コーナー保育とは、遊びのジャンルごとにスペースを分けて行う保育方法です。子どもの主体性や集中力を育むことをねらいとして、導入する保育園や幼稚園が増えています。分け方や作り方を知れば、現場で役立ちそうですね。今回は、コーナー保育のレイアウトのポイントやメリットとデメリット、ジャンル別の作り方を紹介します。
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目次
コーナー保育のねらい
コーナー保育とは、ままごとや製作、構成遊びなどジャンルごとに用意されたコーナーのなかから、子どもたちが自由に遊びを選択できる保育方法の一つです。
近年、クラス全員で同じ活動を行う「一斉保育」よりも、子どもの個性や意志を尊重した「自由保育」が重視される傾向にあると言われています。コーナー保育は、その中間にあたる新しい保育の方式として注目を集めているようです。
保育園でコーナー保育を取り入れるねらいは、どのようなものなのでしょうか。
例として、以下が挙げられます。
- 子どもが好きな遊びを自ら選択する
- コーナーのなかで自分なりの遊び方を見つける
- 主体性をもって行動する
子どもは、数種類のコーナーのなかから好きな遊びを選択します。そのため、自我が芽生えてくる1歳児頃から取り入れられるかもしれません。
子どもの「〇〇で遊びたい!」という気持ちを尊重できるので、主体性を育むことにつながりそうですね。
コーナー保育のねらいを押さえたところで、次にメリットとデメリットを紹介します。
コーナー保育のメリットとデメリット
コーナー保育のメリットとデメリットは、どのようなものでしょうか。
メリット
集中力が身につく
コーナー保育のメリットとして、子どもの集中力が身につくことが挙げられます。
子どもが自ら興味をもって選んだ遊びや物事であれば、より集中して取り組むことができるでしょう。
また、家具や棚などで仕切りを作ることで「自分たちの空間」を意識しやすくなるかもしれません。安心感をもちながら遊びに取り組める環境を作ることで、集中力を育めるでしょう。
コミュニケーション能力が育まれる
コーナー保育では、子ども同士が接点を持つ機会が多くなるでしょう。
そのため、コーナーを選ぶ過程や各コーナーでの遊びを通して、コミュニケーション能力が育まれることもメリットと言えそうです。
おもちゃの取り合いでケンカしたり、友だちと協力しながら一つの物を作ったりと、さまざまな場面で自然と会話が生まれ、協調性も向上していくかもしれませんね。
デメリット
固定観念につながることがある
コーナーを区切ることで「この遊びはこういうものだ」という固定観念につながる可能性も考えられるでしょう。
発想や行動に偏りが生じたり、制限がかかったりしないように、幅広く興味を持てるようなコーナー設定をするなどの工夫が必要になります。
また、別の遊びを混ぜて行ってもよいとしたり、仕切りを動かしてコーナーのスペースを広くし、遊びを発展しやすくしたりするなど臨機応変な援助ができるとよいですね。
団体行動が苦手になる可能性がある
子どもが団体行動を苦手とする可能性も考えられます。
コーナー保育の自由な発想や行動に慣れることで、「他の友だちといっしょに遊ぶことが苦手になるのでは」「小学校に上がったときに、長時間座っていられなくなるのでは」という懸念が生まれることもあるようです。
活動時間のなかで一斉保育とコーナー保育をバランスよく織り交ぜるなど、集団行動の機会を作るとよいかもしれません。
また、保育士さんが「次は〇〇ちゃんたちといっしょに〇〇を作ってみようか」など複数人で遊ぶきっかけを作ることも援助の工夫の一つとなるでしょう。
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コーナー保育でレイアウトするときのポイント
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次に、コーナー保育をレイアウトするときのポイントを紹介します。
子どもの動線を考慮してレイアウトする
コーナーをレイアウトする際は、子どもたちがどのような動線で遊ぶかを具体的に考えることがポイントです。
設置するコーナーによって、子どもたちが活動する動線は異なるでしょう。
落ち着いて遊ぶ場所と体を動かして遊ぶ場所は適切に離れているか、コーナー内に複数人が入っても動きにくくないかなどをチェックしながらレイアウトし、設置後も見直しや改善を行うようにしましょう。
子どもが遊びやすい工夫をする
子どもが遊びを探しやすい、かつ取り組みやすい工夫がされたレイアウトであるか、以下のポイントを確認しましょう。
- 各コーナーの間に適切な仕切りがあるか
- コーナー内のおもちゃは、子どもが取りやすい高さや場所に収納されているか
- おもちゃや道具がわかりやすく分類されているか
- 子どもの年齢や体格に合った高さの机や椅子が用意されているか
- 複数人で取り組んだとしても十分に足りる数が揃っているか
