Q.研修で学んだことを自分の園で広げるには?
外部のさまざまな研修に出かけて、知見を広げるのが好きです。
研修先では、こんなことをやってみたい、変えていきたい、という思いにつながるのですが、なかなかその思いが同僚にまで広がりません。
研修で学んできたことを生かして、自分の園で広げるには、どうすればよいのでしょうか?
A.「子どもや保育のことについて、考えたり話すのが当たり前」といった雰囲気に、職場を変えていくことから始めましょう!
積極的に研修に出掛け、学びを深めることはとても大事です。知見を広げるのが好き!という質問者さん、素晴らしいですね。
学んだことを職員でシェアする方法には、いろいろな形があると思います。
まず、各園には「今までの」やり方があるのではないでしょうか?なかなか思いが広がらないということは、まずはそこを変えていくことからでしょうか。
職場が保育や子どものことを話す環境になっているか
研修報告に限らず、保育の質の向上のために皆で切磋琢磨する環境かどうか、ということが大事です。子どものこと、保育のことを、日常的に職員間で話し合う習慣がありますか?一人とか、少数の先生だけが「保育の質をもっと高めたい」「子どもにとって、よりよい環境作りをしたい」と思っていても、職場の雰囲気がそうでなかったら、なかなか思いは広がっていかないものです。
あなた職場の雰囲気や習慣=ノームはどうなっていますか?
職場の雰囲気や習慣のことを英語でノーム[norm]といいます。これに「l」をつけるとノーマル[normal]=普通 つまり、「当たり前になっていること」「暗黙のルール」といったもので、職場や組織には必ず存在するものです。
例えば、●時から会議、といった時に5分前には全員が着席しているのか、2〜3分後にようやく全員がそろうのか、といったものです。
こうした職場のノームとして、「保育の質について考える」「子どもにとって何が大切か考える」ことが定着している園と、そうでない園では、大きな差が出ます。
保育や子どもを考えられる職場にしていくためには?
では、どのようにして「保育、子どもを考えるノーム」を作っていったらよいでしょうか?
それには、繰り返し、繰り返し、「子どもにとって何が大切か?」「保育の質とは一体なにか?」「より良い環境作りとは?」といった内容の質問を職員の前に出していくことです。
ノームの「普通」や「当たり前」は、「数が多い」「多くの事例に当てはまる」ということからできています。つまり、こうした問いかけの数を増やすことで、「保育、子どもを考えるノーム」が「普通」であり、「当たり前」である環境・職場に変えていく、ということなのです。
子どものことを話しているのが「当たり前」にしよう
会議やミーティングの時はもちろん、その時だけではなく日常的に「口を開けば子どものこと」となるような雰囲気を、色んな方向から実現していくことです。
最初はすんなり共感してくださる方(一人はいらっしゃるでしょう?)と二人からスタートして、だんだん仲間を増やしていきます。
それが過半数を超えるとある程度のノームになり、大多数がそうなれば、ノームとして定着します。
そして一旦それがノームになると、そうでない感覚の人は少数派となり居心地が悪くなります。自然に取り込まれていくか、その方が脱出なさるか、どちらかです。
下準備には時間がかかるかもしれません。でも基礎や土台の部分が整っていなければ、どんな素晴らしい考えや、提案だったとしても、うまく積み上げられないのです。
逆に、時間をかけてでも、基礎や土台がしっかりとでき上がったならば、その上にはもっともっと色んなアイディアを積んでいけるのではないでしょうか…。
人にはそれぞれ個性があって、なんとなく人に対する影響力が強いな、という方がいますよね?オーラがあるというか、ムードメーカーというか。
できたら同僚の中でもそういう方を一番に巻き込んで、ぜひぜひ職場の「よいノーム作り」に取り組んで頂きたいなと思います。
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プロフィール
内田淑佳(うちだよしか)
一般社団法人そだち 代表理事。心理カウンセラ―。
保育士、認可保育園の園長などを経て、一般社団法人を立ち上げ、子育て支援、保育運営サポート、研修講師を数多く務める。
カウンセラーとしてメンタルサポートの仕事に取り組みつつ、現役の保育士、保育教諭から主任・園長などの管理職、資格取得を目指して勉強中の人、潜在保育士などに向けて、保育の仕事の素晴らしさや、保育をする上で大切なことを伝え続けている。
ウェブサイト https://www.sodachi.net/