日常的な保育活動や実習の設定保育の中でフルーツバスケットを行う際に、指導案の書き方に迷う保育士さんもいるかもしれません。このコラムでは、3歳児、4歳児、5歳児の年齢ごとにフルーツバスケットの指導案の書き方をについて紹介します。ねらいや環境構成、工夫ポイントなどをふまえているので、参考にしてみてくださいね。
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目次
フルーツバスケットの指導案の書き方とは
保育活動の中で子どもたちが遊ぶゲームとして「フルーツバスケット」があります。保育園や幼稚園の設定保育やイベントなどで行い、楽しめるゲームのひとつですよね。
幅広い年齢が楽しめるフルーツバスケットですが、指導案の書き方について迷う方もいるかもしれません。指導案は、子どもたちの保育活動をスムーズに行ううえで、大切な事前準備のひとつです。フルーツバスケットを行う際も、ねらいや環境構成などを考え、子どもたちが楽しめるように指導案を作成できるとよいですね。
具体的な指導案の書き方としては、
- ねらい
- 環境構成
- 援助、注意点
- 工夫ポイント
などが挙げられます。具体的な書き方のポイントについて見ていきましょう。
ねらい
ねらいは、その活動を通して子どもにどのような体験をさせたいか、育みたい資質は何か、などの目標のことで、指導案を書く際にはじめに考えることの多い部分です。
普段の子どもの様子をとらえて、設定保育や日常的な保育活動の中でフルーツバスケット行う意味や目的などを考え、ねらいを明確にして記入するとよいでしょう。
環境構成
環境構成の欄には、保育士さん自身がどのような準備をしなければならないのか、手遊びや絵本などを取り入れる導入の方法はどうするのかなど、その保育活動の進め方を書くことが一般的です。
フルーツバスケットをするにあたっての導入、事前の準備やルールの説明はどのようにするのかなどを具体的に書きましょう。
援助、注意点
援助の方法、注意点の欄には、保育士さんがこの保育活動を通して、どのようなかかわりや手助けをすればよいのかを想像して書きます。想定される子どもの姿を通して、保育士さんの対応をイメージしながら書くとよいでしょう。
フルーツバスケットの指導案を書く際もどのように子どもの行動や子どもへの援助の仕方などを具体的に記入し、対応方法を考えていくとよいかもしれません。
工夫ポイント
フルーツバスケットを行うときに、年齢別に工夫ポイントも変わってくるでしょう。子どもたちにルールを説明するときの工夫や保育士さんによる手助けのポイントなどを考えて記入するとよいかもしれません。
保育士さん同士でゲームを進行する場合も、連携のポイントなどを記入してスムーズにゲームが進むように記入しておくとよさそうです。
保育学生のみなさんも部分実習などでフルーツバスケットを取り入れるときに指導案を書く際の参考にしてみてくださいね。子どもの年齢別に、フルーツバスケットの指導案の詳しい書き方を見ていきましょう。
3歳児向けフルーツバスケットの指導案の書き方
まずは、フルーツバスケットで初めて遊ぶことが多い、3歳児クラスの指導案の書き方について紹介します。
ねらい
3歳児は、自身の身の回りのこともひとりでできるようになりはじめ、ごっこ遊びなど友だちと遊ぶ機会も増え始めますが、まだ並行遊びの段階のようです。絵本などの物語も少しづつ理解できるようになり、ものと言葉の対応などの理解が進むのもこの頃でしょう。
こうした3歳児の特徴を踏まえて、次のようなねらいを設定するとよいかもしれません。
- くだもののイメージと名前が理解できる
- 仲間と場を共有した遊びを経験する
- 仲間とゲームを通して協調性を育む
- 聞いた言葉に対応して動くことができる
3歳児が興味をもってゲームを楽しめるようにねらいを考えて、指導案を作成しましょう。
環境構成
3歳児クラスのフルーツバスケットを行うときの環境構成の具体的な例としては、
- くだものをテーマにした絵本の読み聞かせや手遊びで興味を持ってもらう
- グループごとにフルーツを決め、その絵を紙皿に描いたメダルを作る
- 人数より1人分少ない椅子を保育室の中心に円形に並べておく
- 保育士さんがルール説明を行い、最初は保育士さんがオニになって動きの練習をする
- 練習が終わったらゲームを開始して、子どもの様子を見て5回~10回繰り返して遊ぶ
などが挙げられます。
