保育士の求人を探していると、「社会保険完備」という言葉はよく目にしますよね。ほとんどの求人情報に当たり前のように記載されていることもあって、あまり深く気にしていない方も多いのではないでしょうか。
しかし、社会保険が完備されているか否かで、個人にかかるお金の負担が全く違ってきます。保険の話なので難しそうに聞こえますが、重要なポイントなのでしっかり学んでおきましょう。
社会保険について
社会保険とは、4つの保険から成り立っています。
社会保険とは?
社会保険とは、「雇用保険」「労災保険」「健康保険」「厚生年金保険」の4つの保険を指します。
雇用保険
雇用保険は労働者が失業した場合や、雇用の継続が困難になったときに、生活や雇用の安定を図るために必要な給付を行うものです。雇用の継続が困難な状態とは、育児や介護などの理由による失業を指します。どちらの事由にしても、一定条件を満たせば「失業手当」として給付を受けることができます。定年再雇用などで賃金が減った場合にも継続して就労できるよう、給付を行う制度でもあります。
労災保険
労災保険の正式名称は労働者災害補償保険で、業務中・通勤中に起きたケガや病気に対して給付を行う制度です。それらの治療に関わるお金はもちろんのこと、休業中の賃金補償もカバーされ、万が一後遺症が残った場合にも保険金の給付が行われます。
健康保険
健康保険は病気やケガなど不測の事態に備えるための制度で、治療を受ける時や、働けなくなって休業した場合などでも給付を受けることができます。病気やケガ、出産などの事態が発生した場合、収入が不安定になることが考えられるため、それを保証することが大きな役割です。
共済組合・厚生年金保険
公立の保育園や幼稚園、認定こども園に勤める正職員の保育士さんは、公務員扱いになるので、園が指定する共済組合に加入することになります。また、厚生年金保険は、社会福祉法人や株式会社などで働く人たちが加入する公的年金です。20歳から60歳まで加入が義務付けられている国民年金保険がベースになっており、それに加算される形で毎月の給料から年金保険料が天引きされ、将来の年金支給額が増えるという仕組みになっています。
社会保険「完備」とは?
社会保険のあとにつく「完備」とは、上記で説明した4つの保険全てが適用されることを言います。勤務時間によっては4つのうち2つのみの適用などの場合があります。
社会保険の加入条件は?
社会保険には一定の加入条件があります。労働条件によっては加入できない場合もあるので確認しておきましょう。
雇用形態
まず、正職員または契約職員としてフルタイムで勤務している場合には、条件をクリアできるので確実に加入できます。パートやアルバイトで勤務している場合は、週に何時間働いているかや、月給がいくら以上かなどの条件が満たされれば加入することができます。具体的には、以下の条件を全て満たすことが加入条件になっています。
労働時間
一週間当たりの労働時間が20時間以上であることが条件です。週3日の勤務であれば一日の勤務時間は7時間程度、週5日の勤務であれば一日の勤務時間は4時間以上で条件をクリアできます。
給料
一カ月あたりの給料が8.8万円以上であることが条件です。働く園によって時給が異なるので、条件をクリアするには給料だけではなく、勤務時間との兼ね合いも考慮する必要があります。
雇用期間
雇用期間の見込みが1年以上であることが条件です。1年以上の見込みとは、雇用期間の定めがなく雇用された場合や、雇用期間が1年以上の場合などのことを言います。予め決められた1年未満の短期間での募集や契約でなければ条件は満たされます。
その他
学生ではないことも条件になります。よって、上記の条件をクリアした場合でも学生は社会保険適用の対象外になります。
簡単1分登録!転職相談
転職に関するご質問や情報収集だけでもかまいません。
まずはお気軽にご相談ください!
読んでおきたいおすすめ記事
保育士をサポート・支える仕事特集!異業種への転職も含めた多様な選択肢
保育士の経験を経て、これからは保育士のサポート役として働きたいという方はいませんか?責任の重い仕事だからこそ、人の優しさや支えが必要不可欠な仕事かもしれませんね。今回は、保育士さんをサポートする・支え...
在宅ワークで保育士資格を活かせる仕事とは?自宅でできる保育関係の仕事を徹底解説
通勤時間なく働ける在宅ワークをしたいと考えても「保育士は無理なんじゃないか……」とあきらめている方はいませんか?保育園の事務職や保育ママ、保育園業務のサポートなど、保育士の経験や資格を活かして自宅でで...
病院内保育とは。役割や仕事内容、病院内保育士として働くメリット
病院内保育とは、病院や医療施設の中、または隣接する場所に設置されている保育園のことです。保育園の形態のひとつであり、省略して院内保育と呼ばれることもあります。転職を考えている保育士さんの中には、病院内...
子ども・赤ちゃんと関わる仕事31選!資格の有無や保育士以外の仕事を関わる子どもの年齢別に紹介
子どもと関わる仕事というと主に保育園や幼稚園を思い浮かべますが、それ以外にも意外とたくさんあります!今回は赤ちゃんや子どもと関わる仕事31選を紹介!無資格で活躍できる職場もまとめました。子どもと携わる...
