ケロポンズが保育について徹底的に語る今回のインタビュー。
保育のヒント編では、ケロポンズのお二人の作曲裏話や、子どもたちとの向き合い方について伺いました。
続く今回は「保育者としての働き方」にフォーカスしてお二人の価値観を掘り下げていきます。
保育が辛かった頃のお話から、幸せに働くための園選びまで、胸の内をたくさん語ってくださったケロさんとポンさん。
今の職場にお悩みを抱える保育士さんを温かく包むエールをいただきました!
ケロポンズ結成秘話。2人はどんな保育者だった?
ーーーまずは、保育の道を志したきっかけについて教えてください。
(ケロ)私はずっと音楽大学に行きたかったんですが、親戚の子どもと時々遊んだりしているうちに、子どもとかかわる仕事に興味が湧いてきて。それで音楽と幼児教育を学べる音大を目指しました。
大学では遊び歌研究会に入って、子どもたちとキャンプしたり、遊び歌を披露したり…子どもと遊ぶ楽しさをたくさん味わって、改めて保育の道に進むことを決意しました。
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(ポン)私はもともと、小学校の先生になりたかったんです。
それで小学校と幼稚園の免許が取れる学校に行ったんだけど、勉強するうちに「教師は子どもを導かなきゃいけないけど、自分にできるかなあ…」と不安な気持ちも出てきて。
ただ、子どもと遊ぶのは好きでしたね。ケロちゃんが以前やっていた子ども向けバンド「トラや帽子店」は学生時代から大ファンだったので大学を卒業してからは音楽活動のお手伝いをしていました。
そしたらケロちゃんが知り合いの幼稚園に私を紹介してくれて。お話を聞きに行くとすごく素敵な園だったから、そこで働くことに決めたんです。
楽しかった?つらかった?保育者時代の「園選び」エピソード
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ーーーお二人が保育者として働いていたのはどんな園だったんですか?
(ケロ)私が新卒で入職したのは、クラスを統率する保育が求められる園で、子どもとたくさん遊んできた私にとってはすごくギャップのある環境でした。
最初の頃は全然子どもをまとめられなくて、主任の先生に『あなたの保育は0点よ!』なんて言われちゃって。ショックで「もう無理だ~」と落ち込みましたね。
慣れてきて自分らしく遊べるようになると、逆に『クラスの色が出すぎている』と指摘されて…「100人いたら100通りの色があるんじゃないか」と言い返したこともあったなあ。
自分のやりたい保育がすごくあったのにそれを受け入れてもらえなくて、心がぺしゃんこになっちゃいました。
結局、園の決まりみたいなものにはまるしかなかったというか。初めての社会経験だったから、余計に挫折を感じていたのかもしれません。
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(ポン)逆に私は、自由でのびのびした園だったのですごく自分に合っていると思いながら働いていました。
正直、最初は自分が保育なんて…と思っていたので、園の代表に「子どもたちとどうつきあえばいいんでしょう?」という疑問をぶつけたんですよ。そしたら、「大丈夫よ。子どもが全部教えてくれるわよ」って背中を押してくれたんです。
その言葉を胸に実際にやってみたら、本当にその通りだったしとても楽しかった!
保育をしていると本当に子どもから教わることがたくさんあって、子どもと過ごす中で自分の人生も生き直せるっていうのかな。幼い頃の自分の気持ちを思い出せるので、子どもとの日々ってすごくいいなあと感じましたね。
ある日の保育園では、子どもに「僕のお父さんは仕事に行っているのに、ポンちゃんはいいね、僕たちと遊んでて」って言われたこともあって(笑)子どもたちは私のことを”大人の友だち”って思ってたのかもしれませんね(笑)
(ケロ)私もポンちゃんと同じ園で働いていた時期があったけど、すごくはっちゃけた遊びができて楽しかった!それこそバンドごっこをしていたら騒音で苦情が届くくらい(笑)めちゃくちゃだったけど楽しかったな。
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今つらい保育士さんに伝えたい…もし「この園、合わない」と感じたら?
