保育所保育指針・幼稚園教育要領に示されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」。今回はその10の姿の一つ「健康な心と体」の項目について、概要・意味やねらい、保育事例をまとめました。遊びの事例や子どもたちの姿の具体例を参考にしながら、日々の保育活動に活かしていきましょう。
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10の姿における「健康な心と体」とは
10の姿の一つ「健康な心と体」の概要や、保育士として大切な援助について紹介します。
「健康な心と体」の概要
こども家庭庁・厚生労働省による「保育所保育指針解説」および文部科学省「幼稚園教育要領解説」では、10の姿における「健康な心と体」について以下のように示しています。
保育所の生活の中で、充実感をもって自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ、見通しをもって行動し、自ら健康で安全な生活をつくり出すようになる。
出典:保育所保育指針解説/こども家庭庁より抜粋
園生活の中で、自分の好きな遊びに意欲を持って取り組み、さまざまな気持ちを経験したり身体をのびのびと動かしたりすることが健康な心と身体づくりにつながっていくようです。
また、活動の中で見通しを持って自ら健康で安全な生活を作り出せるようになることも目標として定められています。
心や身体をのびのびと動かして遊ぶことを通して、子どもが健康に過ごすための意識を身につける必要があると言えそうですね。
「健康な心と体」を育むうえでの保育士の配慮
子どもの「健康な心と体」を育むには、子どもが生活の流れを理解し、見通しを持てるようにすることや、生活の中で清潔を保つ習慣や食事の大切さといった健康・安全への意識を育むことが大切になるでしょう。
そのために、保育士さんは以下のような援助や配慮をするといいかもしれません。
- 子どもが安定して活動に取り組める環境を作る
- 子どもが自ら体を動かし多様な動きを楽しめる活動を取り入れる
- 見通しを持って生活できるように流れを整える
- 生活習慣や衛生への意識を育めるような工夫をする
子どもが自分から生活の流れを作っていくための基盤を、乳児期から育んでいけるとよさそうです。
10の姿は、あくまで5歳児の終わりに育っていてほしい成長の目安であり、子どもたち全員が「こうなるべき」という基準を意味しているわけではありません。
一人ひとりの個性や発達の違いを考慮したうえで、保育士として適切な働きかけを考えていくことがポイントになりそうですね。
【年齢別】保育のなかで「健康な心と体」を身につける具体例
保育の遊びや生活の事例をもとに、10の姿の一つ「健康な心と体」が表れる子どもの姿の具体例をみていきましょう。
0歳児
<活動内容:手づかみ食べ>
0歳児は保育士さんの援助や声かけによって、生活習慣を学んでいくこともできるでしょう。
身のまわりのことに意味づけを行ない、健康な心と体づくりをしていく過程を事例とともにみていきましょう。
例1子どもの意欲を尊重し、食べることが楽しい、うれしいと感じられるような声かけを行なうことで、食べることへの意欲につながるかもしれません。
例2身体がきれいになって心地よくなる経験を繰り返すことで、子ども自身も快適な状態を覚えることができ、自分から実践しようとする姿が見られるかもしれません。
0歳児など乳児クラスからの積み重ねが、その後の食事や清潔への意識へとつながっていくのがわかりますね。
1歳児
<活動内容:好きな遊びに集中する>
ままごと遊びの中で、1人変わった遊びをしている子どもがいるようです。
遊び込むことの意味や子どもの興味に関することを、事例をもとに見てみましょう。保育士さんが子どもの遊びを尊重したり、遊びを楽しめるような環境や援助をしたりすることによって、子ども自身の関心や興味が満たされ、遊びに集中する「遊びこむ」という力が育まれていくのかもしれません。
1歳児など低年齢のうちから、安定して遊びこむ経験を重ねることによって、自分のやりたいことに向かって活動する原動力を育てることができそうです。
2歳児
砂場遊びのあとは身体中が砂だらけになってしまう2歳児の子どもたち。 清潔にすることの意味と大切さを伝えるための具体例を、事例とともにみていきましょう。
例1子どもたちが「汚れているより、きれいなほうが気持ちがよい」と実感することで、適切な清潔の意識へとつながっていくでしょう。
例2保育士さんが日常的に伝えたり子どもの気づきを促したりすることによって、清潔に向けて自分自身で行動する姿が見られるようになるかもしれません。
健康や清潔に対する意識を育てるには、手遊び歌などを通して毎日繰り返し伝えていくことが大切でしょう。
3歳児
<活動内容:円形ドッヂボール>
身体を動かして遊ぶことの楽しさを充分に味わうには、どのように遊びのルールを知っていくのがよいでしょうか。
