退職後、失業保険の申請や保険証の切り替えなどの手続きに必要な離職票。何らかの理由で届かない場合、どのように対処すればよいでしょうか。失業手当の受給期間が2カ月と決まっている場合、早めに受け取りたいですよね。今回は、離職票がいつ届くかやハローワークなどに相談するといった対処方法について紹介します。
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離職票はなぜ必要?
離職票は、退職後に働かない期間がある人が受け取るべき公的書類です。
失業保険の受給手続きや、年金・保険証の切り替え手続きなどに必要とされています。
退職した方のなかには、「いつ届くのかわからない」「なかなか届かなくて手続きが始められない」といった悩みをもっている方もいるかもしれません。
まずは、一般的に離職票が届くまでの流れと、届かないとどうなるか確認しましょう。
離職票が届くまでの流れ
離職票はハローワークが発行し、保育園(運営法人または会社)から送付されます。退職者の自宅に届くまでの流れは、以下の通りです。
1.退職者が園に離職票発行を依頼
2.離職者と園で「離職証明書」を作成
3.園が「離職証明書」をハローワークに送付
4.ハローワークが「離職票」を発行、会社に送付
5.園が退職者に「離職票」を送付
以上の手続きが完了するまでには、一般的に10日~2週間程度かかるとされています。2週間を過ぎても届かない場合、何らかの事情により遅れが出ていると考えてよいかもしれません。
離職票が届かないとどうなる?
離職票がない状態を放置していると、失業保険受給が遅れることや失業保険給付日数が少なくなることが考えられます。
失業保険の受給期間は、雇用保険の被保険者であった期間や年齢、離職理由によって異なりますが、原則として離職した日の翌日から1年間となっています。
たとえば本来最大で11カ月間失業保険が受け取れる場合であっても、離職票の発行が2カ月遅れれば、2カ月分失業保険が受け取れなくなる、ということになります。
また、自己都合の退職の場合は申請後2カ月の給付制限の後に手当が支給されます。早めに受け取らなければ申請ができず、その分支給日も遅れるでしょう。
以上のことから、離職票は少しでも早く失業保険を受け取るために必要な書類と言えます。/p>
※ただし、退職後すぐに転職や起業をすることが決まっていて、失業保険の受給が不要の場合には、そもそも離職票をハローワークに提出する必要はありません
退職後2週間~1カ月経っても離職票が届かないとき、どのような原因が考えられるのでしょうか。
ここからは、その理由や対処法について紹介します。
離職票が届かない理由
離職票が届かない理由として考えられる例を紹介します。
退職者が離職票を依頼していない
離職票は退職すれば自動的に発行手続きに入るのではなく、退職者の依頼によって初めて会社はその手続きに入ります。
一般的に、退職時には離職票が必要かどうか園側から聞かれるでしょう。しかし、なかには退職者から申し出ないと手続きをしてくれないところもあるかもしれません。
離職票について何も申し出ていない方は、園が書類発行手続きを始めていない可能性があります。
担当者のミスにより手続きが進んでいない
人事担当者がミスをしていることにより手続きが進んでいないこともあるかもしれません。
本来、園側が退職者から離職票の発行依頼を受けた場合、ハローワークに提出するための「離職証明書」を作成する義務があります。
しかし担当者が他業務で忙しかったり、作成上のミスをしていたりすることによって遅れが出ている可能性も考えらえるでしょう。
園側の嫌がらせで発行していない
まれではありますが、退職時に園とのトラブルがあった場合などに、退職者への嫌がらせで離職票の発行を拒む、といったケースもあるようです。
しかし、園が労働者の離職票の発行請求を受けたにも関わらず、離職証明書の届出をしないことは違法です(雇用保険法第76条および労働基準法第22条)。
さらに正当な理由なくして離職票の交付を拒否する行為も違法となります(雇用保険法第83条)。
まずは自分で会社に連絡するのが基本ですが、退職前に嫌がらせを受けていたり、退職時にもめたりして直接会社に連絡したくない人は、ハローワークに相談してみましょう。事情を説明すれば対応してくれる可能性があります。
ハローワークが忙しい
離職票の依頼とハローワークの繁忙期が重なったため、発行手続きが滞っていることも考えられます。
退職した時期が3月や9月頃である場合、退職する人が多いためハローワークが繁忙期に入ります。
そのため、会社側が手続きを行っていても、ハローワークからの離職票の交付が通常より遅れていることもあるかもしれません。
