認定こども園の増加にともない、保育士と幼稚園教諭の両資格を持つ「保育教諭」のニーズが高まっています。キャリアアップを目指す保育士さんがこれから取得することも可能です。今回は、保育教諭になるための方法、特例措置の活用法、資格取得の比較、そして効率的な両資格の取得について解説します。
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保育教諭とは?資格の経過措置について
認定こども園の増加にともない、「保育教諭」という職種が注目を集めています。
保育教諭の配置が必須とされているのは、認定こども園のなかでも幼稚園と保育所の機能をあわせ持つ「幼保連携型認定こども園」です。この施設は、幼児教育および児童福祉施設としての法的位置付けを持つ単一の施設です。
幼保連携型認定こども園で働ける保育教諭になるためには、保育士の資格だけでなく、幼稚園教諭の免許も必要となります。両方の資格を持つことは、幼児教育のスペシャリストとして仕事に生かせるだけでなく、働き方の幅や選択肢も広がるでしょう。
認定こども園の創設にともない10年間にわたり施行された「保育教諭の幼稚園教諭免許状の更新」の経過措置期間は、2025年3月31日までとなります。
この期間中は、幼稚園教諭免許状または保育士資格のいずれか一方を有していれば保育教諭等になることができますが、経過措置期間終了後は、有効な幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方が必要となります。
経過措置期間中に保育教諭等となった者も、期間終了後にこの条件を満たさない場合は、その職を失うことになります。
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保育教諭資格の取り方
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現役の保育士資格を保有しているなかでも、幼稚園教諭の免許を持っていない、または幼稚園教諭のみの資格を持っているという方は少なくないでしょう。
「保育園で働ければよいので保育士資格のみで十分」 「保育士資格を取得するための時間的な余裕がない」などと考える方もいるかもしれませんが、ここ近年の認定こども園の急速な普及を考えると、両資格を取得することでキャリアの選択肢が広がるかもしれません。
現在、「経過措置」が有効な間に、両資格の取得を目指す方が増加しています。以下で保有資格の状況ごとにまとめました。
一方の資格のみを保有している場合
経過措置の対象となる基礎資格は以下の通りです。
【保育士資格を持っていない場合】
幼稚園教諭免許状を有している。
【幼稚園教諭資格を持っていない場合】
(一種)学士の学位を所持しており、保育士資格を有している。
(二種)高等学校卒業以上で、保育士資格を有している。
一方の資格のみ保有+実務経験がある場合
下記の施設で、3年以上の経験があり(勤務時間の合計が4,320 時間)実務証明書の発行が可能な方も対象になります。
- 幼稚園
- 保育所
- 公立の認可外保育施設
- 認定こども園
- へき地保育所
- 幼稚園併設型認可外保育施設
- 認可外保育施設(認可外保育施設指導監督基準を満たし、一定基準の集団により、継続的に保育を行なう施設)
しかし2025年4月以降はこの経過措置期間が終了するため、幼稚園教諭免許状が有効な状態であり、かつ、保育士資格を有していない場合は注意しましょう。
経過措置中に保育教諭として働いていたとしても、期間終了後はその資格がなくなるため、職を失うことにもなりかねません。
事前に申請することで延長措置が適用される場合などもあるので、勤務先と相談して早めに対応するようにしましょう。
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特例措置を利用して保育教諭になるには
経過措置期間中に特例措置を利用して保育教諭になる場合の資格取得について、大まかにまとめると以下のようになります。
- 保育士資格・幼稚園免許いずれかを取得
- 実務経験を3年以上積む(単位取得中でも可・特例措置執行期間までに限る)
- 文部科学省または厚生労働省で定められた大学等の施設で開講された講義にて必要単位を8単位以上取得
- 提出書類(実務経験証明賞や修了証明書)を提出の後、資格または免許を取得
ここからは、各保有資格ごとに見ていきましょう。
保育士資格のみ保有
必要条件は、保育士としての3年間の実務経験と大学等における8単位の修得です。
単位修得複数の施設での経験を通算することも可能ですが、その場合は各施設からの証明が必要となります。
文部科学省が指定した大学などで履修可能です。通学制の場合、学校によりますが、単位の修得に約20日間を要するのが一般的です。費用は概ね8万円から15万円程度です。
幼稚園教諭資格のみ保有
幼稚園教諭の資格のみを持っている場合に、経過措置期間内に保育士資格を取得する方法です。
幼稚園教諭免許を有し、幼稚園などの施設で3年以上かつ4320時間以上の実務経験を有していれば、特例期間内に通常よりも少ない単位で保育士資格を取得することができます。
単位修得後に実務経験を積むことも可能です。複数の施設での経験を通算することも可能ですが、その場合は各施設からの証明が必要です。
単位修得が可能な施設は、特例措置で幼稚園教諭免許を取得する場合と同様、文部科学省が指定した大学等で履修可能です。
特例措置を使用しない場合と使用する場合の違い
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保育教諭を目指す場合、特例措置を利用するメリットについて考えます。
保育士免許を保有している場合
通常、幼稚園教諭免許を取得するためには、幼稚園教諭養成課程の修了が必要です。4年制大学の場合は一種、短期大学や専門学校の場合は二種が取得可能です。必要単位数は、一種の場合59単位、二種の場合39単位です(いずれも教育実習・教育実習演習を含む)。
特例措置適用の場合は、保育士資格、3年間の実務経験、8単位以上の修得が条件となります。
幼稚園教諭免許を保有している場合
通常、保育士資格を取得するには、保育士養成学校を卒業するか、保育士試験に合格する必要があります。
保育士養成学校の課程では68単位の取得が必要ですが、幼稚園免許保有者は34単位に減免されます。特例措置を利用すると、通常34単位が必要なところを、実務経験3年間と8単位の取得で取得が可能です。
特例措置を利用して両資格を取得する最短のコツ
保育士資格も幼稚園教諭の免許も持っていない方向けに、両資格を取得するための方法を提案します。 一般的に、幼稚園教諭よりも保育士資格の方が取得しやすいとされています。
これは、教育施設で学ばなくても筆記試験・実技試験に合格すれば保育士資格が取得できるためです。自己のペースで学習できる点で効果的な方法です。
まずは保育士試験に合格し、保育士資格を取得します。次に、保育士として就労しながら実務経験を積み、特例措置を導入している通信制大学等で8単位以上を取得します。実務経験が3年に達したら、特例措置を利用して免許を申請します。
保育教諭として認定こども園で働きたい方は、まずは求人情報のチェックから始めてみてはいかがでしょうか。
認定こども園の求人を見る出典:幼保連携型認定こども園における保育教諭の幼稚園教諭免許状の更新について/厚生労働省
自分にあったスタイルで保育教諭をめざそう
「保育教諭」という職種が新しく生まれたことで、保育士および幼稚園教諭に新たなキャリア形成の機会にもなりました。
特例措置の活用に関わらず、自己研鑽を積むことは保育士や保育教諭として日々の保育実践に活かされるでしょう。キャリアパスの一つとして保育教諭を目指すことも検討してみるのもいかもしれませんね。
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