転職先で在職証明書の提出を求められ「前の職場に連絡したくない!」と困った経験のある保育士さんは多いようです。新しい職場に過去の在職証明書を提出するのは、実は大事な意味があるんです!今回は、保育士さんの転職に在職証明書が必要な理由、連絡が気まずいケースや頼んでももらえない場合の対策もお伝えします。

保育士の転職に在職証明書が必要な理由
その勤務先に在籍している(いた)事実を証明する書類を「在職証明書」と言います。
これは勤務先が発行する書類のため、勤務者および元勤務者が作成することはできません。
勤務先にとっては任意作成が基本のため、在籍中・退職後いずれの場合も、勤務者が依頼しなければ発行されないことがほとんどですので、必要に応じて勤務先に依頼しなくてはいけません。
また、就労を証明する書類として「就労証明書」「就業証明書」と呼ばれることもありますので注意しましょう。
それでは、保育士さんの転職にあたって、この在職証明書が必要になる理由を見ていきましょう。
処遇改善手当申請に必要
保育士さんが転職した際に、新しい勤務先から過去の勤務先の在職証明書の提出を求められるのは、保育士さんのこれまでの正しい実務経験年数を、勤務先に証明するためです。
認可保育園は、保育士さんに給与を支払うにあたって、その額に応じた補助金が行政から支給されています。
補助金に適用されている「処遇改善手当」の規定により、保育士さんの実務経験年数に応じた補助金の申請ができるのです。
保育士さんが応募時に提出する履歴書や職務経歴書は、自己申告のため手当の申請には使うことができず、代わりに実務経験年数が正しく証明できる在職証明書が根拠となります。
なお、複数回の転職歴がある場合は、すべての認可保育園における在職証明書が必要です。
この場合、これまでの勤務先が認可保育園以外であれば、在職証明書が必要ない場合もあります。
認可保育園であればパート・アルバイトなど非正規雇用であっても、経験年数として評価の対象になることが多いようです。
在職証明書に必要な項目
在職証明書のフォーマットは、勤務先ごとに定めている書式で問題ないようですが、自治体が規定している場合もあります。
記入される必要事項としては、主に以下の内容となります。
発行年月日
氏名・住所・生年月日
入社年月日
雇用形態、勤務地
勤務日数、勤務時間
業務内容、役職
給与月額、年間の総支給額
会社名
社印
この書面をもとに、保育士さんの給与額も決まると考えてよいでしょう。
連絡したくない!その理由と対策

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保育士として認可保育園に転職する際は、新しい勤務先に在職証明書を求められるのは確実でしょう。だからこそ、退職時に発行してもらうよう忘れずに依頼するのが基本です。
とはいえ、退職時にはそこまで気が回らず、あとから連絡しなくてはならない場面もあるでしょう。
保育士さんが「連絡したくない」理由別の対策を紹介します。
理由その1. 退職時にトラブルがあり気まずい
退職時に引き止められたけど断って気まずくなった、人間関係のトラブルで退職したなど、ちょっとしたトラブルが原因で、前の勤務先に連絡するのは気がひけるという保育士さんも多いようです。
しかし、これは形式上のことだと割り切って連絡するしかありません。
在籍証明書の発行の依頼がしづらいと感じた場合は、法的に発行義務のある「退職証明書」の作成をお願いするというのもひとつの方法です。
「退職証明書」は元勤務者から在職証明書の作成依頼があった場合、勤務先は退職日から2年間は対応しなくていけないと労働基準法第22条で義務づけられていますので、勤務先としても通常業務として処理するでしょう。
電話をかけることにどうしても抵抗がある場合は、封書やメールでの依頼で問題ありません。
封書の場合は、今の勤務先から印刷したフォーマットをもらって同封する、メールの場合はフォーマットのデータを添付するとより親切でしょう。
封書で依頼する場合は、切手を貼付した返送用の封筒を同封しましょう。
理由その2. どこに連絡していいかわからない
勤務先に事務員がいた場合や、運営企業や法人の人事や総務の部署および担当者が分かるようであれば、その担当あてに直接連絡できれば話が早いかもしれません。
書類を作成するのは総務など事務の担当者という場合がほとんどですが、窓口として園長や主任保育士しかわからない場合は、そちらに連絡しても問題ありません。
ここで気をつけたいのが、封書、メールでの依頼の場合「○○保育園御中」として送ると、誰が担当か受取先であいまいになってしまい、誰も対応しないまま放置されてしまう可能性があるということです。
そのため、封書の場合は封筒の表に「在職証明書発行依頼書在中」と朱書きする、メールの場合は件名に「【在職証明書発行依頼】自分の名前」としておく と、受け取った相手にも内容が分かりやすいため、見落とすことなく対応してもらえるでしょう。
理由その3. 退職した園がすでに閉園している
退職の理由が閉園などの場合は、必ず退職時に在職証明書の発行依頼を忘れないようにしましょう。
しかし、さかのぼって過去の勤務先に発行してもらう場合、退職後に閉園してしまったというケースもあるでしょう。
そのような場合は、まず今の職場の担当者に相談して、代わりになる書類があるか確認してください。
次の章では、代替可能な書類の情報も紹介します。
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在職証明書がもらえなかったら

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閉園や、先方の対応によって在職証明書がどうしても手に入らない場合は、以下のような対策があります。
自治体で発行してもらう
前勤務先が市立・区立など公立園の場合は、自治体の窓口で発行してもらえる可能性があります。ただし行政サービスとして行なっている一部の自治体に限られますので注意が必要です。
窓口も自治体によって異なり、福祉課であったり子育て支援課やそれに準ずる部署だったりとさまざまですので、利用したい場合は、自治体のサイトや行政のインフォメーションで確認してみましょう。
年金加入記録を提出
処遇改善手当の証明に使用することのみが目的であれば、「子ども・子育て支援新制度」の規定により、年金加入記録も在職証明書の代替書類として認められているようです。
勤続年月数の確認に当たっては、施設・事業所による職歴証明書のほか、年金加入記録等から推認する取扱いも可能である。
この場合は、ねんきん定期便など年金加入記録になるもので代替が可能ということになります。
また、「勤続年月数の推認」は雇用保険の加入履歴も有効になる場合もあります。
雇用保険加入履歴はマイナポータルで確認できますので、併せて利用できるかもしれません。
しかしこの例は、あくまで「やむを得ない場合」と理解しましょう。
担当者にとっては面倒な処理になる可能性もありますので、提出前に必ず今の職場の担当者に代替書類でも可能か確認するようにしてください。
出典:施設型給付費等に係る処遇改善等加算について/内閣府ホームページ
在職証明書は保育士転職の必須書類!必ず発行してもらおう
保育士さんの給与額にかかわってくる大事な在職証明書。どこの認可保育園でも補助金の申請は行なっているはずですので、発行することに抵抗がある園は少ないはずです。
連絡したくない事情はそれぞれあるでしょうが、新しい勤務先でスムーズに働きはじめるためにも事務手続きの一環としてしっかり対応しましょう。
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以下の記事では、在職証明書は旧姓でも問題ないのかについて解説しています。詳しく知りたい方はぜひ参考にしてくださいね。
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