保育園で地震が起きた場合に備えて、子どもに地震の意味や逃げ方をわかりやすく説明する必要があるでしょう。防災意識を高めるうえで、日頃から避難訓練時の約束事を確認することも大切です。今回は保育士さんが子どもに対して、地震の意味や逃げ方を説明する方法を紹介します。お約束事で使われる「おかしもち」の伝え方もまとめてみました。
maroke/shutterstock.com
保育園で地震や避難方法の説明をしよう
近年、日本では地震が起きる回数が増えており、災害に備えた対策が求められています。
保育園においても子どもたちの命を守るために、定期的に避難訓練を行うことが大切になります。その際に、保育士さんは地震の意味や逃げ方について、園児にわかりやすく説明する必要があるでしょう。
なかには、地震の意味をよく知らない子どもたちもいるため、難しい言葉を使わずにクイズや絵本などを活用することがポイントになります。
また、避難訓練時に約束事を話す際、「おかしもち」というワードを使う保育園も多いのではないでしょうか。
地震の意味を説明する方法や「おかしもち」の伝え方を把握し、防災に向けて取り組んでいきましょう。
子どもに地震について説明する方法
まずは、子どもに地震の意味を説明する方法を紹介します。
演劇
子どもに地震について説明する際に、保育士さん同士で演劇を行い、披露するとよいかもしれません。
「園児側」と「避難の誘導側」に分かれ、「地震ってこんなに揺れるんだね」「こわくて逃げられないよ」など、園児が感じることを意識して脚本を作成しましょう。
クイズ
子どもたちに地震についてクイズを出題し、関心をもってもらえるように、工夫するとよいかもしれません。例題を記載するので、参考にしてみてくださいね。
例題1:「みんな地震っていう言葉は聞いたことがあるかな?」
「テレビで見たことあるー」「揺れるんだよね、こわいね」など子どもたちからさまざまな意見が返ってくることが考えられます。園児の気持ちに寄り添いながら、地震についてどのような印象を持っているのか、耳を傾けてみましょう。
例題2:「地震は地面がゆれて歩いたり、立ったりすることも難しいものです。どうしてそうなのるのかな?」
子どもたちから「だれかが保育園を揺らしているんじゃない?」など面白い言葉が返ってきそうですね。
ここで下の例のように、地震について子どもたちへわかりやすく伝えてみましょう。
「地震がなぜ起こるのかお話するね。
みんなが立っている地面の奥にある岩は実は動いているんです。少しずつ動いているから揺れを感じないことがほとんどだよ。だけど、岩が大きく動くとそれがみんなの立っている所に伝わって、とっても揺れることがあります。それを「地震」といいます。
保育園の本が棚から飛び出したり、ドアが壊れたりしてみんなにぶつかったらケガをしてしまうこともあります。
だから、地震が起きたらみんなで先生や園長先生のお話をきちんと聞いて、逃げるときの練習をしようね。」
上記のように、子どもたちにわかりやすい言葉を選んで地震の話をしていきましょう。
“揺れる”ということがどういうことなのかわからない子どもたちもいるかもしれません。地震がきて揺れたときの様子を保育士さんが演じたり、イラストで説明したりすると、伝わりやすいでしょう。
絵本や紙芝居
地震について伝える際に、地震を題材にした絵本や紙芝居を活用することもひとつの方法です。イラストがえがかれているため、子どもたちもイメージしやすいでしょう。
保育士さんが読むときは登場人物になりきり、声の強弱を意識するなど、地震に対して興味や関心を抱くように工夫できるとよいですね。
簡単1分登録!転職相談
転職に関するご質問や情報収集だけでもかまいません。
まずはお気軽にご相談ください!
読んでおきたいおすすめ記事
保育士をサポート・支える仕事特集!異業種への転職も含めた多様な選択肢
保育士の経験を経て、これからは保育士のサポート役として働きたいという方はいませんか?責任の重い仕事だからこそ、人の優しさや支えが必要不可欠な仕事かもしれませんね。今回は、保育士さんをサポートする・支え...
在宅ワークで保育士資格を活かせる仕事とは?自宅でできる保育関係の仕事を徹底解説
通勤時間なく働ける在宅ワークをしたいと考えても「保育士は無理なんじゃないか……」とあきらめている方はいませんか?保育園の事務職や保育ママ、保育園業務のサポートなど、保育士の経験や資格を活かして自宅でで...
病院内保育とは。役割や仕事内容、病院内保育士として働くメリット
病院内保育とは、病院や医療施設の中、または隣接する場所に設置されている保育園のことです。保育園の形態のひとつであり、省略して院内保育と呼ばれることもあります。転職を考えている保育士さんの中には、病院内...
