保育園の1日で、給食は子どもたちにとって特にお楽しみの時間です。
みんなで「いただきます」をしても、「ごちそうさまでした」のタイミングはさまざまですよね。
中には飲み込むことが苦手だったり、食べ終わるのに時間が掛かってしまう子どももいます。
また、好き嫌いをする子どもも多くいます。
しかし、大人は、子どもたちには好き嫌いをせず、何でも食べて欲しいと願います。
そこで今回は、これから保育士を目指す皆さんに食べるのが苦手な子の対処法をご紹介します。
子どもに無理なく野菜を食べてもらう方法
◯野菜の好き嫌い
野菜って好き嫌いが分かれますよね。
大人になれば嫌いなものでもある程度我慢して食べることはできますが、子どもに苦手な野菜を食べさせるのは、お母さんや保育士さんでも大変な思いをしているのではないでしょうか?
嫌いな野菜は、主にピーマン・セロリなど苦味のあるもの、好きな野菜は、トマトなど甘みのあるもの、という傾向が強いようで、苦味のある野菜を避けるのは人間の本能としてある程度仕方がないかもしれません。
子どもの舌は敏感なので、「苦い野菜は危険な食べ物である」と、無意識のうちに身を守ろうとしている、とも言われています。
とはいえ、健康や将来のためにも、好き嫌いなく食事をして欲しいですよね。
◯保育士はどのように接しているのか
そんな、子どもならではの好き嫌いに配慮して、最近では、食育に力を入れている園も多く見受けられます。
野菜を自分で育てることで食べ物の大切さを理解し、苦手な野菜も食べられるようになった子どももいるようです。
他にも野菜の手遊びや絵本を使いながら、少しずつ興味を持ってもらえるようにするのもいいかもしれませんね。
食べて欲しい一心で無理に食べさせるのはNG!
食べることからではなく、まずは野菜と触れ合い、野菜を知り、好きになってもらうことが大事です。
例えば、Twitter発の野菜キャラ「嫌われがちな野菜」がオンラインでマンガ化されたようでので、このようなマンガを子どもたちに読み聞かせて、野菜に興味を持ってもらうのもいいかもしれませんね。
嫌いなものは無理にすすめず、褒めて伸ばそう!
◯食育は園のアピールポイントに
そうした背景もあり、食育が重要視されていることから、給食を出している園の多くが、食育を保育園・幼稚園の「アピールポイント」としているそうです。
食育にもいろいろありますが、厚生労働省の指針としては、
(1)お腹がすくリズムのもてる子ども
(2)食べたいもの、好きなものが増える子ども
(3)一緒に食べたい人がいる子ども
(4)食事づくり、準備にかかわる子ども
(5)食べ物を話題にする子ども
このような子どもを育てることが、食育の目標と定めています。
◯「嫌いなもの」という言葉
厚生労働省の食育の指針で、注目すべきは、「嫌いなもの」という言葉が入っていないことです。
前述の通り、子どもはどうしても好き嫌いがありがちですよね。
嫌いなものについては、大人でも無理だったりしますから、子どもたちに嫌いなものを食べさせるのは、本当に大変なことだと思います。
嫌いをいうものを無理に食べさせず、好きなものをいっぱい食べられたら褒めてあげる。
嫌いなものを食べようとがんばったら褒めてあげる。
褒めることで子どもの向上心を育て、いつかピーマンや、にんじんを食べてくれるようになるといいですね。
◯居残り給食は体罰!?
