保育士さんが退職・転職する際の退職交渉につまずいてしまうケースの多くは「退職理由の伝え方」が要因になっているようです。退職交渉を円滑に進めて希望通りに退職するのは理想ですよね。そこで今回は、効果的な保育士さんの退職理由の伝え方について、NG例や伝えづらい理由の言い換え例を紹介します。
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【退職交渉のポイント】退職理由はなぜ大切?
保育士さんだけでなく、雇用されて働いている人には民法で定められた退職の自由があります。
本人が退職したい意思を雇用主(もしくは上長など)に伝えれば、法的にはどんなに引き止められても2週間後に退職することが可能です。
しかし、人手不足が常態化している園や、保育士さんの個人の力量に頼ってしまっている園などでは、一人でも退職されては困ると引き止めを行なうことも少なくないようです。
園側がそのような引き止めを行なう際に、最も「引き止めの材料」にされがちなのが、この退職理由ではないでしょうか。
本人の意思によっては、退職理由を伝えなくても退職できます。しかし、退職交渉の場では必ずと言ってよいほど聞かれるでしょう。
その際に退職理由をどう伝えるか、なにを伝えるかは、よくも悪くもその後の退職交渉に大きく影響する重要なポイントと言えるのではないでしょうか。
スムーズに退職交渉を成功させるためには、相手に引き止めの材料を与えない退職理由をしっかり準備して、ストレスなく新しい環境に向かえるよう心がけておけるとよいですね。
【退職交渉のポイント】退職理由のNGパターン
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転職・退職を考えて退職交渉するのであれば、誰でもすでに退職理由があるはずです。そのため「わざわざ準備する必要がある?」と疑問に思う保育士さんもいるでしょう。
しかし、退職交渉を長引かせない退職理由を事前に考えておくと、面倒な話し合いに巻き込まれることや思い通りに退職できなくなるといったトラブルを避けられるかもしれません。
ここでは退職理由の伝え方・内容のNGパターンについて考えます。
【NG例1】職場への愚痴や不満をそのまま伝える
その職場への不満が退職理由である場合、それを理由のメインとして伝えるのは避ける方がよいでしょう。
職場への不満としては、主に以下のような理由が多いようです。
- 業務内容に対する不満
- 待遇に関する不満(働き方・役職・給与など)
- 人間関係に対する不満
働く側が抱くこれらの不満要素は、ほとんどが勤務先の運営側の怠慢や環境不備によって起こる問題と言えるでしょう。
しかし、職場としてそのやり方を変える気がなかった、もしくは対応が足りていなかったために退職者が出るに至った現状を考えると、退職を前提とした保育士さんがそれを指摘したところで、お互いが相手にネガティブな印象を持つだけで終わってしまいがちです。
退職理由が職場環境である場合も、その不備や不満をぶつけるような言葉選びや態度は避けてソフトかつポジティブに伝えることが、結果的に退職交渉をこじらせないポイントになるでしょう。
【NG例2】嘘の理由を伝える
ネガティブな退職理由を伝えるのを避けたいあまり、つい嘘をついてしまう人は少なくないようです。嘘をつき続けることは大きな労力になるため、自分のためにも避ける方がよいでしょう。
ありがちなパターンとして「地元に帰る(転居する)」「結婚・出産」「入院」といった嘘の退職理由を伝えることがあります。
しかし、保育園や児童福祉施設など保育士が集まる職場に転職することで、過去の同僚や上司との共通の知人ができたことで嘘が発覚してしまった、というケースは多く耳にします。
また、そのような「やむを得ない状況」を装うことで、その場の退職交渉自体がうまくいっても、退職日までの間に園児や保護者にも嘘をつき続けなくてはいけなくなるでしょう。
自分自身に過度なストレスがかかることも考えられます。
【NG例3】曖昧な表現をする
退職の意思を伝える際は、退職する意思をはっきり伝えましょう。
曖昧な伝え方のよくないパターンとしては、以下のような伝え方が例に挙げられます。
- 「実は、新しい仕事が見つかって……」
語尾を濁して退職の意思をはっきり断言しない。察してもらおうとする態度は不誠実に見られます。
- 「退職日はいつでもいいんですけど」
