保育士の新ポジション、職務分野別リーダーとはどのような役割をもっているのでしょうか。就任するための要件などを知ってキャリアアップを視野におくと、仕事のモチベーションアップにつながるかもしれません。今回は職務分野別リーダーについて、設立された背景にある処遇改善等加算Ⅱや、就任した場合の影響などを解説します。
polkadot_photo/shutterstock.com
目次
保育園の新ポジション、職務分野別リーダーとは
保育士さんに新たな役職が加わったのをご存じでしょうか。
2017年4月に政府が打ち出した「処遇改善等加算Ⅱ」により、これまでの主に園長と主任保育士しか設置されていなかった保育現場での役職に、「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」という3つのポジションが増設されました。
厚生労働省は具体的に以下のように説明し、保育士さんに役職が少ないことなどが低賃金の原因であることという理由から改善策を講じました。
現在、保育現場においては、園長、主任保育士の下で、初任後から中堅までの職員 が、多様な課題への対応や若手の指導等を行うリーダー的な役割を与えられて職務にあたっており、こうした職務内容に応じた専門性の向上を図るための研修機会の充実が特に重要な課題となっています。
出典:保育士等キャリアアップ研修の実施について P1 /厚生労働省から抜粋
とくに役職として成立していない中堅保育士さんの仕事量の多さに焦点をあて、より専門的に学べるような機会を作りました。
段階的にキャリアアップしていく仕組みが成立しましたが、それぞれどのような役割をもつのでしょうか。
今回は3つの役職のなかから「職務分野別リーダー」というポジションにスポットをあてて詳しく説明します。
出典:処遇改善等加算Ⅱに関する参考資料(平成29年度における状況)/厚生労働省
保育士の新ポジション:職務分野別リーダーの役割
一般保育士から最初に就任できる役職が、職務分野別リーダーです。
以下の6つの研修内容から担当する専門分野を選びます。
- 乳児保育
- 幼児教育
- 障害児保育
- 食育・アレルギー対応
- 保健衛生・安全対策
- 保護者支援・子育て支援
これまでは中堅保育士の役職が存在しなかったため、一般保育士から最初の役職にあたる主任保育士に就くまでにはそれなりの経験日数が必要だったかもしれません。
しかし、職務分野別リーダーという役職が創設されたことで、主任保育士になるまで段階を踏んでキャリアアップできるようになり、若手保育士さんでも役職を目指しやくなったといえるでしょう。
簡単1分登録!転職相談
転職に関するご質問や情報収集だけでもかまいません。
まずはお気軽にご相談ください!
読んでおきたいおすすめ記事
保育士をサポート・支える仕事特集!異業種への転職も含めた多様な選択肢
保育士の経験を経て、これからは保育士のサポート役として働きたいという方はいませんか?責任の重い仕事だからこそ、人の優しさや支えが必要不可欠な仕事かもしれませんね。今回は、保育士さんをサポートする・支え...
在宅ワークで保育士資格を活かせる仕事とは?自宅でできる保育関係の仕事を徹底解説
通勤時間なく働ける在宅ワークをしたいと考えても「保育士は無理なんじゃないか……」とあきらめている方はいませんか?保育園の事務職や保育ママ、保育園業務のサポートなど、保育士の経験や資格を活かして自宅でで...
病院内保育とは。役割や仕事内容、病院内保育士として働くメリット
病院内保育とは、病院や医療施設の中、または隣接する場所に設置されている保育園のことです。保育園の形態のひとつであり、省略して院内保育と呼ばれることもあります。転職を考えている保育士さんの中には、病院内...
子ども・赤ちゃんと関わる仕事31選!資格の有無や保育士以外の仕事を関わる子どもの年齢別に紹介
子どもと関わる仕事というと主に保育園や幼稚園を思い浮かべますが、それ以外にも意外とたくさんあります!今回は赤ちゃんや子どもと関わる仕事31選を紹介!無資格で活躍できる職場もまとめました。子どもと携わる...
保育士を辞める!次の仕事は?キャリアを活かせるおすすめ転職先7選!転職事例も紹介
保育士を辞めたあとに次の仕事を探している方に向けて、資格や経験を活かせる仕事を紹介します。ベビーシッターなど子どもと関わる仕事はもちろん、一般企業での事務職や保育園運営会社での本社勤務といった道も選べ...
保育士から転職したい!転職先としておすすめの異業種22選。保育士以外の仕事やメリット・デメリットも
保育士以外から異業種への転職を考えている際、どのような転職先がおすすめなのでしょうか。今回は、次の仕事として保育士から転職しやすいおすすめの異業種22選を紹介します。保育士から異業種に転職するメリット...
保育園運営会社の仕事内容とは?本社勤務でも保育士資格は必要?働くメリットや求人事情まで
保育園運営会社にはどんな仕事があるのでしょうか?保育園運営会社で働くことは「本社勤務」とも呼ばれ、保育園の運営に携わる仕事として、主に一般企業に就職したい保育士さんにとって人気の高い職種のようです。今...
【2024年最新】保育士に人気の転職先ランキング!異業種や選ばれる職場を一挙公開
保育士の資格を活かして働ける人気の転職先をランキング形式で紹介!企業主導型保育園や病院内保育所、ベビーシッターなど保育士経験やスキルを活かせる職場はたくさんあります!今回は保育施設や異業種別に詳しく紹...