フルーツバスケットを知らない子も多いかもしれません。くだものをテーマにした絵本や手遊びをあらかじめ用意しておくとよいでしょう。
ゲームを始める前に、環境を整えておくことも大切です。部分実習などで行う際も、周囲に危険なものはないか、怪我や事故につながるものはないかなど、場の設定についても気をつけましょう。
援助の方法、注意点
3歳児クラスでフルーツバスケットを行う際の援助の方法や注意点について紹介します。
援助の方法や注意点の具体的な例としては、
- 最初のうちは動くタイミングがわからない子もいるので「よーいドン」「〇〇のフルーツの人だよ」など声掛けをしてリズムよくゲームを進める
- オニになって何を言えばいいのかわからない子には手助けをする
- 友だちと遊んでいる一体感出すために、空いている椅子を教えあうように声をかける
などが挙げられます。
フルーツバスケットを行ったときにどのような点を気をつければよいのか、指導案に具体的に書いておくことで実際に援助する際も、対応しやすいでしょう。どのような手助けが必要になるのかなど、普段の子どもたちの様子を考えながら事前に考えておくとよいかもしれません。
工夫ポイント
3歳児向けの工夫のポイントとしては、初めてフルーツバスケットのゲームで遊ぶ場合も多いので、わかりやすくルールを導入していきましょう。実際にゲームを通して動くことで理解しやすい子もいるので、練習を数回重るとよいかもしれません。
また、子どもが動くタイミングや自分がどのように動くのかわかっていない場合には、保育士さんが適切な声掛けをして、子どもたちをゲームに集中できるように援助するのも大切です。
以前にゲームを行ったことがある場合には、フルーツを動物や食べ物に変えたりなど、簡単なアレンジを加えるとより楽しめそうですね。
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4歳児向けフルーツバスケットの指導案の書き方
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4歳児クラスのフルーツバスケットの指導案の書き方を紹介します。
ねらい
また集団で遊ぶ機会も増え、仲のいい友だちなどができる一方で、友だちとのいさかいやトラブルなども増えてくる時期のようです。集団遊びのルールの理解も早くなり、社会性を身につけはじめる時期といえるでしょう。
このような点を踏まえて、以下のようなねらいを設定するとよいかもしれません。
- 友だちの発言や行動に集中することができる
- 遊びを通して仲間とのかかわりを楽しむ
- ルールに応じた適切な対応ができる
集団遊びの中で仲間との関りを意識しながら、楽しんでゲームができるようにねらいを考えていきましょう。
環境構成
4歳児クラスでフルースバスケットを行うときの環境構成について紹介します。4歳児では以前にもフルーツバスケットを遊んでいる場合が多いこともあるかもしれません。事前に遊んでいることもふまえて次のような内容を環境構成の部分に書くとよいのではないでしょうか。
環境構成の具体的な例としては、
- 子どもに自分の椅子を持ってきてもらい円形に並べてもらう
- フルーツバスケットのルールを子どもに尋ねて、わかる子の説明を通してルールの浸透を図
- 3回ほどの練習を通して全員がルールを理解した後でゲームを始める
- 5回ほど繰り返した後で子どもの様子を見て、簡単な新しいルールを導入する
- 新ルールを加えて遊んだ後で、子どもにも意見を求め、より楽しく遊ぶにはどんなルールがあったらいいかみんなで考えてみる
などが挙げられます。
場の設定を考える際に、子どもたちが自分で椅子をもって運ぶなど任せられる箇所を指導案に記入するとよいでしょう。子どもたちの自発性や協調性を育めるような環境構成を考えるとよいかもしれません。
援助の方法、注意点
4歳児クラスでフルーツバスケットを行う際の援助の方法や注意点について紹介します。
援助の方法や注意点の具体的な例としては、
- 「空いている席があったら教えてあげよう」などの声掛けを促し、友だちと協力して遊べるように工夫する
- 仲のいい友だちの隣に座りたいなどのトラブルが起きた際はその気持ちを受け止めたうえで、どうすればいいのか考えられるような援助を行う
- オニに連続してなったしまう子がいる、など問題が発生した場合は、新しいルールを作ることで解決できるように保育士さんが提案してみる
