保育園でのお昼寝は、園児だけでなく保育士さんにとっても非常に大事な時間と言えます。毎日、必要なだけしっかり睡眠をとってもらいたいけれど、寝かしつけやお昼寝時のチェックなどに頭を悩ませる場面も多いことでしょう。今回は年齢ごとのお昼寝に最適な時間と、その効果や注意点について解説します。
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なぜ必要?保育園でのお昼寝時間の効果
保育園でのお昼寝の時間は、午睡(ごすい)とも呼ばれます。
お昼寝を取り入れていない保育園はないと言ってもよいでしょう。
しかし、お昼寝は本当に必要?と疑問に思う保育士さんや、保護者に「うちの子にはお昼寝をさせないで」と言われて困った経験がある保育士さんもいるようです。
厚生労働省が交付している「保育所保育指針」では、お昼寝は「生活のリズムを構成するうえで重要な要素」とされています。
しかし、お昼寝を実施する時間帯や所用時間など、具体的な規定は設けられていません。
そのため、保育園でのお昼寝の時間については、園の方針ごとにスケジュールへ組み込まれているようです。
昼食後からおやつまでの間などある程度の時間が決まっている場合や、時間を幅広く取り子どものタイミングで自由にお昼寝をさせる場合など、園によって取り入れ方はさまざま。
これは、保育園でのお昼寝について「保育所保育指針」で以下のような注意点が明記されていることからも分かります。
安心して眠ることのできる安全な睡眠環境を確保するとともに、在園時間が異なることや、睡眠時間は子どもの発達の状況や個人によって差があることから、一律とならないよう配慮すること。
このように、お昼寝については子どもの発達や個人差にも考慮が必要なようです。
また、適切な睡眠は子どもの成長ホルモンの分泌に欠かせないと言われていることからも、保育園では適切なお昼寝の時間が必要であると言えるでしょう。
年齢別!保育園でのベストなお昼寝時間
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年齢を問わず、お昼寝の時間には大きな個人差があると言われています。
しかし、年齢や成長にともないお昼寝に適切な時間はあるようです。年齢別のお昼寝時間の目安を以下で見ていきましょう。
0歳児
0歳児全般で考えると、おおむね2時間から4時間が適切と言われていますが、同じ0歳児であっても、生後3カ月と10カ月では必要なお昼寝の長さやタイミングも変わります。
預かり時間にもよりますが、生後3カ月の場合、午前と夕方でおよそ1時間ずつ、午後(日中)に1時間~2時間ほど取れば問題ないでしょう。
また生後10カ月前後になると、夜にまとめて睡眠をとれる子も増えてきます。子ども一人ひとりの状況に合わせて、午前と午後で2時間~3時間程度になるよう少しずつ調整していけるとよいようです。
いずれの場合も、ミルクの時間にも留意し細かく調整することが大切でしょう。
このように、0歳児では、月齢と保護者からの朝の状態の連絡などを考慮して、無理のないお昼寝時間の確保が必要になるようです。
1~2歳児
1歳を過ぎると、午前中に設けていた朝寝の時間は必要なくなり、午後のみのお昼寝で十分になってくるようです。
この年齢では、1.5時間~2.5時間くらいお昼寝が実施できるとよいと言われています。子によっては短い時間でも問題ない子がいるなど、個人差は大きくあると言えます。
お昼寝の時間をきっちり決めることよりも、その子の体力や日中の過ごし方、その日の様子などに寄り添いつつも、ある程度の生活リズムを確立することが、この年齢では大事かもしれません。
3歳児
3歳児からは心身が安定してくる子が多いでしょう。この年齢での保育園でのお昼寝は、だいたい1時間程度がベストと言われています。
日によってお昼寝をまったくとらない子がいたとしても、無理に寝かせようとする必要はないようです。
これまでも保育園に通っていた子と、3歳からはじめて保育園に通いだした子とでは、習慣のつき方にも差があるでしょう。リズムを整えながら、必要に応じて1時間以内のお昼寝がとれれば問題なしと考えておくのがよいようです。
また、寝起き後にしっかり覚醒しているかを保育士さんは意識して目を配る必要があります。
寝起きすぐの状態で走り回る外遊びや文具を使う製作などの活動に入ることで事故やケガを誘発することのないよう、余裕を持って活動に戻るように促しましょう。
4~5歳児
方針によりますが、4歳児くらいからお昼寝の時間を設けないという園もあります。また、5歳児の年度後半になるとほとんどの園でお昼寝は省略されているようです。