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ーーー今、「やっぱり自分には合わないかも」と悩んだり、つらい思いを我慢したりしている保育士さんはとても多いと思います。
(ポン)「最初に入った園で頑張るべき」と考える人は多いけど、保育士さんも「違う」と思ったら別のところに変えたっていいんじゃないかな?
それこそ、保護者の方が子どもを入れる園を選ぶみたいに。
私はたまたま入ったところが自由な園で、そこが自分にぴったりだったからよかったけど、かっちりした園だったら働けなかったかも。
(ケロ)そこはもう見学をすべきなんだよね。それも一カ所じゃなくて何カ所もしたほうがいい。
私の失敗は…本当に一つの園しか受けなかったことなんですよ。もっといろんな園を知っていれば、自分に合ったところが見つかったのになとは思います。
(ポン)でも、私が園で働いて思ったのは、「嫌だなって思いは無駄じゃないんだ」ってこと。
いっしょに働いていた先生たちは、どの人も保育士としての芯を持っていたんですよ。みんな前職で「私はこういう保育をしたいんじゃない」って理想と現実のギャップを感じて、やりたい保育を実現するために転職してきた方ばかりだったんです。
でも保育士になりたてだった私は「やりたいようにやっていいよ」と言われても、当時は自分がどんな保育がしたいかすらわからなかった。
だからそんな先生たちを見て、「嫌だな」「変だな」って思った経験があるからこそ、こうしたいって指針が見つかることに気づいたし、挫折や違和感は全部力になるんだと学びました。
保育のやり方は一通りではないから、入職してから「なんか違うな」と思ったら自分の意見を伝えてみて、それでも無理ならそこを辞めてもいいと思うな。
「私に保育は向いていない」じゃなくて、たまたまそこが自分に合わなかったんだって考えてほしいです。
それから「自分がやりたい保育って何だろう」と向き合って考えることができれば、「違う」と感じた経験を糧にできると思いますね。
ケロポンズが贈る!保育士さんへのエール
ーーー「違うと思ったら環境を変えてもいい」というのは、今悩んでいる保育士さんにとってすごく励まされる言葉だと思います。
(ケロ)もちろんすぐに辞められない状況の方もいると思うから、そんなときは味方の先生を作ってみるといいんじゃないかな。
もし話しやすい先生がいれば、「どうしたらいいんでしょう」って聞いてみると意外とその人が助けてくれるかもしれない。
(ポン)子どものために…と思えば頑張れるのかもしれないけど、やっぱりしんどいと思いながら続けるのはやりたくないな。
(ケロ)そう、私だって続かなかったもん!
だから、無理だと思ったら私と同じように環境を変えてもいいと思います。自分に合った園を見つけるのが重要だからね。
やっぱり先生たちには子どもと楽しく過ごしてもらいたいです!
(ポン)子どもって本当に素晴らしい存在じゃないですか。だからその魅力を感じられるような日々を過ごしてほしいと思いますね。
先生たちが、自分も子どもも幸せにいられる保育ができますように!
保育者・アーティスト両方の経験を持つケロポンズが、子どもの夢中を引き出すスイッチを語る「保育のヒント編」もぜひチェックしてみてくださいね♪
ケロポンズプロフィール
増田裕子さん(ケロ)と平田明子さん(ポン)の2人からなる音楽ユニット。
子ども向け楽曲及び振り付けの制作とともに親子コンサートを開催しており、子どもも大人も楽しめるステージが人気。
代表作「エビカニクス」のYouTube動画再生回数は累計1億回を突破。
NHK「おかあさんといっしょ」などTV番組への楽曲提供を手掛けるほか、「フジロックフェスティバル」「題名のない音楽会」スペシャルライブなど音楽イベントへも精力的に出演する。
保育セミナーの実施や絵本の出版など多方面で活躍中。
CD「じゃんじゃん!ハイ!っと あそびうた」(カエルちゃんオフィス)
ミュージックパネルシアター「どこどこ?アンディちゃん」(世界文化ワンダークリエイト)