子ども・赤ちゃんと関わる仕事31選!資格の有無や保育士以外の仕事を関わる子どもの年齢別に紹介
子どもと関わる仕事というと主に保育園や幼稚園を思い浮かべますが、それ以外にも意外とたくさんあります!今回は赤ちゃんや子どもと関わる仕事31選を紹介!無資格で活躍できる職場もまとめました。子どもと携わる...
保育士を辞める!次の仕事は?キャリアを活かせるおすすめ転職先7選!転職事例も紹介
保育士を辞めたあとに次の仕事を探している方に向けて、資格や経験を活かせる仕事を紹介します。ベビーシッターなど子どもと関わる仕事はもちろん、一般企業での事務職や保育園運営会社での本社勤務といった道も選べ...
保育士から転職したい!転職先としておすすめの異業種22選。保育士以外の仕事やメリット・デメリットも
保育士以外から異業種への転職を考えている際、どのような転職先がおすすめなのでしょうか。今回は、次の仕事として保育士から転職しやすいおすすめの異業種22選を紹介します。保育士から異業種に転職するメリット...
保育園運営会社の仕事内容とは?本社勤務でも保育士資格は必要?働くメリットや求人事情まで
保育園運営会社にはどんな仕事があるのでしょうか?保育園運営会社で働くことは「本社勤務」とも呼ばれ、保育園の運営に携わる仕事として、主に一般企業に就職したい保育士さんにとって人気の高い職種のようです。今...
【2024年最新】保育士に人気の転職先ランキング!異業種や選ばれる職場を一挙公開
保育士の資格を活かして働ける人気の転職先をランキング形式で紹介!企業主導型保育園や病院内保育所、ベビーシッターなど保育士経験やスキルを活かせる職場はたくさんあります!今回は保育施設や異業種別に詳しく紹...
【完全版】保育士資格を活かせる仕事・働ける企業25選!
保育園で保育士として働くのが辛いと感じて、転職を考えているという方がいるかもしれません。しかし、せっかく取得した保育士資格を活かして働きたいですよね!保育士として得たスキルや経験は一般企業や福祉施設、...
【2024年最新版】幼稚園教諭免許は更新が必要?廃止の手続きや期限、対象者をわかりやすく解説
幼稚園教諭免許は更新が必要なのか、費用や手続き方法などを知りたい方もいるでしょう。今回は、2022年7月1日より廃止された教員免許更新制について詳しく、そしてわかりやすく紹介します。幼稚園教諭免許を更...
保育士は年度途中に退職してもいいの?理由の伝え方や挨拶例、再就職への影響
「年度途中で退職したい...けれど勇気が出ない」と悩む保育士さんはいませんか。クラス担任だったり、人手不足だったりすると、退職していいのか躊躇してしまうこともありますよね。そもそも年度途中で辞めるのは...
幼稚園教諭からの転職先特集!資格を活かせる魅力的な仕事18選
仕事量の多さや継続して働くことへの不安などを抱え、幼稚園教諭としての働き方を見直す方はいませんか。幼稚園教諭の転職を検討中の方に向けて、経験やスキルを活かせる18の職場を紹介します。保育系の仕事から一...
【2024年度】放課後児童支援員の給料はいくら?年代別の年収やこの先給与は上がるのかを解説
放課後児童クラブや児童館などで働く「放課後児童支援員」の平均給料はいくらなのでしょうか。別名「学童支援員」とも呼ばれ、「給与が低い」というイメージがあるようですが、国からの処遇改善制度などにより、これ...
