待機児童が社会問題化した頃に制度が作られた「認証保育園」。言葉として聞いたことはあるけど実際に見たことがないという方や、認可保育園とどう違うの?といった疑問を持つ方もいるでしょう。今回は認証保育園について、認可保育園・認可外保育園との違い、保育士さんが働く上でのメリット・デメリットを解説します。
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目次
認証保育園とは
「認証保育園」とは、区分としては認可外保育園の一種です。その中でも東京都が独自に定めた基準を満たしている保育園のことを指します。
つまり、東京都にしか存在しない保育園ということになります。
東京都以外で働いていたり就職・転職活動をしていたりする保育士さんの中に、なじみが薄いと感じる方がいるとすれば、設置エリアが限定されていることが理由かもしれませんね。
認可保育園は児童福祉法に基づいて国が定めた基準を満たした園ですが、認証保育園は、東京都が定めた基準を満たすことで東京都から独自の認証を受けています。
そのため基準内容に関しても、認可園は地方も含めた国全体の状況に適した基準が設けられているのに対して、認証保育園の基準は、都心部や居住密集エリアなど都内での設置が考慮されているのが特徴です。
なお「認証」という付加価値があるにせよ認可外であることに変わりはありませんので、利用にあたっては、一般的な認可外保育園と同様に利用者と事業者との間で直接契約を行ないます。
一般的な認可外保育園と異なるポイントがあるとすれば、都内在住の児童のみを受け入れることが挙げられるでしょう。
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東京都の認証保育園「A型」「B型」とは
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東京都に存在する認証保育園は、「A型」「B型」の2種に分類されているのが特徴です。
この区分は、0歳児から就学前の子どもを受け入れるA型と、0歳児から3歳未満児を対象にしたB型というように、受け入れ対象児童の年齢の違いです。
それによって設置基準や乳児室や園庭などの面積の設置規定などに異なる部分があります。
しかし、標準保育時間や職員配置基準、面積、建物の耐火基準をはじめ、それ以外の規定などは、A型・B型でほぼ違いがないようです。
東京都によれば、2024年2月時点で435件が認証保育園として運営されていることが公表されており、そのうちA型は381件、B型は54件となっています。
次章では、認可外保育園との違いを見ていきながら、「A型」「B型」の違いや共通点についても確認しましょう。
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認可保育園と認証保育園の違い
国が定めた基準で運営する認可保育園に対して、認可外保育園の中でも東京都の定める基準で運営する認証保育園。
2つの施設としての違いを以下の表で見ていきましょう。
大きな違いとしては、認証保育園は「0歳児の定員を設定」とあることから分かるように、0歳児の受け入れが義務づけられています。
このことから、待機児童が多い地域で課題となりやすい0歳児・1歳児の受け皿として機能していることが挙げられるでしょう。
また、園庭の設置に関して弾力的な規定を導入していることで、都心部や駅前など、ニーズの高い場所への設置を可能にしていることも大きな特徴と言えるでしょう。
認証保育園で働くメリット
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保育士さんが認証保育園で勤務する際のメリットは以下のようなものが挙げられるでしょう。
待機児童問題の解消に貢献できる
東京都内では、市区町村やエリアによってまだ完全に待機児童が解消されていない地域があるため、一定以上の保育内容や施設規模を保証できる認証保育所の存在は、共働き家庭にとっては非常にありがたいと言えるでしょう。
認可外であっても都の認定を受けた質の高い保育を提供でき、保護者が子どもを安心して通わせられる施設である認証保育園での勤務は、保育士さんのやりがいやキャリアアップにもつながりそうです。
小規模保育や通勤しやすい園を探せる
認証保育園の中でも、B型は乳児を対象とした小規模の保育を前提としている保育施設です。
乳児や少人数保育を希望している保育士さんは、転職先を探す際に認証保育園B型に絞ることで希望の職場が見つかる可能性が高まるでしょう。
少人数でアットホームな保育を目指している保育士さんにとっては、一定以上の基準を満たしている認証保育園で働くことで、設備や保育の質の担保という面でも安心感が得られるのではないでしょうか。
また、認証保育園は基本的に駅前の設置を前提に制度設計されていることもポイントです。駅前に勤務先があることで、保護者の利便性だけでなく保育士さんの通勤しやすさにもつながります。
ワークライフバランス重視の保育士さんは、転職の際にあえて認証保育園を探すことで希望が叶えられることがあるかもしれません。
東京都以外の都道府県にもある「認証保育園」
東京都以外にも待機児童の多い都道府県では、市区町村ごとに基準を設けて保育園を認証・認定している地域も多くあります。
神奈川県横浜市や川崎市が独自基準で認証・認定している「横浜保育室」「川崎認定保育園」、埼玉県さいたま市の「ナーサリールーム」「家庭保育室」、大阪府でも堺市や八尾市などで市独自の認証基準によって保育施設の認証・認定が行なわれています。
ほかにも、地域の待機児童の状況によって、東京都の「認証保育園」と同様の制度を市区町村単位で取り入れている地域は多くあります。
保育を必要とする子どもや家庭には、安心して子どもを預けられる施設が増えるという意味で非常に有用な制度として受け入れられているようです。
認証保育園で自分らしい保育の形が見つかるかも
東京都独自の制度である認証保育園について見てきました。
転職を考える保育士さんにとって、利便性の高い都心で働けるだけでなく、子どもたちに都の認証を受けた質の高い保育を提供できる認証保育園は見逃せない要素でしょう。
東京都以外でも、市区町村の独自基準で運営している認証保育園に準ずる施設が全国的に広がっているようです。より保育ニーズの高い地域で今後も探すことができるかもしれません。
保育士さんが転職を考える際には、一定の基準をクリアしている認証保育園を選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
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