保育現場で、3歳児に並ぶ練習をするのに苦労することがあるかもしれません。この記事では、そんな保育士さんのために、3歳児が楽しく並ぶことができるアイデアを紹介します。また、2歳児にも使える工夫や、指導時に気をつけたい点についても解説します。今日からすぐに試せるヒントが満載です。
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3歳児に並ぶ練習が必要な理由
保育現場で3歳児に並ぶ練習をする理由は、集団生活の中でのルールを学んでもらうためです。並ぶことは、単に順番を守るだけでなく、待つことや他者を尊重することを学ぶ大切な機会となります。
保育園で並ぶシーンとは
以下のように、保育園では子どもたちが並ぶ場面が日常的に数多くあるでしょう。
- 朝の会や帰りの会
- 給食の配膳やおやつの時間
- お散歩や公園までの道のり
- 遠足や園外活動での移動
- 運動会や発表会などの行事
これらの場面では、子どもたちがスムーズに並んで行動できることが求められることが多いようです。そのため、日頃から並ぶ練習をしておくことは、子どもたちが集団行動に慣れるために必要と言えるかもしれません。
3歳児への指導で気をつける点
3歳児はまだ自我が強く、他の子どもといっしょに行動することが難しい時期です。この時期に並ぶ練習を行なうことで、子どもたちが集団生活での基本的なルールを少しずつ身につけられるとよいでしょう。
ただし、3歳児にとって並ぶことは必ずしも簡単ではありません。まだ自分のペースで動きたい気持ちが強く、他の子どもとの協調が難しいことも多いようです。
そうした年齢なりの特性を理解したうえで、並ぶ練習を子どもたちにとって「楽しい体験」として取り入れてみるのはいかがでしょうか。
3歳児の並ぶ練習を成功させる保育アイデア
3歳児が楽しく並ぶことができるようにするために、並ぶ練習にゲーム感覚で取り組んでみましょう。ここでは、実際に保育現場で試せる具体的なアイデアをいくつか紹介します。
ゲームで楽しく練習
前述した通り、子どもたちが自然と並びたくなるように、ゲーム感覚を取り入れた方法が有効です。
たとえば、「リズムに合わせて並ぼう!」という活動では、音楽をかけながらリズムに合わせて歩き、音楽が止まったらその場で止まって並ぶといった練習ができます。リズムに合わせて動くことで、楽しみながら自然に並ぶことを覚えます。
また、伝言ゲームや並んだ状態でボールなどを隣の人へリレーするゲームなど、並ぶことで成立するゲームや遊びを取り入れることで、並ぶ練習につなげることもできそうです。
物語を取り入れた並ぶ練習
物語を使うことで、子どもたちが並ぶことに興味を持つように仕向けることができます。
「絵本の中のキャラクターが並んでいる場面を再現しよう!」という設定で、子どもたちが好きなキャラクターになりきって並ぶ練習をします。キャラクターになりきることで、並ぶことが楽しい遊びに変わりそうです。
視覚的なサポートを使った誘導
子どもたちに並ぶ場所をわかりやすく示すために、フロアマークやカラーコーンを使った視覚的なサポートを活用するのもよさそうです。
たとえば「まっすぐ」という概念が、3歳児にとっては実感として分かりづらいこともあるでしょう。
そのような場合に、床に貼ったマークの上に立つように指示することで、子どもたちは自然とその場所に並んでくれるかもしれません。色や形で区別しやすくすることで、並ぶ場所が一目でわかり、混乱も減りそうです。
また両手を前に伸ばす「前へならえ」を取り入れて等間隔に整列することを理解するのも、視覚的なサポートと言えるでしょう。
上記のアイデアを組み合わせることで、3歳児が楽しく並ぶことができ、保育士さんも指導しやすくなりそうです。また、子どもたちの個性に合わせてアイデアをアレンジすることで、さらに効果的な練習が可能になることもあるでしょう。
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2歳児にも使える工夫とアプローチ
2歳児はまだ言葉の理解や自己コントロールが発達段階にあるため、並ぶこと自体が難しい場合も多いかもしれません。そこで、2歳児向けの柔軟な方法を取り入れて、無理なく並ぶ練習を行なってみましょう。
歩く速度を合わせる練習
2歳児には、歩く速度を合わせることから始めるとよさそうです。みんなで「おさんぽゲーム」をしながら歩くスピードを合わせてみましょう。