保育士が働ける保育士以外の仕事21選。資格や経験を活かせるおすすめの就職先
保育園以外の職場に転職・就職先を探す保育士さんもいるでしょう。今回は企業内保育所や託児施設、児童福祉施設など、保育士さんが働ける保育園以外の職場を21施設紹介!自身の働き方や保育観を見つめ直し、勤務先...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
【地震の避難訓練】子どもに「おかしもち」を説明する方法
milatas/shutterstock.com
「おかしもち」という言葉に耳慣れないと感じる方もいるかもしれませんが、災害時に子どもたちに避難訓練のお約束事をわかりやすく伝えられる便利な言葉です。
おかしもちの一つひとつの言葉の意味は以下の通りです。
- お「友だちをおさない」
- か「ひとりで駆けない(走らない)」
- し「友だちとしゃべらない」
- も「元の場所に戻らない」
- ち「危ないところに近づかない」
「おかしもち」は災害時の大切な約束ごとの合言葉のひとつになります。保育室に言葉を掲示したり、イラスト入りで紹介したりすると子どもたちが覚えやすいかもしれません。定期的に朝の会や帰りの会などで約束事を確認する園もあるようです。
ここで、「おかしもち」を子どもたちにわかりやすく説明する方法を紹介します。
「お」:押さない
「じしんが起こったときは揺れて、保育園の建物がくずれてしまったり、上から物が落ちてきたりすることが考えられます。机やテーブルの下に隠れると、身体を守ることができることが多いです。そのときは、周りの友だちや先生を押したり、ぶつかったりすると転んでケガをしてしまうから気をつけようね。
揺れがおさまったらホールや保育園のお庭に逃げることもあるでしょう。そのときも他の人にぶつからないようにしようね。」
「押さない」の意味を説明するときは、友だちや先生にぶつからるとケガをしてしまう可能性を伝えましょう。地震が起きた場合にどのような危険性があるのか、具体的に話すことでイメージが沸きやすいでしょう。
「か」:駆けない(走らない)
「地震が起きると地面が揺れてこわくて走りたくなることもあるかもしれません。そのときはまずは走らないで、ダンゴムシのポーズになると頭や身体を守ることができます。先生も『ダンゴムシになるよ!』とお話するから、変身してみよう。※先生が分かりやすいようにダンゴムシのポーズをとる
揺れがおさまったらホールや保育園のお庭に逃げることもあるでしょう。走らずに先生や園長先生のお話をよく聞いて動こうね。」
ダンゴムシのポーズは後ろで両手を組み、足をそろえて正座の形をして身をかがめ、小さく身体を丸めるポーズのことをいいます。
先生が見本になり、ポーズをとることで子どもたちに伝わりやすくなります。揺れがおさまってこわくなり、すぐ走り出す子もいるかもしれません。「まだダンゴムシポーズのままでいてね。」など子ともにわかりやすいように、伝え方を工夫しましょう。
「し」:しゃべらない
「地震が起きると、「どうしよう!」「こわいよ!○○ちゃん」としゃべりたくなることもあるよね。でも、友だちとしゃべると先生のお話が聞こえなくなって、どんな風に動けばよいのかわからなくなることもあります。
それに給食室で料理をしているときに地震が起きたら、火事になってけむりがたくさん出るかもしれません。
しゃべっていると口の中にけむりが入って、苦しくなることもあるから気をつけようね。」
地震が起きたときにしゃべるとどのようなリスクがあるのか、子どもたちにわかりやすい言葉で伝えましょう。火事になった場合も伝え、身体を守る大切さを話せるとよいですね。
「も」:もどらない
「地震が起きて揺れがおさまったら、ホールや保育園のお庭に逃げることもあります。逃げたあとに『ジャンバーをわすれた。』『バックをとりにもどらなきゃ!』とお部屋に戻りたくなることもあるかもしれません。
でも、戻ったときにまた地震がきてケガをすることもあります。先生や園長先生のお話をよく聞いてから動くようにしようね。」
子どもたちが不安にならないように、なぜお部屋に戻ってはいけないのかをしっかり説明するようにしましょう。
「ち」:ちかづかない
「地震が起こると保育園にある棚が壊れたり、いろいろなものが落ちてきたりすることがあるかもしれません。そこに近づくと転んでケガをして危ないよね。
それに給食室から火が出て、火事になることもあります。危ないところは先生が説明するから、近づかないようにしようね。みんなでケガをしないように気をつけよう!」
実際に地震が起きたときに、子どもたちは危険な場所が分からずに走り出してしまうこともあるでしょう。地震が起きるとどのような場所が「危ない」のか、具体的に話をするとよいかもしれません。
このように防災対策のひとつとして、保育園で子どもたちに向けて「おかしもち」の意味を丁寧に説明しましょう。上記を参考に説明してもよいですし、保育士さん同士で伝え方のアイデアを出し合うなど、工夫できるとよいですね。
子どもに地震をわかりやすく説明して防災意識を高めよう
地震が起きたときに子どもたちが落ち着いて行動できるように、避難訓練ではお約束事を説明することが大切になります。
園児に「ダンゴムシのポーズをとる」「机やテーブルの下に入って身を守る」など具体的に身を守る方法を伝え、わかりやすい言葉で話せるとよいですね。
また、職員同士で子どもたちの誘導方法などを定期的に確認し、災害に備えることも重要です。
保育園で地震が起きた場合を想定し、避難の方法や子どもへの声かけの仕方をしっかり考えて、防災意識を高めていきましょう。
関連記事:9月1日は防災の日。保育園での避難訓練のポイントや子どもたちへの伝え方/保育士バンク!