などが挙げられます。
ゲームを通して、仲間の気持ちをお互いが考えられるように保育士さんが援助や提案を行い、楽しくゲームを行えるようにサポートするとよいかもしれません。
工夫ポイント
4歳児はルールの理解も早くなり、新しいルールを付け加てもすぐにそのルールを適用して遊び始めることができるようです。また集団遊びをする機会も増え、簡単なものであれば自分たちでルールを考えることができるようになるのではないでしょうか。
こうした点を踏まえて適切なタイミングでのアレンジや新しいルールの追加を通して子どもが一味違った楽しみ方を見つけたり、自分たちでルールを考えたりできるように工夫してみるといいですね。
5歳児向けフルーツバスケットの指導案の書き方
年長さんである5歳児クラスの指導案の書き方を紹介します。
ねらい
5歳児は園の中でも最年長となり、小学校に上がる前の時期ということでさまざまなことができるようになるかもしれません。自分たちで考えたり、少し難しいことにも挑戦したりすることもあるでしょう。
こうしたことを意識して、以下のようなねらいに設定するとよいかもしれません。
- 自分たちで主体的に遊びを改善するルールを考える
- ルールを守って友だちと協力して遊ぶことができる
- 問題が発生したときも自分たちで解決することができる
フルーツバスケットのゲームを通して仲間といっしょにゲームを進められるように、ねらいを明確にするとよいかもしれません。
環境構成
5歳児クラスでフルースバスケットを行うときの環境構成について紹介します。
環境構成の具体的な例としては、
- フルーツバスケットをやるよ、準備しようか」の呼びかけに応じて子どもに椅子などの準備を促す
- グループ分けをした後に、保育士さんの掛け声で椅子に座る
- ルールを全員で確認した後に、3回ほど普通のルールでやってみる
- 子どもにアレンジや新ルールの案を出してもらえるように声掛けをする
- 新ルールで遊んだ後に再び考える場を設けて、数回に分けてフルーツバスケットを改善していく
などが挙げられます。
子どもたち同士で椅子の並べ方などについて声を掛け合えるような環境構成を考えていきましょう。
援助の方法、注意点
5歳児クラスでフルーツバスケットを行う際の援助の方法や注意点について紹介します。
援助の方法や注意点の具体的な例としては、
- 保育士さんは導入、意見のまとめ役を中心にゲームを進め、子どもだけで解決できない場合のみ、援助をするようにする
- 準備やゲームの進行がスムーズにかつ時間を意識して進むようにするための声掛けも状況を見て行う
- 意見を出す人、ゲームの中心になる人が偏らないように注意しながらゲームを進める
などが挙げられます。
ゲームをアレンジする際はさまざまな案が子どもたちから出てくるかもしれません。なかなか自分の意見を声に出せない子もいるでしょう。子どもたちの様子を見ながら、さまざまな意見が出るような環境構成を考えられるとよいですね。
工夫ポイント
5歳児は小学校入学前ということもあり、以前よりものごとを深く考えることができるようになったり、自分の意見も言えるようになったりとできることがさらに増えてくる年齢でしょう。フルーツバスケットにおいてもゲームが子ども中心に進むように、保育士さんの援助するタイミングも重要になるようです。
少し難しいアレンジを加えたい場合は、「なんでもバスケット」のようにその日の服装や、好みなどで子どもが自由にお題を考えられるようなゲームにアレンジしてもいいですね。
子どもたちがフルールバスケットを楽しめるように指導案を工夫して書こう
フルーツバスケットを1回実施するにあたって、指導案を書く項目にはさまざまなものがあります。ねらいや環境構成、援助の方法など、専門的な観点から目標設定や注意点などを考え、詳しく記入するとよいかもしれません。
また、年齢ごとの特徴のほかにも、クラスの雰囲気や一人ひとりの子どもの個性によっても設定するべきねらいや援助は変わってくるでしょう。目の前の子どもの姿を想像して、注意点や工夫点も考えながら指導案を作成するとよさそうですね。
指導案の内容を考えることは、子どもに何を達成してほしいのかなどねらいや意味をとらえる大切な機会でもあります。このコラムで紹介した指導案の書き方やねらいは一例なので、日常保育や保育学生さんが部分実習を行う場合などには、自身の担当するクラスの子どもたちにあった内容の指導案を書けるといいですね。