3歳児クラスでルールのある遊びを行なうときの援助の具体例を、事例をもとにみていきましょう。保育士さんの援助によって、簡単なルールを覚えて遊ぶことでドッジボールの面白さを味わい、自ら積極的に遊びに参加しようとする意識が生まれるかもしれません。
3歳児という年齢に合わせて遊び方を変えることで、遊びの中で思い切り身体を動かす活動の楽しさを味わうことができるでしょう。
4歳児
<活動内容:なわとび>
4歳児頃になるとなわとび遊びに夢中になる子が増えてくるのではないでしょうか。
なわとび遊びを通して達成感を味わい、身体を動かして遊ぶ意欲につなげる事例の具体例をみていきましょう。保育士さんの援助によって、自分の成長を視覚的に捉えることができ、達成感を味わうことが身体を動かして遊ぶ意欲につながっていくでしょう。
このように子どもの意欲を育てることが、身体をのびのびと動かして遊ぶ楽しさを味わう第一歩と言えるのかもしれません。
5歳児
<活動内容:給食後の清掃>
清潔にすることの意味を理解し、自分から行動することが求められるようになる5歳児。どのように習慣づけていくとよいのか、具体例を事例からみていきましょう。このような場面では、保育士さんの援助によって自らきれいにしようという思いを育て、清潔への意識や習慣を身につけられそうです。
幼児期の終わりまでには手洗いや片づけの習慣が身につき、大人に指摘されなくても自ら実践できることが期待されるでしょう。
一日、一週間で習慣づけることは難しくても、繰り返し積み重ねながらその意味を伝えていくことで、健康な心と体づくりへとつなげていけるとよいのではないでしょうか。
事例のように安定感をもって環境に関わり、子どもたちが自主的に遊びや生活を楽しめるような援助や配慮が、10の姿における「健康な心と体」に徐々につながっていくでしょう。
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「健康な心と体」の観点で意識するポイント
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10の姿の一つ「健康な心と体」を育むうえで、保育士さんが意識したいポイントをまとめました。
子どもの姿に合った環境作りを意識する
健康な心と体づくりにおいては、子どもの発達を理解し、子どもの現状に合った環境設定を行なうことが大切になりそうです。
子どもが自分の力で身のまわりのことができる環境を整えることで「自分でできる」という体験を重ねられるでしょう。そうした自信が、身のまわりのことや遊びに主体的に取り組もうという意欲を育てることにつながるのかもしれません。
また、主体的に環境に関わることは、安定して遊びに集中することにつながり、ゆくゆくは身体や心を充分に動かして遊ぶ力になっていくようです。
健康や安全について日頃から伝える
健康・安全に関する意識は健康な心と体づくりに直結するため、日頃から繰り返し伝えていくことが求められるでしょう。
特に身のまわりの生活習慣は、0歳児など乳児期からの積み重ねが重要になります。
外遊びから帰ってきた後には手洗いうがいをしたり、食事の後はテーブルの上を綺麗に拭いたりなど、身のまわりの清潔・健康の習慣と意味を教えるために、紙芝居や手遊び歌、ペープサートを使うのもよいかもしれません。
日頃から繰り返し伝え、保育士さんが生活の中で援助していくことで、生活習慣が形成されていくのではないでしょうか。
見通しをもって生活できるようにする
生活に見通しを持ち、「片づけが終わったら、このあとは給食だから先にトイレに行っておこう」などと予想して行動する力が、健康な心と体につながっていくでしょう。
0歳児からでも、給食の前には同じ手遊び歌をするなど決まった動きをすることで、活動の流れがわかるようになると言われます。
毎日同じ生活のリズムで動くことで、子どもたちは少しずつ活動の見通しを立てられるようになってくるでしょう。
出典:保育所保育指針解説/こども家庭庁
出典:幼稚園教育要領解説/文部科学省
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「健康な心と体」が示す姿を理解して、保育に活かそう
今回は、10の姿の一つ「健康な心と体」の保育現場での実践について、保育所保育指針や幼稚園教育要領を参考に解説するとともに、0歳児から5歳児までの遊びや生活の事例を見ながら健康な心と体づくりにつながる具体例を紹介しました。
10の姿における「健康な心と体」は、子どもたちが生きていく上での基礎となる大切なテーマです。
幼児期の育ち、そして小学校の活動での姿を考える上で、最も大切にしたい項目です。事例を参考に、10の姿の一つ「健康な心と体」について理解を深め、保育に活かしていきましょう。
保育所保育指針の重要ポイントとも言える「10の姿」について、それぞれの視点とエピソードを解説しています。
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