子どもたちが遊びに満足できる環境であれば、より集中して遊べるかもしれません。また、仕切りなどを自由に動かせるようにしておくと、レイアウトが柔軟に変更しやすくなりそうですね。
定期的におもちゃや道具を入れ替える
子どもたちの意欲や関心に合わせて、定期的におもちゃの入れ替えを行うことも大切です。
1歳児と3歳児、5歳児では発育のステージが異なり、遊びのバリエーションも変わるかもしれません。それぞれの年齢や体格、発達段階に合ったおもちゃや道具が揃っているか、こまめにチェックしましょう。
入れ替えや新調を行うことで新しい刺激となり、遊び方の偏りを防ぐこともできるかもしれませんね。
【ジャンル別】コーナー保育のレイアウト例と作り方
最後に、コーナー保育のレイアウト例と作り方を、ジャンル別に紹介します。
絵本コーナー
絵本コーナーでは、子どもたちが自分の年齢や興味に合った好きな本を読むことができるように、さまざまな種類を用意しておくとよいでしょう。
用意するもの
- 棚
- 絵本
配置のポイント
絵本コーナーは、1歳児クラスから取り入れられるかもしれません。絵本を置く際は、背表紙ではなく表紙が見えるような専用棚を利用すると、子どもたちの目に留まりやすくなりそうです。
カテゴリー別に絵本をまとめたり、定期的に絵本を入れ替えたりする工夫をすることも大切ですね。
机上遊びコーナー
机上遊びコーナーには机と椅子を設置し、机上で製作活動やパズル遊び、知育玩具の遊びなどを行えるようにします。子どもたちが材料や道具を自由に選んで活動を楽しめるような工夫をしましょう。
用意するもの
- 画用紙
- 折り紙
- 廃材
- クレヨン
- テープ
- 机上で遊ぶおもちゃ
※子どもの年齢やコーナーのねらいに合わせて材料を用意します。
配置のポイント
道具などは子どもの人数に応じて十分な数を用意し、自由に取り出せるようにしておきましょう。
はさみを使用する場合は、子どもの手の届かない場所に保管しておき、一度に出す数は保育士さんが見守れる範囲内の人数分とするなど、安全面への配慮も大切です。
構成遊びコーナー
構成遊びコーナーでは、ブロックや積み木などで遊べるようにします。子どもが発想に応じて自由に遊べるよう、広めのスペースを確保しましょう。
用意するもの
- ブロック
- 積み木
- 電車とレールのおもちゃ
- 車と道路のおもちゃ
- 低めの机や台など
配置のポイント
構成遊びは作り上げるまでに時間がかかることもあるため、途中で中断せざるを得ない場面もあるかもしれません。あらかじめ「作り途中」というカードを用意しておき、クラス内で「カードが置かれたおもちゃには触らない」というルールを設定しておけば、ほかの子どもに壊されるトラブルを防ぐことができるでしょう。
子どもが満足するまで作れるおもちゃの数や環境を整えておくことが大切です。
模倣遊びコーナー
模倣遊びコーナーでは、ままごと遊びやごっこ遊びなどをします。子どもの想像力を引き出せるように、おもちゃや環境を充実させましょう。
用意するもの
- 調理台
- 食べ物のおもちゃ
- 調理用具
- 食器
- 人形
- お店の看板
配置のポイント
子どもが「おままごと」や「お店屋さんごっこ」などさまざまなごっこ遊びを楽しめるよう、一般的な家庭にあるキッチン用具やお店のブースとなる箱など多くのアイテムを用意しましょう。
収納棚におもちゃの写真を貼った箱を設置するなど、子どもが種類を判別して取り出しやすく、かつ片づけしやすくする工夫をすると遊びがスムーズになりそうですね。
運動遊びコーナー
遊具を置いたり、マットを敷いたりした運動遊びコーナーを作るのも一つのアイデアです。
子どもたちが十分に動き回れるスペースを確保し、安全に配慮したレイアウトにしましょう。
用意するもの
- マット
- 平均台
- 小さな跳び箱
- ボールプール
配置のポイント
1歳児など乳児クラスに設置する場合は、遊んでいるときに子どもたちがけがをしないよう保育士さんが常にそばについたり、危ない動きをしていたら安全に遊べるような声かけをしたりすることが大切です。
運動遊びコーナーと別のコーナーとの間に仕切りがないと、動き回る子どもがほかのコーナーの子どもとぶつかるといった事故が起きることも考えられます。
パーテーションを使ったり、床にテープを貼ったりして動ける範囲をあらかじめ区切っておけば、それぞれの子どもが混じることなく遊びこめそうですね。
ポイントを押さえたうえでコーナー保育のレイアウトを考えよう
今回は、コーナー保育とは何かのおさらいから、ねらいやレイアウトのポイントなどを紹介しました。
コーナー保育は、数種類の遊びのなかから子どもたちが自由に選択するため、1歳児頃から取り入れることができるでしょう。子どもの年齢や関心のあるものに合ったコーナーを用意し、発想力を引き出せるような環境設定をすることが大切になります。
各コーナーのポイントを押さえたうえで、子どもの主体性やコミュニケーション能力を育めるようなレイアウトが考えられるとよいですね。