保育士を辞める!次の仕事は?キャリアを活かせるおすすめ転職先7選!転職事例も紹介
保育士を辞めたあとに次の仕事を探している方に向けて、資格や経験を活かせる仕事を紹介します。ベビーシッターなど子どもと関わる仕事はもちろん、一般企業での事務職や保育園運営会社での本社勤務といった道も選べ...
保育士から転職したい!転職先としておすすめの異業種22選。保育士以外の仕事やメリット・デメリットも
保育士以外から異業種への転職を考えている際、どのような転職先がおすすめなのでしょうか。今回は、次の仕事として保育士から転職しやすいおすすめの異業種22選を紹介します。保育士から異業種に転職するメリット...
保育園運営会社の仕事内容とは?本社勤務でも保育士資格は必要?働くメリットや求人事情まで
保育園運営会社にはどんな仕事があるのでしょうか?保育園運営会社で働くことは「本社勤務」とも呼ばれ、保育園の運営に携わる仕事として、主に一般企業に就職したい保育士さんにとって人気の高い職種のようです。今...
【2024年最新】保育士に人気の転職先ランキング!異業種や選ばれる職場を一挙公開
保育士の資格を活かして働ける人気の転職先をランキング形式で紹介!企業主導型保育園や病院内保育所、ベビーシッターなど保育士経験やスキルを活かせる職場はたくさんあります!今回は保育施設や異業種別に詳しく紹...
【完全版】保育士資格を活かせる仕事・働ける企業25選!
保育園で保育士として働くのが辛いと感じて、転職を考えているという方がいるかもしれません。しかし、せっかく取得した保育士資格を活かして働きたいですよね!保育士として得たスキルや経験は一般企業や福祉施設、...
【2024年最新版】幼稚園教諭免許は更新が必要?廃止の手続きや期限、対象者をわかりやすく解説
幼稚園教諭免許は更新が必要なのか、費用や手続き方法などを知りたい方もいるでしょう。今回は、2022年7月1日より廃止された教員免許更新制について詳しく、そしてわかりやすく紹介します。幼稚園教諭免許を更...
保育士は年度途中に退職してもいいの?理由の伝え方や挨拶例、再就職への影響
「年度途中で退職したい...けれど勇気が出ない」と悩む保育士さんはいませんか。クラス担任だったり、人手不足だったりすると、退職していいのか躊躇してしまうこともありますよね。そもそも年度途中で辞めるのは...
幼稚園教諭からの転職先特集!資格を活かせる魅力的な仕事18選
仕事量の多さや継続して働くことへの不安などを抱え、幼稚園教諭としての働き方を見直す方はいませんか。幼稚園教諭の転職を検討中の方に向けて、経験やスキルを活かせる18の職場を紹介します。保育系の仕事から一...
【2024年度】放課後児童支援員の給料はいくら?年代別の年収やこの先給与は上がるのかを解説
放課後児童クラブや児童館などで働く「放課後児童支援員」の平均給料はいくらなのでしょうか。別名「学童支援員」とも呼ばれ、「給与が低い」というイメージがあるようですが、国からの処遇改善制度などにより、これ...
保育士が働ける保育士以外の仕事21選。資格や経験を活かせるおすすめの就職先
保育園以外の職場に転職・就職先を探す保育士さんもいるでしょう。今回は企業内保育所や託児施設、児童福祉施設など、保育士さんが働ける保育園以外の職場を21施設紹介!自身の働き方や保育観を見つめ直し、勤務先...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
社会保険のあるなしで比較
社会保険が完備されている場合とされていない場合を比較してみました。安心感とお金の面で差が出るようです。
ある場合:安心して働ける
社会保険が完備されている職場に入職した場合は、4つの保険が適用されているため仕事中にケガをした場合や失業した場合などでも給付を受けることができ、万が一の事態に備えながら働けるので安心です。また、健康保険料、厚生年金保険料を法人が半額負担してくれるため、保険料の負担が軽くなります。
また、これから出産の予定がある方は健康保険と雇用保険があれば、出産手当金や育児休業基本給付金などの支給を受けることができるので、社会保険の手厚さを実感するでしょう。
ない場合:負担額が大きくなる場合も
職場である事業所や園が社会保険を完備しておらず、加入できない場合には自分で市区町村へ保険料を支払わなければなりません。加入していれば法人が半額負担してくれるはずの保険料も払う必要があるので、お金の負担が増えてしまいます。出産にまつわる給付金支給の対象外にもなってしまいます。
求人情報をしっかり確認しよう
「社会保険完備」とデフォルトのように記載されている求人情報が多いため、あまり気に留めない方も多いかもしれません。しかし、お金や保障に関する重要なことなので、今一度しっかり確認していただきたいと思います。また中には求人には社会保険完備と記載されているにも関わらず、実際には試用期間中は適用外など、法人や事業所によって独自の規定を定めているところもあるので、面接時にしっかり確認しておくと安心です。「入職してから完備されていないことがわかった…」とならないように、応募の段階で入念にチェックしておき、安心して働けるようにしましょう。