年齢制限がなく、何歳になっても勤務できるのが保育士の特徴です。では、近年の保育士の平均年齢はいくつくらいなのでしょうか?ここでは、全体の平均や他職業との比較、新任保育士や主任保育士など役職ごとの平均年齢や、公立・私立や認可・認可外園など施設別の年齢分布について見ていきましょう。
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保育士の平均年齢は36.7歳!
厚生労働省が2020年に公開した資料「保育士の現状と主な取り組み」によると、全国の保育士さんの平均年齢は、36.7歳 となっています。
全業種での平均年齢が43.1年となっているため、保育士さんの平均年齢は比較的若いことが分かります。
男女の違いでは、女性保育士さんの平均年齢は37.0歳。しかし男性は31.9歳と若干若いようです。
これは、女性保育士の平均勤続年数が7.9年なのに対して、男性保育士の場合は6.2年とやや短いことも関係があるかもしれません。
男性保育士の勤続年数が短いことについては、複合的な理由が考えられます。
例えば、女性中心になってしまいがちな職場環境が多いことや、業務上、乳幼児と触れ合う機会が多い、着替えやオムツ・トイレ介助の必要があることなどから、男性保育士にとって働きにくい状況が生まれてしまうなどといったことです。
これらの改善には、男性保育士さん個人の問題だけではなく、保育現場や保育士養成校での教育、現場や保護者の意識を変化させていくことが必要かもしれません。
年齢構成の分布から見えてくるもの
年齢構成の割合は以下の表のようになっています。
この割合を見ると、20代がボリュームゾーンになっている ことが分かります。
保育士は年齢制限がなく定年後など高齢でも働くことが可能なため、平均年齢がやや上がる傾向が考えられます。
それでも先述のように、他業種と比べて平均年齢が若いことを考えると、この分布もうなずけるでしょう。
また、これらの結果を裏付けるものとして、「保育士試験合格者が保育士として働くことへ感じる不安」の理由として「年齢・体力」が12.6%で、全体の3番目に多い回答となっていることが挙げられるでしょう。
このことからも、保育士の仕事は体力がある若いうちの方が働きやすいというイメージが根強くあるということが見て取れますね。
同じ保育園でも施設形態によって違いが
全国保育協議会の会員調査(2021年版)では、正規保育士・保育教諭の統計が公表されており、保育園の施設ごとの年齢分布を知ることができます。
まずは施設ごとではなく全体でみると、各世代がほぼ均等に分布しているのが分かります。
施設ごとに見ると、公立の認可園では各世代が均等に分布しているのに対して、同じく公立でも民営の園や、認可・認可外を含んだ私立園では、20代が多いのが特徴的です。
なかでも20代が最も多かった施設は「幼保連携型認定こども園」で、全体の34.5%でした。
また、認可外の託児所などが含まれる「小規模保育事業」では【20代・27.1%】【30代・23.8%】なのに対して【40代・27.4%】と、40代が最も高い割合を占めています。
このように、施設形態や運営母体によっても、年齢分布に差が出ているのが分かります。
新任保育士の平均年齢
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ここでは、新任保育士さんの平均年齢について見ていきましょう。
全国保育協議会の会員調査(2021)によれば、新任保育士さん全体の平均年齢は、27.0歳。
平均年齢の分布は、多い順に【24歳以上・36.1%】【22歳未満・27.1%】の順になっています。最も少ないのが【22歳~24歳未満・12.6%】です。
保育士養成校卒業後に新卒で入職する場合は、2年制は20歳、4年制では22歳となることが多いと考えられるため、新卒という観点から見ると、2年制を卒業して入職している保育士さんが多いことが分かります。
また、24歳以上で新任保育士として入職する割合が多いことからは、2年制・4年制いずれを卒業している場合も、一度保育士以外の職業などを経験してから、改めて保育業界に転職している方が多いことが推察されますね。
施設ごとの新任保育士さんの平均年齢をグラフにしてみました。
全体の平均年齢を中心軸にして、認可園が最も若く、認可外の託児所といった小規模保育事業の平均年齢が高いことが分かります。
新任保育士さんの年齢:公立と私立での違い
認可園の公立では多い順に【24歳以上・38.4%】【22~24歳未満・14.6%】となっています。
また私立では【22歳未満・35.8%】【24歳以上・34.6%】の順に多くなっていることから、私立の方が新任保育士さんの年齢はやや若い傾向にあるようです。
新任保育士さんの年齢:認可・認可外など施設ごとの違い
割合に多少の差はありますが、認可・認可外と幼保連携型認定こども園・保育所型認定こども園のいずれも最も多いのが【24歳以上】次いで【22歳未満】となっています。
特に、幼保連携型認定こども園では、他の施設と比較して【22歳未満】の割合が高いのが特徴です。全体の30.8%を占めていることから、若い世代や新卒採用に力を入れている施設も多いことが推測されます。
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主任保育士の平均年齢
全国保育協議会の会員調査(2021)によれば、主任保育士・主幹保育教諭の平均年齢は47.5歳 となっています。
平均年齢の分布は【40~50歳未満・41.5%】がおよそ半数近くを占めているのが分かります。また次いで多いのが【50歳以上・33.5%】。施設によっての差はほとんどないようです。
さらに、主任保育士になるまでの平均勤続年数を見てみましょう。
平均勤続年数は20.5年。分布で見ると【20~30年未満・32.2%】となっており、これは、前回の調査である2016年に比べて短くなっているようです。
幼保連携型認定こども園と保育所型認定こども園では、【10~20年未満】がともに35%代で最も多くなっており、併せて見ても、保育士さんのキャリアパスが若い世代にとって身近なものとなっていることが分かります。
出典:全国保育協議会会員の実態調査2021報告書/全国保育協議会
年齢は気になるけど、保育士はいくつになっても続けられる!
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保育士さんの平均年齢を中心に、全国平均から施設ごと、また新任や主任保育士の年齢などさまざまな角度から保育士さんの平均年齢にまつわるデータを見てきました。
保育士さんは年齢制限がないことやブランクがあっても就職・復職しやすい職種であることから、幅広い年代層が活躍している ことが分かりました。
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