保育士さんが企業内保育所で働きたい!と考えた時に悩みの種になるのが「志望動機」ではないでしょうか。地域の保育園と同じような志望動機では的外れになってしまうかも?と不安ですよね。今回は、企業内保育所に提出する履歴書や面接に応用できる志望動機の例文と、作成のポイントについて紹介します。
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企業内保育所とは
保育士さんが働ける職場のひとつに「企業内保育所」があります。ほかの保育所との違いや特徴について見ていきましょう。
企業内保育所の概要
企業内保育所とは、企業や法人などの事業所が、事業所内または隣接地に設置する保育所 のことです。対象は、基本的にはそこで働く従業員の子どもとなります。
企業内保育所は、児童福祉法で定められている「認可外保育施設」に該当します。
従業員の福利厚生として、2018年度より政府の待機児童対策である「子育て安心プラン」などの施策に基づき、保育の受け皿整備に向けて国が推進したことで、各企業や医療機関などに広まりました。
形態としては、企業が保育士などの職員を直接採用して、企業内の一部署として運営する「直接運営型」と呼ばれるものが基本となっていますが、近年では新たに「委託運営型」も増えています。
これは、外部の社会福祉法人や保育サービス事業者に運営を委託する運営スタイルです。保育士さんが委託運営型の企業内保育所で勤務する場合は、雇用主はその企業ではなく、委託先の運営事業者になることが多いでしょう。
企業内保育所の特徴
企業の授業員の利用のために設置している企業内保育所は、企業ごとの営業カレンダーや就業時間に合わせて保育を実施します。
企業によっては、土日祝日が休み、平日は短時間保育といった保育所がある反面、事業内容によっては深夜や休日勤務に応じた保育を行なう施設もあるなど、従業員の勤務形態やニーズによって大きく異なることが考えられます。
基本的には企業内や同敷地内もしくは隣接地に開設されているケースが多く、立地により、都心のオフィス街にある、園庭がないなど設備面の特徴もあると言えるでしょう。
また近年では、従業員の利用が定員に満たない場合は、企業外の待機児童を受け入れる「地域枠」を設けることも推進されており、より柔軟かつ幅広い保育事業の展開も求められています。
企業にとっては、社会的に子育て支援をアピールし、地域に対するイメージアップとして活用する動きもあるようです。
【企業内保育所の志望動機】作成のポイント
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保育士さんが企業内保育所に応募する際の志望動機を作成するために、押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
企業内保育所の意義を理解する
企業内保育所には、大きく分けると、以下のような3つの意義があると捉えることができます。
- 従業員の離職防止および福利厚生
- 女性活躍の推進など社会貢献活動の一環
- 企業としての対外的なイメージ戦略
企業内保育所が果たす上記のようなねらいを把握したうえで、応募する企業がより力を入れている分野を探りましょう。
従業員のみを利用対象としている企業内保育所であれば、地域の保育園が公開しているような保育所の園児募集サイトなどが開設されていない場合があります。
そのような場合は、企業の公式サイトを見てみましょう。
株主に向けて公開されているIR情報のページや採用サイトにある福利厚生を紹介するページなどで、企業内保育所の理念や概要について紹介されている可能性があります。
運営元の企業理念への共感を伝える
企業内保育所を開設する企業では、子育て支援や女性の社会進出、男性の育児参加などを積極的に推進する方針のもとに保育事業が行なわれていることがほとんどでしょう。
そのような企業の方針や理念への共感を伝えることで、採用担当者に企業内で働く保育士としての適性を感じてもらえるかもしれません。
また、企業が展開している商品や事業内容が身近なものであれば利用しておくなど、直接保育には関係なくても、事業の概要や活動を併せて確認しておくことで面接対策にもなります。
過去の経験・具体的なエピソードを盛り込む
企業によってさまざまですが「少人数保育」「待機児童になりやすい0歳児~2歳児の入所が多い」「保護者が同ビル(敷地内)で働いている」など、企業内保育所ならではの特徴があるでしょう。
応募する企業内保育所ならではの特徴をつかんだうえで、それらが自分の強みや希望の職場に合致していると伝えることが大切です。
その際には、前職での経験や、自分の過去のエピソードやその時に感じたことを実体験ベースで交えながら志望動機に落とし込みましょう。
このようなポイントを押さえることで、自分の理想とする保育に説得力を持たせることができます。
貴園・貴社の使い分けに注意
企業内保育所の形態として特徴的なのが、企業が直接保育所を運営している「直接運営型」と、外部に運営を委託する「委託運営型」があることです。
応募する企業がどちらのパターンかで、採用担当者の所属が変わることに注意が必要になります。
「直接運営型」であれば企業の採用担当者、「委託運営型」の場合は、委託されている事業者が採用担当者となるでしょう。
地域の保育園であれば「貴園の理念に共感して」と書いて問題ないところですが、企業内保育所の場合は書き方に注意する必要があります。
たとえば、保育所の理念に共感している場合は「貴園の理念」、保育所を運営している企業の理念に共感している場合は「貴社の理念」となるでしょう。
また、病院などの医療機関が運営元であれば「貴院」、介護施設などに設置されている場合は「貴施設」「貴法人」などになります。
ここを間違えても致命的なミスにはならないかもしれませんが、自分の中で混同しないように整理しておくと、面接の際にもしっかりした受け答えができるでしょう。