【完全版】保育士資格を活かせる仕事・働ける企業25選!
保育園で保育士として働くのが辛いと感じて、転職を考えているという方がいるかもしれません。しかし、せっかく取得した保育士資格を活かして働きたいですよね!保育士として得たスキルや経験は一般企業や福祉施設、...
【2024年最新版】幼稚園教諭免許は更新が必要?廃止の手続きや期限、対象者をわかりやすく解説
幼稚園教諭免許は更新が必要なのか、費用や手続き方法などを知りたい方もいるでしょう。今回は、2022年7月1日より廃止された教員免許更新制について詳しく、そしてわかりやすく紹介します。幼稚園教諭免許を更...
保育士は年度途中に退職してもいいの?理由の伝え方や挨拶例、再就職への影響
「年度途中で退職したい...けれど勇気が出ない」と悩む保育士さんはいませんか。クラス担任だったり、人手不足だったりすると、退職していいのか躊躇してしまうこともありますよね。そもそも年度途中で辞めるのは...
幼稚園教諭からの転職先特集!資格を活かせる魅力的な仕事18選
仕事量の多さや継続して働くことへの不安などを抱え、幼稚園教諭としての働き方を見直す方はいませんか。幼稚園教諭の転職を検討中の方に向けて、経験やスキルを活かせる18の職場を紹介します。保育系の仕事から一...
【2024年度】放課後児童支援員の給料はいくら?年代別の年収やこの先給与は上がるのかを解説
放課後児童クラブや児童館などで働く「放課後児童支援員」の平均給料はいくらなのでしょうか。別名「学童支援員」とも呼ばれ、「給与が低い」というイメージがあるようですが、国からの処遇改善制度などにより、これ...
保育士が働ける保育士以外の仕事21選。資格や経験を活かせるおすすめの就職先
保育園以外の職場に転職・就職先を探す保育士さんもいるでしょう。今回は企業内保育所や託児施設、児童福祉施設など、保育士さんが働ける保育園以外の職場を21施設紹介!自身の働き方や保育観を見つめ直し、勤務先...
- 同じカテゴリの記事一覧へ
保育士の新ポジション:職務分野別リーダーになるための要件
職務分野別リーダーになるためには、次に挙げるいくつかの要件をクリアする必要があります。
- 保育士経験がおおむね3年以上
- 都道府県単位で行われるキャリアアップ研修を受ける(担当する職務分野の研修を受けて修了する)
- 職務分野別リーダーの発令を受ける
保育士としての専門分野を受講することで、自分が興味のある分野のスキル向上にもつながりそうですね。
なお、研修に要する日程は2~3日、合計15時間程度となっています。
職務分野別リーダーになれるのは、園長と主任保育士を除いた、調理員等も含む職員の5分の1の人数であると定められています。
出典:処遇改善等加算の取扱い及び令和2年度における改正点について/厚生労働省
保育士の新ポジション:職務分野別リーダーの処遇改善
milatas/shutterstock.com
職務分野別リーダーにキャリアアップすれば、月額5,000円の手当が受け取れます。
先述した通り、政府は保育士さんの離職率の高い要因のひとつとして、ほかの職種と比べると低い平均賃金であることを掲げました。
そのため処遇改善等加算Ⅱにより、職務分野別リーダーの給料に処遇改善手当が上乗せされることになったのです。
研修制度を導入したことで専門分野のスキルを磨けるだけでなく、懸念とされていた処遇も改善されるのは保育士さんにとってうれしいものであり、モチベーションアップにもつながりますね。
保育士の新ポジション:職務分野別リーダーになることで考えられる影響
職務分野別リーダーというポジションが新設されたことで、期待できることをまとめました。
保育士の離職率の減少
先に述べた通り、処遇改善等加算Ⅱにより職務分野別リーダーになると役職手当が配分されることから、役職を目指してモチベーションにつながるでしょう。
低賃金を理由に離職を考える保育士さんが、役職手当がつくことで保育士さんの離職防止になるかもしれません。
段階的にキャリアアップできる機会が増えたことで、より上の役職を目指そうと目標に掲げて長く働き続ける保育士さんが増えることが期待できそうです。
保育士や保育園の質の向上
処遇改善等加算Ⅱの目的のひとつに、研修を設けて保育士のキャリアアップを図ることが挙げられます。
職務分野別リーダーは保育の専門分野を受講することで、保育士としての専門的な知識や技術の向上を期待できるでしょう。
職務分野別リーダーのことを知りキャリアアップを視野に入れよう
今回は、中堅保育士の役職として新たに設置された職務分野別リーダーについて紹介しました。
一般保育士として3年以上経験を積むことで最初になれる役職なので、まずは職務分野別リーダーを目指して働いてみるのもよいかもしれません。
政府の打ち出した処遇改善等加算Ⅱにより役職手当もつき、職務分野別リーダーを経て副主任保育士や専門リーダーへの道も開けるので、保育のモチベーションを上げることができそうですね。
職務分野別リーダーの仕事の役割などに興味をもち、保育士としてのキャリアアップを視野に入れてみてはいかがでしょうか。