ハローワーク側の故意で不当に離職票発行が遅らされる、ということはまずありませんので、この場合は少し待っていれば発行されることがほとんどでしょう。
届かない原因を押さえたところで、次は対処法について紹介します。
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離職票が届かない場合の対処法
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離職票を2週間~1カ月経っても届かない場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
園に問い合わせる
離職票が届かないときは、まず園に離職票の依頼の旨が伝わっているのかを確認しましょう。
園に問い合わせることで、手続きに入っているのかや、現状どこでストップしているのか、いつ届くかなどが明確になるかもしれません。
先述したように、離職票の発行を依頼したにも関わらず園側が手続きをしていないのは違法となるので、遠慮せずに進捗確認や催促をしましょう。
ハローワークに相談する
離職票について園側の手続きが終わっているという場合、ハローワーク側で手続きが止まっていることになります。その場合は、園を管轄しているハローワークに問い合わせてみましょう。
また、会社に問い合わせ、催促したけれど離職票が届かないというケースもあるかもしれません。
その場合は、ハローワークに「園が離職票交付手続きを行ってくれない」ことを相談してみましょう。相談すれば、ハローワークが離職票の交付手続きを行うよう園に対して催促してくれるかもしれません。
失業保険の仮手続きをする
ハローワークによっては、離職票なしでも退職証明書や社会保険資格喪失証など退職日のわかる書類を持参すれば失業保険の仮手続きを進めることができるようです。可能かどうかは、管轄のハローワークに問い合わせてみましょう。
仮手続きは退職日から12日後から始められるとされています。
ただし、仮手続きから4週間後の「認定日」までに離職票を提出しなければ、失業保険の受給は保留されます。
そのため、仮手続きと並行して離職票の交付手続きも継続し、いつ届くかを把握しておきましょう。
労働基準監督署に相談する
労働基準監督署は労働基準法に関する案件について取り扱います。違反などが疑われる企業や経営者に対して捜査を行う権限のほか、明確に法令違反が認められれば逮捕や送検、告訴などを行う権限を有しています。
そのため、「園に離職票の作成依頼をしたけれど応じてもらえなかった」といったトラブルが起きた際には、労働基準監督署も相談先の一つになります。
園やハローワークに相談しても、どうしても解決しなかったときの最終手段として考えておくとよさそうです。
離職票が届かない場合でも進められる手続き
最後に、扶養加入や国民保険証の発行など離職票がなくても進められる手続きについて紹介します。
扶養加入手続き
家族が加入している社会保険に扶養として加入するには、離職票がなくても「 任意継続被保険者資格取得申出書」などの書類があれば手続きが進められます。
そのための要件は各保険会社によって違うので、該当の保険会社に要件および必要書類を問い合わせましょう。
国民保険への切り替え
退職後社会保険や国保組合など他の保険に継続して加入しない場合は、国民健康保険に加入する必要があります。
自治体の健康保険の窓口で、保険証を取得するための手続きができます。
雇用保険から退職によって国民健康保険へ切り替える場合には、「退職証明書」や「社会保険資格喪失証明書」など保険の資格の喪失日がわかる書類と本人確認のための書類やマイナンバーが必要になるようです。
国民年金の切り替え
国民年金の切り替えは、家族の扶養に入らないのであれば必要になる手続きです。
手続きの際の添付資料は健康保険資格喪失証明書や退職証明書などの退職日がわかる書類です。お住まいの自治体の年金の窓口に確認しましょう。
出典:全国健康保険協会
出典:日本年金機構
離職票が届かない場合は、早めに相談して対処しよう
今回は、離職票が届かない理由や対処法を紹介しました。
離職票は失業保険の受給申請や保険証の切り替えのために必要な書類です。
届かない理由として、離職票を依頼していなかったことや園の担当者のミスのほか、まれに会社からの嫌がらせなどにより意図的に離職票が発行されないといった原因も考えられるようです。2週間~1カ月経っても届かない場合は、園やハローワーク、労働基準監督署に相談してみましょう。
少しでも早く失業保険の申請をするためにも、適切に対処できるとよいですね。