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【企業内保育所の志望動機】例文
前章で解説した、志望動機を作成するためのポイントを盛り込んだ例文を紹介します。履歴書を書く際や面接の準備に参考にしてみましょう。
志望動機1. 保育の経験を活かして社会貢献
志望動機の文例
私は、子どもたちの成長を間近で見られることに喜びを感じ、一人ひとりの可能性を最大限に引き出す仕事に携わりたいと考え、保育士の道を志しました。
これまで3年半ほど、地域の保育所で保育士として勤務してきました。
さまざまな業種や職種で働く保護者の方と触れ合う中で、子どもたちの成長をしっかり見守りサポートすることが、社会で働く方々に貢献することにつながると実感しました。
貴園では、従業員の方々が安心して仕事に打ち込める環境づくりに力を入れていると伺いました。私もその理念に共感し、子どもたちの成長を支えながら、働く保護者さんたちの力になりたいと思い、志望いたしました。
応用ポイント
一般の保育所ではなく、あくまで企業内保育所で働きたいという独自性をアピールしましょう。「働く保護者を支える」という希望を打ち出すことで思いを伝えることができそうです。
志望動機2. 小規模保育への転職を希望
志望動機の文例
私は、これまで○○区の公立保育園で勤務してまいりました。
0歳児から5歳児までのにぎやかな大規模園で、行事や季節ごとのイベントも多いため、日々の業務に追われて、子どもとじっくり向き合う時間がなかなかとれないことが悩みでした。
そのため、改めて基本に立ち返り、一人ひとりの子どもに寄り添う保育がしたいと考えるようになり、それが叶えられる少人数保育での勤務を希望しております。
前職では、主に0歳から2歳の担任を受け持つことが多く、乳幼児の成長に関して学びを重ねてまいりました。特に1歳児からの手先を使う製作や遊びに関してさまざまな試みを行ない、保護者の方にも好評をいただきました。
企業内保育所での勤務経験はありませんが、先輩方とのチームワークを大切にしながら、一人ひとりの子どもたちの成長を見守る保育士としてステップアップできればと考えております。
応用ポイント
「小規模保育」は企業内保育所の特徴として挙げられます。大規模園での勤務経験から幅広い保育ができることをアピールし「一人ひとりと向きあう」ことを重視した希望を伝えるのもよいでしょう。
志望動機3. 企業理念への共感
志望動機の文例
子どもが好きで、絵本や知育に興味があります。子どもの成長や発達を見守りながら、幼児期に豊かな時間を過ごしてもらいたいと思い保育士を続けています。
今回応募させていただいたのは、貴社の「仕事と育児の両立支援、従業員のワークライフバランスを確立する」という方針のもとに企業内保育所を充実させていることに非常に共感したからです。
前職の認可保育園で、あるお母さまが、女性が働くことに勤務先から理解を得られず退職し、子どもも退園となったことがありました。保育士として何もできないことにとても悔しい思いをしました。
貴社の「働く女性や男性の育児を応援する」という思いを拝見し、このような会社で仕事と育児を両立させる女性のサポートをする、保育士としての仕事に誇りを持って働けると強く感じています。
これまでの経験を活かして、子どもたちだけでなく働きながら子育てに奮闘する皆さんの笑顔をサポートしていきたいと考えています。
応用ポイント
企業が保育所を設置している目的を引用しながら、企業と保育士としての理念の一致を伝えると分かりやすいでしょう。企業のメイン事業に向けた理念にも目を向けても説得力が増すかもしれません。
志望動機4. 身近な体験やブランクの間の経験をアピール
志望動機の文例
認可保育園で保育士として5年勤務し、出産と育児のため離職しましたが、改めて資格を活かして働きたいと思い、応募させていただきました。
長男が1カ月入院した際に、病院で担当してくださった先生が同世代の女性だったのですが、院内保育所があるおかげでキャリアを止めずに働けるという話をしてくださいました。
その病院は医師や技師はじめ女性が多く活躍され、男性職員も子どもに優しい方が多かったのが印象的でした。
改めて自分のこれからのキャリアを考えた時に、女性が活き活きと働ける病院に貢献できる仕事をしたいと思いを強くし、院内保育所での勤務を志望いたしました。
貴院で子育て中の職員の方々が笑顔で働けるよう保育士としてサポートすることで、地域医療の活性化にも貢献できるよう努めてまいりたいと考えております。
ブランクはありますが、保育士としてのキャリアや育児経験を活かしながら大好きな子どもたちの成長と健康を見守りたいと希望しております。
応用ポイント
病院内保育でなくても、子育てや日常生活で経験したことを保育士の仕事に落とし込んで志望動機にすることもできるでしょう。ブランクがある場合は、その間でしてきたことを伝えてもよいでしょう。
志望動機のイメージがつかめてきたら、どんな求人があるかチェックしながら、自分に合いそうな企業内保育所の求人を探してみるのもよいですね。
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出典:中央省庁等における企業主導型保育事業の推進:/こども家庭庁
企業内保育所だからこその志望動機で自分の強みをアピール
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さまざまな特徴がある企業内保育所は、保護者だけでなく保育士さんにとってもワークライフバランスの充実が望める環境が多いようです。転職先の候補の一つとして検討してみるのはいかがでしょうか。
でも、企業内保育所ってどうやって求人を探していいのか迷う、求人サイトを見てもどんな企業か分からなくて不安、といった悩みもありますよね。
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