福祉国家として名高いスウェーデン。その優れた政策の結果は数字にも表れており、女性の就業率80%、出生率約1.9(2014年)など、世界最高水準となっています。
特に幼児教育への取り組みは、保育士の社会的ステータスを高めたとも言われています。今回は、そんなスウェーデンの保育事情をご紹介します。
「子どもを預かる人」から「先生」へ
1998年、スウェーデン政府は就学前保育の大改革を行いました。保育園の位置づけを、「働く親の子どもを預かる施設」から、「子どもが学習するための施設」へ変更したのです。
管轄も教育省となり、それまで「子どもを預かる人」と呼ばれていた保育士は「学校の先生」になりました。
結果、保育士の社会的地位向上につながったと言われています。
そうした背景の中生まれた、スウェーデンの代表的な保育機関をご紹介します。
就学前学校
生涯学習の基礎を築く場として、1歳~5歳の子どもを受け入れる施設です。
指針となる大まかなカリキュラムはあるものの、教育方針は各園に任せられています。
スウェーデン発祥の自然環境教育プログラム「森のムッレ」を導入する園、イタリアの教育手法レッジョ・エミリア・アプローチを導入する園などさまざまです。
市営と民営がありますが、約8割の子どもが、市営の就学前学校へ通います。
教育的保育
保育ママによる少人数制保育のことで、これまでのスウェーデンでは一般的に利用されてきました。
最近では就学前学校の数が充足した為、利用者の数は減少傾向ですが、根強い人気があります。
スウェーデンの保育ママは、自分の子どもを含めて6人まで受け入れることができます。
オープン保育室
日本における地域子育て支援センターに似た公開保育室のことで、常駐の保育士や看護師から育児指導を受けることができます。
各自治体に、必ず1か所は設置されています。
育児休暇中の保護者とその子ども達のほか、保育ママも自分が預かっている子どもと一緒に無料で利用することができ、子ども達の交流の場として人気があります。
日本でも注目を集める「森のムッレ教室」
スウェーデンの幼児教育の中でも、ひときわ有名なのが「森のムッレ教室」。
5~6歳の子ども達を対象とした教育プログラムです。
日本でも広がりを見せている森のムッレは、フィンランド、ノルウェー、ラトビア、ロシア、ドイツなどにも取り入れられています。
森のムッレ教室とは
森のムッレ教室を開催する資格を持ったリーダーが、子ども達を自然の中に連れ出します。
その際、遠足などとは異なり、雨や雪といった悪天候でも、中止されることはありません。
これは森のムッレ教室の目的に「自然と触れ合うこと・自然を知ること」という考え方がある為です。
子ども達にとって、悪天候をどうやって乗り切ればよいかを学ぶ機会とするのです。
そうして、自然の中で草花や昆虫を観察したり、歌を歌ったりゲームをしたりして自由に過ごします。
すると、森の中から「ムッレ」が現れて、子ども達に自然の大切さを教える…というのが基本の流れになります。
「ムッレ」とは?
「ムッレ」とは、森の妖精で、子ども達に自然の大切さを教えます。
もちろんこれは架空の存在ですが、そこがこのプログラムの優れている点です。
5~6歳児にとっては、ムッレが現実とも架空ともとれない不思議な存在として、素直に受け入れやすいのだそう。
ムッレを介することにより、子どもたちの想像力を大いに刺激し、環境保護などのメッセージが届きやすくなります。
ムッレは自然と人間との橋渡し的な存在として登場する為、自然環境と人間の両方へ「思いやり」を持つ心を育むことができるとされています。
教室の中では、大人がムッレに扮したり、またはパペットとして登場したりと、リーダーによりさまざまな工夫が施されて登場します。
もう少し年齢が上がると、架空の存在として馬鹿にする態度をとったり、逆に年齢が低いと、ムッレの存在そのものを理解できない、といったことが起こるようです。
さまざまな学びがある
自然の大切さは勿論のこと、森のムッレ教室では、自然の中で子どもたちの五感を刺激し、さまざまな学びを与えます。
野外での集団行動による協調性、植物や動物に対する観察力、自然の素材を利用して遊びにつなげる創造力、怪我をしないようにする責任感など、持てるすべての感覚を磨き上げるような経験をすることができます。
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保育先進国スウェーデン
すべての施設で高いレベルの幼児教育が実現することを目指す、スウェーデン。
都市計画の時点で住宅に対して必要な数の保育施設の配置を義務付ける為、待機児童問題もほぼ解消されているそう。
世界的に見ても理想的なモデルと言われています。
日本でも「森のムッレ」教室リーダー資格取得数が増えているそうですし、取り入れられそうなものは、日々の保育の参考にできればいいですね。
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