楽しい給食ですが、食べられる量や、食べるスピードには個人差があります。
この個人差は離乳食の段階から現れ始め、幼児に食事を与えると10人に約2人は他の子の倍以上の時間が掛かる子が出てくるという結果が出ています。
現在では「居残り給食は体罰」として完食するまで他のことをさせない、という習慣は無くなりました。
叱られたり、残すのが怖くて給食が「苦痛」となってしまうのは子どもの心に大きな傷を与えてしまいます。
それでは、楽しく、自然に子どもが早く食べられるようになる方法をご紹介します。
◯「食事の時間は楽しいもの」というイメージに塗り替える
時間が掛かったり、イヤイヤ食べるからといって叱ったり、マナーを叩き込んだり、
罰を与えることは大きなストレスとなり、かえって悪循環となってしまいます。
持って生まれた体質の個人差を理解し、子どもが食事に意欲的になれるようにリードしてあげましょう。
・食事の早い、遅いは体質の違い
この子はいつもグズグズ食べている・・とイライラするのではなく、生まれつきのものと理解してあげましょう。
食欲旺盛な子は唾液、胃液、腸液、すい液などの消化液がたくさん分泌されています。
小食の子は口に入れてもまず唾液が混じるまで時間が掛かるため、飲み込むのにどうしても時間が掛かってしまいます。
消化液が出ない子にたくさん食べさせても下痢になってしまうので、まずはその子がしっかり食べて消化できる「適量」を知りましょう。
また、栄養を吸収する力も人さまざまです。
目に見えて分かるものではありませんが、実際少し食べて太ったり、たくさん食べても太らない人もいますよね。
「消化・吸収はみんな違う」ということを心にとめておきましょう。
◯食事に集中できる工夫を
・時計作戦
食事が苦手な2歳ごろの子どもは食べ終わるタイミングがまだ自分で良く分かっていません。
食べている途中でだんだん疲れてきたり、ぼーっとしたり、泣き出してしまうこともあります。
食べる時間の目安を教えてあげましょう。
数字がまだ読めなくても、手元に時計を置いて「長い針がここにくるまで食べ終わろうね~」、「ここに来たらごちそうさまだよ」と言えば伝わります。
最初は30分、慣れてきたら20分くらいを目安にしましょう。
・おしゃべりは禁物!
食事の時間はみんなで楽しくわいわいしたいけど、食べられない子どもは食事への関心・集中力が少ないためお話に夢中になるとご飯の手がすぐ止まってしまいます。
「これなあに?」という食事の質問は食育上必要ですが、「今日こんなことあったのー!」と話しかけられた時は、「そうなんだ、でも今はご飯の時間だから、保育園の話は後でね。
楽しみにしてるよ」などと返しましょう。
その時しっかり「おしゃべりが始まるとご飯が食べられないから、ちゃんとぱくぱく食べられるようになったらお話ししながら食べようね」と、理由を一緒に伝えることも大切です。
ぼーっとして来たら「はいっ、もぐもぐ、ゴックンね」と今やることを促してあげることも効果があります。
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好き嫌いの克服法
◯子どもの好き嫌い
子どもの好き嫌い対策は、保護者の方だけにとどまらず、保育士さんにとっても悩みの種ではありませんか?
身体が作られる大切な成長期、好き嫌いなく色んな栄養素を摂って欲しいですよね。<br
子どもの舌は大人より敏感。
いくらごまかそうとしても嫌いなものが入っていると食べてくれない・・・
というお子さんも多いのではないでしょうか?
好き嫌いが多い子どもに効果的な克服方法をご紹介したいと思います。
◯「一口ルール」
子どもの味覚は、成長段階で顕著に変わっていきます。
それは、体内に足りている栄養素よりも、普段消費しやすい栄養素を摂ろうという傾向があるためです。
そのため、子どもが野菜よりお菓子を好むのは、少量でカロリーを豊富に摂取することができるからかもしれません。
嫌いなものを無理やり食べさせても好きになる可能性は低いですし、無理強いを続けると、その食べ物がトラウマとなってしまう可能性もあります。
そこで、苦手意識につながらないための「一口ルール」をおすすめします。
もし嫌いなものが出たら、『一口だけ食べる』というルールを約束してみましょう。
一口だけというルールなら、案外子どもも食べてくれるかもしれません。
そして、食べたらたくさん褒めてあげてください。
定期的に一口ずつ食べることによって、いつか味覚が変化して好きになる日がくるかもしれません。
◯厳しすぎるのは可哀想という方
嫌いなものを無理に食べさせたくはないけど、食わず嫌いになられても困る・・・という方。
いろいろな味を知らないのももったいないですし、試しに一口食べてから「こんな美味しいものがあったなんて!」と気付く瞬間があるかもしれません。
嫌いなものは敬遠しがちですが、あえて一緒に育ててみるという方法もあります。
野菜が嫌いなら、家庭や保育園で一緒に野菜を栽培してみる。
そしてできたら収穫~調理まで一緒に体験することで食材に対する見方が変わり、嫌いなものを克服することができた例があります。
楽しみながら食事をしよう
いかがでしたでしょうか?
好き嫌いなく何でも食べる子に育ってもらうのが一番ですが、あまり神経質になりすぎず大らかな気持ちで食事を楽しむことが大切かもしれませんね。
また、ご紹介したことを毎日コツコツ続けることで、やがて「今日は早く食べ終わったよ!」「苦手な食べ物が食べられたよ!」と自信をつけてくれるでしょう。