保育園で行われるリトミックは、楽しんで音感を身につけたりできることから、保護者からの人気が高く、近年多くの園で取り入れられています。同時に、保育士の転職市場でも、リトミックをしっかり教えられる人材の需要も高まってきているようです。今回のコラムでは、リトミックを活かして保育園で働きたい保育士さんに向けて、リトミックについておさらいしながら、資格の取得方法や、保育士さんがリトミックのスキルをアップさせることのメリットについてまとめてみました。
リトミックについておさらい
リトミックと聞いても、「音楽遊びの一種?」という程度の方も多いのではないでしょうか。まずは保育園で使われるリトミックについておさらいしていきましょう。
リトミックとは?
リトミックとは、スイスの作曲家・音楽教育家であるエミール・ジャック=ダルクローズによって考案された音楽教育法のことを言います。
具体的には、音楽と体育を合わせたようなイメージで、例えば、音楽に合わせて手拍子やダンスをしたり、ハンカチ落としの要素を取り入れてみたり、音から感じ取ったニュアンスを表現してみたりと、実践内容のバリエーションは多岐に渡ります。
リトミックの目的
保育園で行われるリトミックは、情操や生活習慣の知識などを身につけ、子どもたちの豊かで可能性あふれる人格形成を目的としています。体を動かして音楽を楽しむことを重視しているため、良し悪しを評価したり、表現方法を指導したりということはなく、子どもの可能性を自由に伸ばすために行われます。
リトミックの効果
リトミックはリズム感や基礎的な運動能力を伸ばすことに役立つため、スポーツの上達にも役立ちます。また、集中力・自己肯定感を高める効果や、想像力・表現力を伸ばす効果、社会性や協調性が身につく効果など、さまざまな分野においての成長効果が期待できます。近年人気になってきているのも納得できますね。
リトミックを教えるのに資格は必要?
さまざまな効果が期待できるリトミックですが、教えるための資格は必要なのでしょうか。
リトミックに資格は不要
リトミックを指導する際に、特に資格は必要ないので、誰でも教えることができます。しかし、より質の高い指導を行うために民間の資格がいくつかあります。資格を保有していればリトミックを教えられる客観的な証明にもなりますし、指導者としての自信にもつながるでしょう。
資格を取得するには?
特定非営利法人のリトミック研究センターが主催する指導者養成コースにより、優れた指導者の育成が行われています。月1回・3時間の研修に全9回通うことで初級指導資格を取得することができます。費用は入会金・本部会費・受講料・教材費を合わせて、年間で52,974円(税込)です。
約1年間をかけて資格を取得するため、少々時間はかかってしまうものの、しっかり学ぶことができます。また、研修に通うだけで取得できるのがメリットです。
より知識を深めてスキルアップしたい場合は、この研修に2年間通うことで中級指導員、3年間通えば上級指導資格、4年間通うとその資格の最上位であるディプロマB資格を取得することができます。
資格取得で収入への影響は?
リトミックの資格を取得することで、収入への影響は出るのでしょうか。
保育園でリトミック指導員として働く場合
一般的な保育士と同じくらいで、月収20万円~ほどのようです。よって、リトミックの資格を取得することで収入のアップにつながるとは言いにくいでしょう。ただ、園によっては資格手当の支給対象になるかもしれないので、確認してみるとよさそうですね。
音楽教室でリトミック指導員として働く場合
求人サイトの情報を調べてみると月収21万~ほどで、保育園で働く場合と大きくは変わらないようです。中には月収30万円以上になるところもあり、教室によって大きく開きがあるようです。
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リトミックを教えることのメリット
保育園でリトミックを子どもたちに教えることには、保育士さんにとってはどういったメリットがあるのでしょうか。
保育の質を高められる
リトミックを使うことができれば、子どもたちに行える保育の幅が広がります。例えば、ピアノで曲を演奏しながら「この曲が終わったらお片付けをしましょう!」など、園児たちにしてほしい行動を促すこともできるでしょう。
そうすることで生活習慣を身につけやすく、子どもたちの成長にもつながります。このほか保育士さんのアイディアと知識次第で、リトミックをさまざまな指導の場面に利用することができるでしょう。
保護者ウケもよい
音楽を使って生活習慣を身につけられるため、子どもたちの飲み込みもスムーズで、保護者の反応が良いとの声もあるようです。園でそういった保育を行ってくれると、おうちの中での生活習慣もきちんとしてくるので、保護者にとってもうれしい結果になるでしょう。
保育園以外でも活かせる
保育園での利用のイメージが強いリトミックですが、実は幼児教育だけではなく、障がい児や高齢者のケアにも利用されています。障がい児養育の現場では、「正解がない」リトミックは障がいのある子どもたちのストレスになりにくい教育手法として評価されています。
また、模倣が苦手な発達障がいの子の模倣能力を育てることにも役立ちます。その他に、高齢者施設では、認知症予防や心身の活性化などに役立ち、利用者たちの人気も高いようです。
汎用性のあるリトミック
リトミックを教えられるようになれば、実践できる保育の幅が広がり、資格手当が支給される可能性もあり、転職の選択肢も増えます。また他にも、リトミックの利用によって保護者の反応が良くなることも考えられるので、保護者対応に悩む保育士さんの解決の糸口にもなりえます。
音楽が好きな方や、音楽関連の部活動やサークル活動を行っていた方などであれば、リトミックを利用することで、経験を活かしながら自分オリジナルの保育を実践できるかもしれません。リトミックを活かして保育園で働くことを検討してみてはいかがでしょうか。