナスの比較です。データの数値は男女平均となっています。
同じ国家資格である薬剤師、看護師には差をつけられてはいますが、その他の業種よりはボーナスが多くもらえていることがわかります。ちなみに薬剤師は6年制、看護師は最低でも3年制の養成課程の卒業後に国家試験合格が必須であり、保育士よりも資格取得へのハードルが高い分、給与や賞与は優遇されています。保育士という職業は、ほかの業種に比べて、ボーナスという点では恵まれているといえます。また、資格の取得しやすさと賞与のバランスが良い、ということがわかりますね。
参照
厚労省 平成29年度賃金構造基本統計調査
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ボーナスをもらって働くためには?
ボーナスを多くもらって働くためのポイントを考えてみました。
ボーナスを多くもらうには?
公立保育園で働く保育士は地方公務員のため、賞与の支給額は高くなる傾向にあります。ボーナスの多さを重視する場合は、公立保育園への転職を視野にいれてみましょう。ただし、地方公務員への転職は、各自治体による公務員試験を突破する必要がある他、「◯歳以下の方を募集」という受験年齢の要件なども定まっているため、そう簡単な道ではありません。
また認可外ではあるものの、大企業の企業主導型保育所もボーナスの支給額が高くなる傾向にあるようです。他に、過去の保育経験を活かして一般保育士から主任・園長に転職する、またその際に給与の交渉を行うことも方法の一つです。
全国の地域別ボーナス事情
2013~2017年の5年間の年間賞与額を平均してみると、最も高かったのは愛知県で約73万円、次いで京都府の70万円、大阪府の約64万円、神奈川県の約62万円、東京都の約61万円がトップ5でした。愛知県と京都府に関しては、給与の高い公立保育園とその他の保育園との格差をなくすために補助金が出ているのが理由のようです。また、その2つの地域に関しては過去5年間の順位の動きが少ないことから、ボーナスを多くもらえる地域、と言ってもよいでしょう。
大切なのはあくまで「年収」求人票をしっかりチェック
「ボーナスがたくさんもらえるところ=年収が高いところ」とは限らないこともしっかり覚えておきましょう。例えば、「賞与5カ月分支給!」というキャッチコピーはとても目を引きますが、求人の詳細を見てみると、月給が他の園よりも低く設定されているという場合もあります。面接や園見学で直接担当者と話せる機会があれば、前年度の賞与を含む年収の支給実績や条件を確認しておくのもよいかもしれません。
ボーナスありの求人を探そう
賞与の金額次第で年収が大きく変わってくるので、転職を考えた際は求人情報をじっくり精査してボーナスありの求人を探してみましょう。ボーナスをもらえる環境であれば、給与面においてもやりがいがあり、仕事のモチベーションをアップさせることにもつながります。ボーナスをもらうのは自分のためでもありますが、モチベーションに転換できれば子どもたちのためにもなりますし、待遇が良くなれば長く働くことにもつながります。やりがいを感じながら長く働けるよう、ボーナスありの保育士求人を探してみてはいかがでしょうか。