保育所保育指針・幼稚園教育要領に示されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」。今回は、その10の姿の一つ「社会生活との関わり」とは何か、保育の実践事例とともに子どもの育ちを見つけるポイントをまとめました。保育園の外にある、子どもたちをとりまく家庭や地域の環境にも目を向けてみましょう。
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10の姿の一つ「社会生活との関わり」とは
こども家庭庁・厚生労働省が示している「保育所保育指針解説」によると、「社会生活との関わり」については以下のように示されています。
家族を大切にしようとする気持ちをもつとともに、地域の身近な人と触れ合う中で、人との様々な関わり方に気付き、相手の気持ちを考えて関わり、自分が役に立つ喜びを感じ、地域に親しみをもつようになる。また、保育所内外の様々な環境に関わる中で、遊びや生活に必要な情報を取り入れ、情報に基づき判断したり、情報を伝え合ったり、活用したりするなど、情報を役立てながら活動するようになるとともに、公共の施設を大切に利用するなどして、社会とのつながりなどを意識するようになる。
出典:保育所保育指針解説/こども家庭庁より抜粋
「社会生活との関わり」では、家族や地域の人々とのふれあいを通して人との関わり方を学ぶことや、情報を役立てる方法を身につけることが大切となるようです。
保育士さんには、子どもたちが家族や地域の人々とよりよく関わることができるように保育内容を考えていくことが求められています。
またIT化が進む社会の中で、ITを活用した情報の集め方を学ぶ機会づくりも今後の課題のひとつです。
子どもたちが図鑑やインターネットを使いながら情報を集めて、遊びや活動に役立てられるよう支えていきましょう。
【年齢別】「社会生活との関わり」を身につける保育の具体例
10の姿の一つ「社会生活との関わり」を育む実践事例をもとに、子どもの育ちや保育士さんの援助のあり方を考えてみましょう。
3歳児~4歳児
母の日や父の日、敬老の日など、家族にプレゼントを贈る場面をもとに解説します。
<活動内容:家族へのサプライズ>
4歳児を担任する保育士さんは、保護者へのサプライズを考えました。
年度末に1年間の子どもたちの成長の姿をまとめたフォトブックを作り、最後のページには子どもたちから保護者へ感謝のメッセージを添えることを考えています。
集まりの時に子どもたちに提案すると、みんな大賛成。
ちょうどひらがなを書くことに興味を持ち始めた子も多く、「手紙を書く」という活動は今の姿にぴったりでした。
子どもたち一人ひとりの家族を大切に思う気持ちを育む事例です。
一生懸命書いた手紙で誰かに思いを伝えられたという経験は、今後、他者との関わりあいに活きてくるのではないでしょうか。
4歳児~5歳児
<活動内容:インターネットに親しむ>
さまざまな情報との出会いをつなげていくのも保育士さんの役割なのではないでしょうか。情報機器へのふれ方について、事例をもとに考えていきましょう。
保育の中にクッキング活動を取り入れているD保育園。
4歳児クラスの担任の保育士さんは、これまでにホットケーキやパフェ、手巻き寿司などいろいろな料理を子どもたちといっしょに作ってきました。
ICTに限らず、図鑑や地域の掲示板など、さまざまな情報手段にふれ合う機会を作ることが大切となりそうです。
いろいろな情報手段に慣れ親しむことが、情報教育の基盤となっていくのではないでしょうか。
5歳児
<活動内容:地域のボランティア活動>
地域の人々など、さまざまな人と交流する機会をもつことで、人との接し方や社会とのつながりを学んでいく機会なのではないでしょうか。
G町は、地域の緑化計画に力を入れており、駅前や公園の花壇にはいつも季節の花々が咲いています。
この年、G保育園の5歳児クラスは、地域の緑化活動に参加することにしました。
地域の方とのつながりを持つ中で、年代の違う方への接し方を知ったり、自分も社会の一員であると気づいたりするでしょう。
地域の行事や文化などに触れることは、地域への親しみや学びの場の広がりにつながっていきそうです。
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10の姿「社会生活との関わり」の観点を意識するポイント
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10の姿「社会生活との関わり」の観点から、保育をするうえで意識したいポイントをまとめました。
家族を大切にしようとする気持ちを育む
自分の家族に対して、感謝の気持ちや愛情を育み、伝えるための機会づくりができるとよさそうです。
家族に温かく見守られているという実感を持つことが、子どもたちの世界を広げ、社会と関わる基盤を作っていくのではないでしょうか。
地域の人など、さまざまな人に親しみを持つ機会を作る
人によってさまざまな関わり方があることに気づき、相手の気持ちを考えて関わる力を養うことが、社会生活との関わりの基盤になっていくようです。
園外活動や交流行事では、お年寄りや地域の方、小学生などと関わるときのあいさつや言葉遣いなどを学べるでしょう。
また普段の園生活でも、保護者の方や異年齢の友だちとの関わりを築ける機会を作っていけるとよいですね。
子どもの関心に応じて、情報との出会いを促す
高度情報化社会を生き抜く子どもたちにとって、膨大な情報とこれからどのようにつき合っていくかはとても重要になるでしょう。
情報を集める方法、集めた情報の活用方法、情報を周囲に伝える手段などを、保育士さんが実際に見せていくことが大切となりそうです。
無理に背伸びをするのではなく、子どもの関心に沿って、簡単な方法からふれていけるとよいかもしれません。
保育園外とのつながりを促す「社会生活との関わり」
今回は、10の姿の一つ「社会生活との関わり」とは何か、保育の実践事例とともに子どもの育ちを見つけるポイントをまとめました。
保育のフィールドは保育園だけではありません。
散歩で出掛ける公園や商店街、地域の自然、家庭、インターネットを介して繋がる世界も子どもたちを取り巻く環境のひとつです。
生活におけるITの重要性が高まる中、それらに親しむことは、今後子どもが正しくITを活用して情報を集めることにつながっていきそうです。
保育に携わる人々でよく話し合い、保育への取り入れ方について話し合う必要がありそうですね。
事例を参考に、10の姿の一つ「社会生活との関わり」とは何かについて理解を深め、保育に活かしていきましょう。
保育所保育指針の重要ポイントとも言える「10の姿」について、それぞれの視点とエピソードを解説しています。
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