歩くことが楽しいと感じるようになると、並ぶことへの抵抗感も減るかもしれません。
一人ひとりに寄り添う指導法
2歳児は個々の発達差が大きいため、一人ひとりに合わせたアプローチが必要です。並ぶ際には、保育士がそばに寄り添い、「いっしょに並ぼうね」と声かけをしながら指導するとよいでしょう。
成功したときには「まっすぐ並べたね」と具体的に褒めることで、子どもたちの自信につなげることも重要です。
いっしょにできる活動
2歳児と3歳児がいっしょに並ぶ練習をする場面もあるかもしれません。その際には、子ども同士のペアを作り「お友だちと手をつなごう」というように、2歳児と3歳児が協力しながら並ぶ練習を行なうと効果的です。
お兄さんお姉さんである3歳児といっしょに練習することで2歳児は安心感を持ち、3歳児はリーダーシップを発揮する機会となるでしょう。
また、2歳児と3歳児が交互に並ぶことで、お互いに整列の仕方を確認し合うといった方法も効果的かもしれません。
並ぶ練習の際に保育士さんが注意する点
3歳児・2歳児に並ぶ練習を行なう際、保育士さんが気をつけるべきポイントについて見ていきましょう。
個別の配慮
子どもたちの中には、並ぶことが特に難しい子どももいるでしょう。そんなときは、その子の特性に合わせた指導を心がける必要があります。
たとえば、特性が強く落ち着きを持ちにくい子どもに対しては、並ぶ位置を先に決めておき、その場所に向かうように誘導するなど、それぞれに対する配慮と工夫が必要です。
焦らず進めるための心構え
並ぶ練習は、すぐにうまくいかないことも多いですが、焦らずじっくりと進めることが大切です。無理強いすると、子どもたちにストレスを与えてしまうことにつながり、並ぶことに対する苦手意識が生まれてしまうことがあるかもしれません。
子どもたちが自分のペースで練習に取り組めるよう、小さな成功体験を積んでもらいながら、少しずつ進めることを心がけましょう。
声かけに気を配る
並ぶ練習でうまくいったときは、適切なタイミングで具体的にほめることが大切ですが、結果を求める場合はほめ方もポイントになります。
この場合は「すごいね」「がんばったね」などのほめ言葉に加えて、「1列にまっすぐ並べていたから、一番前の○○ちゃんしか見えないよ」「ピッの音に合わせて早く集まれたね」「リズムにぴったりだったよ」といったように、よかった点を明確に伝えてみましょう。
このような声かけにより、子どもたちは成功したパターンをより具体的に把握して、次に活かすことができるようになりそうです。
ここで注意したいのは、「そこ、ずれている!」などと前から差し示さないことです。うまく並べない子がいる場合は、名前を呼んでどちらにどのくらい寄ればいいのか具体的に言葉をかけるか、その子のそばに行って実際に位置を直せるとよいでしょう。
園外を移動する際に気をつけるポイント
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園内で並ぶだけでなく、散歩や公園までの移動、遠足や園外活動など、さまざまな場面で行動を歩く機会が増えてくるでしょう。
このような場合に備えた練習としては「1、2、1、2」とかけ声などをかけて、歩調を合わせやすくするのがよいでしょう。自然と一列になって歩くことができそうです。
移動時であっても、公園など特に危険がないような場合では、少しくらい曲がっていたり、間隔が詰まりすぎたりあきすぎたりしても細かく注意せず、みんなで一緒に上手に歩けたことをまず認めましょう。
逆に、お散歩など公道を歩く際に、蛇行したり広がってしまったりするような場合は、危険と隣り合わせということを、しっかり言葉で説明する必要があります。
このような場合は、「白い線の向こうは車が通るから、線から出ないように」と注意点を具体的に指導します。また人とすれ違う時は、保育士が具体的によける方向を指示します。
普段から道の歩き方を練習・指導しておけば、すぐにその状況が危険だと判断できるようになってくるでしょう。
3歳児の並ぶ練習は楽しく、工夫しながら進めよう
保育園での並ぶ練習は、日々の練習や経験などの積み重ねが大切になってくるでしょう。毎日の活動の中で、少しずつ並ぶことに慣れることで、子どもたちは自然と集団行動のルールを身につけていけるとよいですね。
保育士さんが楽しく続けられるアイデアを工夫しながら、子どもたちといっしょに成長していけるとよいですね。
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