しかし個人差や子どもの状況に応じて、20~30分ほどとっても問題はありません。
なお、長く睡眠をとってしまうと夜に眠れなくなり、生活リズムの乱れにつながります。発熱など体調不良でなければ30分ほどで起床させる必要があるでしょう。
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保育園でのお昼寝時間の注意点
お昼寝の時間に、保育士さんは書類仕事などのデスクワークや交代で休憩をとることが多いようです。しかし、寝ているからと言って完全に子どもから目を離してはいけませんよね。
以下では、お昼寝の時間帯やその前後にも気にしなければならない注意点を見ていきましょう。
お昼寝チェックの必要性
厚生労働省からの要請によると、保育施設では15分ごとにお昼寝時の園児の状態や様子をチェックすることが求められています。
これは2つの事故防止が主な目的です。
ひとつは「SIDS対策」、もうひとつが「うつぶせ寝による窒息防止」です。
SIDSは「乳幼児突然死症候群」の略称です。
主に生後2カ月~6カ月の間の乳児が、眠っている間に突然死亡してしまう病気で、予兆がないことや理由が解明されていないことから、具体的な対策がとれないのが現状です。
睡眠中のSIDS発症に早急に気づくためには、こまめなチェックが必要とされています。
また、うつぶせ寝を防ぐためにもお昼寝時のチェックは有効と言えるでしょう。
保育園に限りませんが、0歳児の就寝時における窒息死事故は、2010年からの5年間で160件にのぼり、不慮の事故死全体の32%を占めているというデータが公表されています。
ともに0歳児における死亡リスクが高いことから、保育園でのお昼寝においてもこまめなチェックは欠かせないと言えるでしょう。
この業務を欠かさないために保育補助員を配置したり、センサーなどでお昼寝時の状態確認ができるICTシステムを導入したりして、チェック環境を整える施設も増えています。
寝かしつけ・起こし方のポイント
3歳児以降になるとなかなか入眠してくれない子もいます。寝かしつけが悩みの種になっている保育士さんもいることでしょう。
お昼寝の際は、部屋は暗くしつつもある程度の採光があるのがよいとされており、一般的には「木陰くらいの薄暗さ」が最適と言われています。
室内の気温は、夏は25〜27度、冬は18〜20度くらいに保つのがよいでしょう。
子どもが安心できる静かな環境をつくることも重要です。
もし寝つけずに騒いでしまう子がいる場合などは、無理に同じ部屋で寝かせずにその子を別の部屋に移動させるなどの対策をとり、ほかの子の入眠を妨げないように配慮しましょう。
また、スムーズな起床のためには、レム睡眠・ノンレム睡眠の状態を押さえるのがポイントです。
幼児はレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルが大人に比べて短く、およそ40分~60分の感覚で睡眠状態が移行することが分かっています。
そのため起こす際は、浅い眠りであるレム睡眠のタイミングで声かけできるとよいでしょう。
こども家庭庁が公開している「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」のチェックリストでは、2歳以降の年齢で「午睡後、十分に覚醒しているか、個々の状態を十分に把握している」という項目があります。
お昼寝から起床したあと半覚醒状態でいると事故が起きやすいといったことから、保育士さんは子ども一人ひとりの状態により注意して目を配る必要があると言えます。
出典:教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン/こども家庭庁
出典:教保育所等における安全計画の策定に関する留意事項等について/こども家庭庁
出典:教育・保育施設等における睡眠中及び食事中の事故防止に向けた取組の徹底について/こども家庭庁
保育園でのお昼寝時間は年齢ごとに臨機応変に対応
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保育園でのお昼寝の必要性と、それぞれの年齢ごとに確保したい時間、ほかお昼寝時の注意点などについて見てきました。
子どもたちが保育園で元気に過ごすため、健やかに成長するためにも、子どもの個性や状況にあわせた適切なお昼寝時間を提供できる保育士さんを目指しましょう!
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