自分のことを決めきれずに相手に委ねる態度も印象はよくありません。「〇月末で退職を希望しています」とはっきり伝えたうえで、相手からの希望も聞きましょう。
- 「給料が上がるなら残ってもいい」「○○先生さえいなければ続けたい」
自分の退職を盾にとって職場環境・待遇の改善要求をするのは、モラルに欠ける行為です。このような場合は、最初から退職交渉ではなく、その問題について建設的に交渉しましょう。
上記の例は、いずれも職場や上長などに対して義理や誠実さを欠いた態度ととられてしまうかもしれません。相手に責任転嫁する言葉や判断をゆだねる言動は控え、自分の軸をしっかり持ちましょう。
ただ、同業他社への転職が決まっている場合、それを伝えることに抵抗を感じるという場合は、転職先の園名や雇用形態、給与・待遇などをすべて明らかにする必要はないでしょう。
このような場合は、あえて「まだ把握できていない」というように言葉をにごしても問題ないようです。もちろん、開示することに抵抗がなければ話しても構いません。
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【退職交渉のポイント】退職理由のポジティブ変換例
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伝えづらい・こじれそうな退職理由は、職場環境が理由であることがほとんどと言えるかもしれません。これらの退職理由をできるだけポジティブに言い換えることで退職交渉を乗り切りましょう。
【言い換え例1】職場の待遇・給与に不満がある場合
退職理由が待遇や給与に対する不満の場合は、それらの不満を以下のようなポジティブワードに変換してみましょう。
- 何年たってもやりたい仕事を任せてもらえない
→「自分の努力や仕事を評価してくれる園で、自分をもっと高めていきたい」
- 仕事の量や質に対して給与が低い
→「保育士としての質を高めるため、自分の仕事を成果として実感できる職場で働きたい」
- 職場の保育のレベルが低くて理想の仕事ができない
→「自分の理想の保育が実現できる厳しい環境で、新しいチャレンジがしたい」
【言い換え例2】職場の人間関係に問題がある場合
協力し合いながら働く必要がある保育士の仕事では、良好なチームワークが築けない同僚や先輩後輩がいる場合に、転職を考える保育士さんが多いようです。
このような退職理由は、特定の人を責めたりターゲットにしたりせずポジティブな表現に変換して、自分自身の問題として伝えると角が立ちません。
- 性格や考え方が合わない同僚がいる
→「職員同士で連携を取りながらチームワークを大切にできる環境で働きたい」
- 関わりたくない園児・保護者がいる
→「保育士としての対話スキルに自信が持てるようになるため、たくさんの子どもと接したい」
- 上司や先輩からパワハラを受けている
→「自分らしく働ける環境で、いつも笑顔で子どもたちと向き合える保育士を目指したい」
【言い換え例3】仕事量や残業が多いことが理由の場合
業務量が多すぎることや残業や持ち帰り仕事が多いことに悩む保育士さんは少なくないようです。
少しでも働きやすい環境で現場の保育に集中したいと考えるのは、転職理由として決して間違ってはいないでしょう。大切なのは、言葉を調整してポジティブな退職理由にして伝えることかもしれません。
- 事務作業や雑用がアナログなため無駄な時間をとられる
→「保育に集中して子ども一人ひとりに向き合える保育士になれるよう、働き方を見直したい」
- ワークライフバランスを重視した職場で働きたい
→「メリハリを持って業務に取り組むことで、より質の高い保育を目指したい」
- 休みがとれない・職場が遠くて通勤がつらいなど
→「保育士としての意欲をもって定年まで長く働き続けられる環境で、健康的に働きたい」
退職理由と伝え方を事前準備して万全の退職交渉を
退職交渉をする上で避けては通れない退職理由について、伝え方の態度と言葉選びについて考えてきました。
退職にあたっては、誠実かつはっきりした意思を持って自分の考えを伝えることや、職場の不満をポジティブに伝えることで交渉がスムーズに進むかもしれません。
相手や職場を責めずに説得力を持たせる退職理由の変換例は、揉めたりこじれたりする最悪の事態を避けるためのアイデアの一つとして参考にしてみてくださいね。
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